今度はワタシに頼みごとがあるといって
女性と連れ立ってやってきた
またそりゃ
ワタシには嫌な予感でしかない
父がワタシに頼みがあるなら
ひとりで来るだろうし
電話で済みそうなもの
女性がからむと
それまでロクなことがなかったのだから
あーまたか、と
ワタシは覚悟した
二人がやってきて
女性と父が腰掛けると
父を誘導するように
女性が肘で突っつき
父がポッケから携帯を出した
それから訳を話し出した
父は
バブルの良い時期に
兄弟で建築業設立した
弟なので
役職は専務だったけど
会社を立ち上げたのは父で
甥に会社を渡すまで
現役で活躍をした
その会社の株を何割か持っていて
こともあろうに
女性に引っ張られ
何度か会社に足を運んだんだとか
そのわけは
会社の株を社長に株を買ってもらうため
社長は
外国人の妻を連れて
会社に来る父には会ってはくれず
県外の営業所にいるから
不在だからといわれ
全くコンタクトがとれないという
ならしょうがない
とはならないのは
女性のほうだ
父の話を遮るように
お金をもらわないと
ダメだダメだと
大きな声で訴えだした
またお金
奪えるものがなくなれば
売れるものをお金に変える
なんとしても
現金を欲しがる女性に
あきれる以上の言葉は
なんていうんだろう
ため息も
もうでない
つづく