Sergi Vicente [Luna Llena] (Open/1998) 日本盤 108円 星3つ
~ニュー・フラメンコ・ギターという副題もあるギターインストアルバムで、ワゴンセールで見かけるB級のアルバムという風情も強いが、意外と楽しめる出来のよい作品だ。但し、チ-プでベタな楽しみではある。
オリジナル曲とカバーの構成は、6:4の比。フラメンコの伝統的なパターン(コロンビアナスやセギリャーナ等)を基礎に据えて、メロディラインは親しみやすいスペイン風なアレンジであり、伴奏もフラメンコ色を薄めて、ポップなアレンジでまとめていて、フラメンコの土着性が感じられない(ただ、パルマは高らかに響く)のが、普通にポップスとしてBGMとしても良い具合だ。
しかし、オリジナルでないナンバーの取り扱い方でダサい所がご愛敬なのが、スペイン製インストアルバムたる所以か?!サンタナのお馴染みナンバー「Samba pa ti」「Oye Como Va」はそれなりに面白いのだが、シナトラで有名な「My Way」やS.ワンダーの楽曲カバーとなると歌のない歌謡曲といった趣きに変わってしまう。この辺りが、やはりB級レーベルものの仕上がり方と言えなくもないが、そうしたベタな感性も含め、スペイン録音ということだと理解しておこう。
Gontiti [Spirit of Gontiti ] (Epic/1998) 日本盤 108円 星4つ
~本作は、我が国のみならず海外での評価も高いインストのギターグループとして、デビューから80年代後半までの初期ベストアルバムである。収録ナンバーは、10枚のリリース作からピックアップされたもので、粒揃いの楽曲がほとんど。
ゴンチチの音楽センスには、従来の日本音楽にない洗練されたバタ臭さがあって、私が初めて耳にしたときは、外国ものという風に感じた位、当時ではアカ抜けたサウンドであった。CDジャケのデザインとタイトルの妙味もあって、独自の音楽世界を築き上げた。ギターテクで巧く、超絶なものを持ったギタリストはあまた存在しても、音楽の構成力、弦楽器で表現した先の佇まいが美しく、キリリとしている。文学的な香りもどこかにある一方、懐かしさやポップスな中にアイロニーを感じたのも私だけではない筈。
今日の音楽シーンでは、日本から海外へ進出するアーティストも多いが、その先鞭であり快適サウンドの元祖として、ジャズ/ポップ/ニューエイジの垣根を超えてギターインストの可能性を拡大させた功績は大きい。そんな点を改めて感じさせ、今でも新鮮さを失わない旧盤である。
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