諸君 私は妖怪が好きだ
諸君 私は妖怪が好きだ
諸君 私は妖怪が大好きだ
天狗が好きだ
河童が好きだ
鳴家が好きだ
雪女が好きだ
ぬえが好きだ
牛鬼が好きだ
姥火が好きだ
火車が好きだ
山姥が好きだ
平原で 街道で
街中で 草原で
凍土で 砂漠で
海上で 空中で
泥中で 湿原で
この地上に存在する ありとあらゆる妖怪が大好きだ
ヒョウズンボの集団が 空を埋め尽くす勢いで空を飛びまわるのが好きだ
金霊が呻りを上げて出て行った家が 途端に没落した時など心がおどる
小泉八雲の描くムジナがひたすら人をからかうのが好きだ
悲鳴を上げて 蕎麦屋から飛び出してきた男を
さらに追い討ちをかけて脅した時など胸がすくような気持ちだった
百鬼夜行の魑魅魍魎どもが 平安京の都を蹂躙するのが好きだ
恐慌状態の貴族が 牛車から飛び出し 慌てて逃げる様など感動すら覚える
『ゲゲゲの鬼太郎』のテレビアニメなどはもうたまらない
泣き叫ぶネズミ男が 襲い掛かる猫娘や砂かけばばあとともに
金切り声を上げる子泣きじじいに ばたばたと薙ぎ倒されるのも最高だ
哀れな船乗りたちが健気にも柄杓を手に立ち上がってきたのを
舟幽霊の大群が 柄杓を使って船ごと沈めてしまった時など絶頂すら覚える
人間どもにまんまとやられ滅茶苦茶にされるのが好きだ
人間に忠告に訪れたイワナ坊主が毒で殺されていく様は とてもとても悲しいものだ
正体を見破られ退治される九尾の狐が好きだ
陰陽師に追いまわされ 害虫の様に地べたを這い回るのは屈辱の極みだ
諸君 私は妖怪を 地獄の様な妖怪大戦争を望んでいる
諸君 私に付き従う大隊戦友諸君
君達は一体 何を望んでいる?
更なる妖怪を望むか?
情け容赦のない 糞の様な妖怪を望むか?
鉄風雷火の限りを尽くし 三千世界の鴉を殺す 嵐の様な妖怪を望むか?
「 妖怪!! 妖怪!! 妖怪!! 」
よろしい ならば妖怪だ
我々は満身の力をこめて今まさに振り下ろさんとする握りこぶしだ
だがこの暗い闇の底で何世紀もの間 堪え続けてきた我々に
ただの妖怪戦争では もはや足りない!!
大戦争を!! 一心不乱の妖怪大戦争を!!
我らはわずかに一個大隊 千匹に満たぬ敗残兵にすぎない
だが諸君は 一騎当千 の大妖怪だ と私は信仰している
ならば我らは 諸君と私で総兵力100万と1人の妖怪集団となる
我々を忘却の彼方へと追いやり 眠りこけている連中を叩き起こそう
髪の毛をつかんで引きずり降ろし 眼を 開けさせ思い出させよう
連中に恐怖の味を思い出させてやる
連中に我々の咆哮の音を思い出させてやる
天と地のはざまには 奴らの科学では思いもよらない事があることを思い出させてやる
一千人の妖怪の戦闘団で
世界をおどかし尽くしてやる
第二次妖怪大戦争作戦 状況を開始せよ
征くぞ 諸君