ついに御聖断! わが老兵の作戦。ここにきたりて
「北北西に進路をとれ!」・・・?
「このカラコルムの峪合い奥深く、単騎、攻略できたるは極上の幸運。この戦果を手土産にいざ祖国に凱旋スルベシ」
いったん、決断したる我が作戦方針。恥ずかしくも、かたじけなくも?、ここに来たりて、急遽、4730メールロの標高に位置する中国・パキスタン国境を突破してシルクロード・中国側最西端。すでにイスラム圏にはいる「クシュガル」の街に進撃することに決意せり。
かって、帝国陸軍は優秀なる参謀をかかえつつも、やはり、「南進」と「北進」でその方針、かなり揺れ動いた戦史あれば、余のごとき老兵が南進から、北進にその矛先を転換するは、まらやむなきことと銃後各位には理解賜りたきところにて候。
なを。ここにて、作戦転換の要因を記す前に、「なぜに一旦は南下の方針をもちたるか」を総括いたせば、「かの中国カシュガル攻略を視野にいれつつも、わが戦力・装備は、パキスタン国内にての作戦のみを視野にいれての進撃。
中国攻略には、あまりにも懸案とするところ多し。
主たる弱点を挙げれば。
①ほぼ半月の作戦期間を想定したりて、インドよりフンザに来たれば、余の生命維持にかかせぬ常備薬(通風および前立腺肥大)まもなく底をつくの危機。まさしく弾丸なきては、玉砕必定!
②装備、靴さえもたず、サンダルでのフンザ攻略に見るごとく、ジャンバー一枚なき軽装での、山越えは、また寒中に倒れぬの危険。
③予想外の戦線拡大により、戦費もはや限界。トラベラル・チック底をつき、予備として持ち来る「カード」の宝刀を抜く必要ありしも、フンザにては不可。
④パキスタン・ビザはシングルにつき、一旦出国すれば、戻るに戻れずの立ち往生を予測。
かかる、戦況にありては、やはりフンザより、イスラマバードのインド大使館を目指し、一気に「南下」スルことこそ、賢者の策!と覚えしも、4月17日、引き返す途上の「ギルギット」の街にて、
「待て!。ここは大和男子!。中国国境を目の前にして、その高度を恐れての攻略断念は、いかにも無念なり。この街で、装備、戦力の補充ができうれば、矛先、北に向け、我はすすまん、はるかなるシルクロードへ!」
の熱き想いが我が老いの心にフツフツと沸き起これば、宿のスタッフ、友軍諸氏の加勢を得て、ここ数日、上記懸案事項の手当てに鋭意邁進!
本日現在の、装備点検を記せば、
①戦況により、パキスタンに撤退も視野にいれ、「り・エントリービザ」即ち再入国のビザを、この街にありし「政府事務所」で取得。フンザから一旦撤退せしも、時によれば、ココニテの野望ありし。
②常備薬は、医師を叔父にもつ友好的宿スタッフの全面的協力を得て、「処方箋」を診ずテンで、作成願い、それにて、2種50日分を確保セリ。
③重装備インドで解き、いまや、足回りの「サンダル」に見るごとく、軽装そのもの。その靴さえなき身であれば、このギルギットの古着屋にて、昨日、「毛皮入りのブーツ」「内側破れし頭巾つき厚手コート」、加えて、無帽は無帽なりと、現地フエルトの民族帽を購入。これをかぶることにより、持ち来るクルタパジャマニに加えすでに現地人に変装の効果でにけり。
④このギルギット。うれしくもわずか一箇所の銀行に、わずか一台の「ATM」装置あり。これにて、現地通貨、思いのまま我が手中に。はじけて国外で発動したる「伝家の宝刀」。このカードあれば、まさしく向かうに敵なし。
(ただし、残高ある限り)
ただし、以上は解決したるも、難航しつつある「高度順応剤」は、いまだ目途がたたず。余、低血圧の持病あれば、この世に生をを受けて初めて身を置く4000メートルを超える峠にて、酸欠状態による危機は、十分予測されるところ。
やむなし。「中国側から、国境を越え来る旅人を捕獲し、使わずもちきたる順応剤の割譲をうけしことこそ良策!」
ゲストハウスにともに起居せし友軍の助言をたよりに、今日現在は、山に挑む決意なり。
さらに、「ここギルギットより、一日もはやく、高度2500メートルのフンザに再度駒をすすめ、高度になれていることこそ肝要」の助言があれば、余、このアラブ色濃厚なギルギットの街に愛着ありしも、明日23日早朝、フンザをめざし、「いざ、出撃!」
かわらずの、ひとりよがりの戦陣日誌?
