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『いとしの儚』ストーリーと感想

2021-10-18 10:15:24 | 劇場・多目的ホール
『いとしの儚』を六本木トリコロールシアターにて、10月17日(日)12:30開演を観劇しました。

ストーリーと感想を備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【作】
横内謙介


【演出】
石丸さち子


【出演】
鈴次郎 鳥越裕貴
儚 鎌滝恵利
鬼シゲ 辻本祐樹
ゾロ政 中村龍介
鬼婆、お鐘、妙海、地蔵菩薩、その他たくさん 原田優一
青鬼 久ヶ沢徹


【ストーリー】
三途の川で、青鬼(久ヶ沢徹)が、あるロクデナシの男の話を語る。
その男の名は件鈴次郎(鳥越裕貴)。女にも金にもだらしない博打打ちで人間のクズ。
人間としては最低だが、博打の神さまに気にいられ、博打では負け知らず。ある時、鈴次郎は人間に化けて賭場に来ていた鬼シゲ(辻本祐樹)と勝負になり、「絶世の美女」を貰えることになった。
その美女は、鬼シゲの知り合いの鬼婆(原田優一)が、墓場の死体を集めて、ついさっき生まれて死んだばかりの赤子の魂を入れて作った女。ただし、この女は100日間抱いてはならない。魂と体がくっつくのにきっかり100日かかる。
抱かなければ人間になれる。抱いてしまうと水になって流れてしまう。
女は「儚」と名付けられた。人の夢、儚し、のハカナ。
そうして始まった鈴次郎と儚(鎌滝恵利)の、歪な100日間の物語。
鈴次郎のライバル、ゾロ政(中村龍介)との戦いが、2人の運命を更に狂わせていく…。


【感想】
客入れの音楽はスムースジャズ。
美術と照明はとてもシンプル。天井付近の上部には絵巻物の青鬼と赤鬼が描かれ、舞台奥には障子がずらりと並んでいる。転換はなし。

素晴らしい脚本と俳優陣。小劇場のいい舞台を観た!という感じ。
最低のくず男、鈴次郎と人ならざる女、儚の物語。身勝手な鈴次郎に振り回される儚。でも、実は芯が強く、自分の意志はしっかりしている。
「生きたい!水になりたくない!」と。
ただただ、自分を育ててくれた恩を返すとか、好きな男だからとか、そんな受け身だけじゃない儚に凛とした女の生き様を感じた。
ラスト、鈴次郎と儚は結ばれる。鈴次郎は鬼との約束で自分も鬼になる。儚は100日目前で鈴次郎に抱かれ、水にならずに花になった。燃えるような赤い花、曼珠沙華。そして、散っていった…。
見方によってはやりきれない気持ちになる話かもしれない。でも、私はラストに小さな救いと希望の欠片をみた。
汚く、下世話で下品で、それでも儚く美しい…。生と性、正と悪、愛と哀の物語。

鈴次郎の鳥越裕貴、全身全霊で役に挑んでいるのがわかった。文字どおり身を削っていたと思う。
儚の鎌滝恵利、美しく透明感があり、純粋無垢な儚にぴったり♡ これが初舞台とは思えない潔さ。ノンマイクの発声とか大変だったと思う。ただ、力が入るとどうしても首が前傾になるのが気になったが…。
鬼シゲの辻本祐樹、る・ひまわりの舞台の常連組。華があり役によって、怖かったり、可愛らしくかったり♡
ゾロ政の中村龍介、る・ひまわりの舞台の常連組。体調不良で降板された山崎省吾の役を短い稽古期間で勤めたのはさすが! 彼が怒るときは、どんなに激しい怒り方でもそこに愛を感じる。人柄かな。
鬼婆、お鐘、妙海、地蔵菩薩、その他たくさんの原田優一、もうさすがとしかいいようのない八面六臂の活躍ぶり! お疲れさま。“地蔵菩薩ショー”は歌って踊って楽しいシーン♪ 夢に出そう~。あと、お御足がお綺麗♡ 
青鬼の久ヶ沢徹、ストーリーテラーを担いつつ、こちらも役が多くて忙しい。本人曰く、「オファー後に知ったので詐欺」とパンフレットにあったのがなんとも。お疲れさま。


【余談と画像】
劇場内に入ったら、煙??のような匂いが充満していたのが気になった。これは一体なんだったのだろう? すぐに鼻が慣れて気にはならなかったが…。
時節柄、チケットの半券に名前と電話番号を記入しておく。半券をもぎるのはスタッフだった。フライヤーの束もなし。


フライヤーの表。



裏。



劇場前の看板。一面にフライヤー。



パンフレット1,650円。時節柄、オンラインショップのみで販売。
フルカラー、全32ページ。キャストプロフィール、キャスト座談会、作:横内謙介&演出:石丸さち子対談ページなど。


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