新しい職場で働く前に
実家へ行き、父の背中に薬を塗り
少しお喋りをして
気合の入るワタシは仕事も張り切った
小さなお店で働くワタシの職場にも
父はよく魚をクーラーボックスに入れて持ってきてくれた
お店をひとりで任せてもらえていたので
雇われとはいえ
他人に気を使うこともない代わりに
売り上げには責任が伴うのだけど
自営の時のお客様が沢山
買いにきてくださった
お店から直ぐ見えるところに
皮膚科医院があり
以前父が在籍していたクラブ仲間の院長先生や、
病院のご近所さんも
よく来てくださった
なんだか
誰もが応援をしてくれていて
父がその筆頭にいるようで
嬉しかった
父の背中も
その先生が診てくださっているから
お店の場所も偶然とは思えない気さえして
ありがたかった
病院へ行き来する父の車が
よく見える
窓をすーっと開けて
手を出してワタシにサインをくれる姿は
あの女性が現れる前の
逞しくて
カッコいい父
つづく