お詫びを兼ねて、このギルギットおよびゲストハウスの寸景を羅列。
○
街の入り口には、銃眼あけたる土嚢が詰まれ、歩道には完全武装、鉄兜、小銃すがたの兵士があちこち。機関銃の引き金に指をかけた兵士がのるピックアップ・トラックが街筋を走行。この小さな町に、夜の帳がおりれば一個小隊程度は配置されている様子で、メイン道路の鉄の扉も閉鎖!
「うーん。バグダットなんてのニュース場面でみたなあ」
「それにしても、かかる興味ある光景、地球の歩き方には紹介しとらんなあ。あほか」その想いひしひし。
○
すでにアラブ世界というか、「茶髪」「碧眼」の民族。あるいは、黒いショールで身を覆い黄金バットのごとく「目だけ」を覗かせた女性。いかずしてペルシャの匂いを。とりわけ、少女の美しさは、おいの目にもまぶしき想いがしきり。
○
街の主要乗り物は、まごうことなく「スズキ」。現地人もまた、この発音で。多分に正式名称。いえば、市バス。スズキの軽トラックの荷台に、カマボコ型の金属製ホロをかけ、長いすおき多ければ中に8人、車外うしるつかまりだち3人。
ときによれば、サイドにしがみつくように4人、片方では転覆するとおもえばその反対側に同じように・・計十ナン人!ほぼ一回5ルピーの十円!
結構、ご愛用させていただいています。
前日、「これはいい」。運転席の横にのせていただきラクチンコだなあ」
おもっているうちに、次のバス停留で「日本人。ウシロの荷台にうつれ」
ブルカのご婦人に強制的にシートを譲らされる事態。この地では、ご婦人、絶対に男性と席をならべず。日本のおばさん、見習うべし?
○
とにかく、女性は子供・学生を覗き、極端にみることすくなし。商店、食堂など、完全無欠に婦人の働き手みかけず。完全な男のみ社会。先日みたポロ競技の会場。
観覧席や関係者。選手など千人を越える中にあって、唯一女性は、「2.3の白人女性旅行者」のみ。どこかの国の女性のように出歩かず結婚すれば家の中だけに。女性用を除き、食糧など買い物すべても男の役割。
○
女性見かけること少なければ、またノラ牛みることなし。かわりて「ヤギ」や「ヒツジ」。昨晩は、そのヤギのノウミソというかなりおいしき食い物を。
なを、随時、街中でも見かける騎乗の民!。パカパカ。競馬場で、馬券を手にして眺めてきた余にしては、その遊牧民の末裔たちの乗馬姿にほれぼれ。
ポロ競技が盛んなわけは、この光景からも納得。
○
街筋から10メートルほどおりれば、まさしく「上高地カケル10の風景」
河童橋にかわる木造のつり橋には、騎馬にはじまり、ジープなども。当然ゆっりすすむも当然ユッサユッサ!。
「問題なし。切れて堕ちることなし」そうなんでありましょう。
雪解け水を放流するがごときギルギット川{インダス川の上流)をはさみ、焼岳をまた十倍したごとくの瓦礫の山塊が両側に。スケールのデカもまた魅力!
ただし、長年の努力か。わずかな平野部には大きな木々がそびえ、水の豊富さをくわえやはり、ここはカラコルム山中の「オアシス」の街・・・
ほんといいなあ。
まだ、報告いたしたきことおおけれど、ここパキの山中。やはり、それだけに通信費高く、ネット代もバカになれず。以後の戦費も思考いたし今回は、これにてつたなき戦陣日記にかえさせていただきます。
かわらぬ御支援をお願いいたしつつ・・・
2007・4・21
朝夕はことのほか涼しく、またことのほか
乾燥地帯にてパンツなど洗濯ものの乾きことのほか
よけれど、日中はすでに「43度」に達する、
ギルギットの街にて 転進決意の「迷い」の敬助