馬とお昼寝

他愛ない毎日の日記と、旅行と福袋とちょこっと映画のブログです。

インディ

2008年03月22日 01時41分45秒 | 日記
3月15日、先週の土曜日、インディが亡くなりました。
一時は持ち直し、12日には久しぶりに猫缶を一缶食べてくれてほっとしていたのですが、その次の日にはまたほとんど食べず、その次の日もなめる程度にしか・・・
フローリングを歩く時も、爪の当たる音がします。
猫は普段爪を引っ込めているのでフローリングの上を歩いていても犬のようにカチャカチャ音はしません。
なのに足音がする・・・
もう爪を引っ込めておく力もないのでしょう・・・

最初にインディがご飯を食べなくなり、ほとんど動かず今まで跳び乗っていた場所にも乗れなくなった時、パパと相談しました。
二人とも「老衰だろう」と同じ意見であり、それでもパパはもし私が病院に連れて行きたいなら連れて行けばいいといってくれました。
病院に行くのは、私のためだと・・・
もしもの時に私が「やっぱり病院へ行っておけばよかった」と後悔しないためだと言われました。
それは私もまったく同じ考えで、それならばただでさえ弱ってきているインディに負担にならないように、もう病院には連れて行かず家で看取る、と二人で話し合って決定しました。

しかし12日からほんの少ししか食べない状態が続き、14日のお昼前に、私は心配でたまらなくなりました。
インディは後二週間足らずで17歳。
人間で言えば、約82歳です。
おそらく老衰に間違いないでしょう。
しかし、それが私の素人判断でしかなかったら?
もし病院に行って点滴でも受けて治療すれば元通り元気になるのなら??
私が病院に連れて行かないことで見殺しになってしまう。

やっぱり連れて行こう・・・

いてもたってもいられなくなり、寒くないようにインディにルビーのセーターを着せ、さらに毛布に包んで抱き、車で病院へ駆けつけました。

もし医者が見てくれて、「老衰でしょう」といわれるならしかたない。
でも、そうでなかったら、治療して治るなら治して欲しい・・・
わらにもすがる思いでした。

医者にこれまでの経過と年齢をいい、「老衰でしょうか?」と聞きました。
すると、「昔なら老衰だけれど、今はもっと医学が進んでいる。
しかし高齢には違いないので、後は飼い主さんがどこまで望んでいるかによります。」と・・・・
何か原因があるはずなので、血液検査をしてどこが悪いか調べ、点滴と検査の結果で薬を投与しましょうといわれました。
ほとんど食べていないのに、検査のために血を抜くこと自体心配でしたが、「平気」だといわれました。
血を抜かれ、体温を測ると、34.4度しかありません。
人間より低い・・・
猫の体温は39~38度が平熱だそうです・・・
このままだとあと2、3日しか持たないといわれました。
半日入院させて夜まで点滴をするといわれました。

半日も入院させるなんて、聞いただけで引きました。
最後かもしれないのに、病院にそんなに長く預けるなんて・・・
女性スタッフがドライヤーでインディの身体を温めるやり方もよそ見をしながらぞんざいで、火傷しないか心配でした。
でもこのままだとあと2、3日といわれたことで、「やっぱり連れて帰る。」という勇気がなくなりました。
連れて帰ったら2、3日しか持たない・・・でも点滴してもらえば持ち直すかも・・・いや、きっと持ち直すに違いない・・・
そう信じて預けました。

しかし夜迎えに行った時、インディは酸素室の中で息も絶え絶えでした。
朝は自分で歩いていたのに・・・起き上がって水も飲んだのに・・・
なのに今は・・・・今にも死にそうにしか見えない・・・!!!

「老衰だ。」といわれました。
今夜まででしょう、なのでおうちに連れて帰ったほうが良いと・・・そういわれました。

朝来た時にそういってくれたら・・・
そしたら連れて帰れたのに・・・
無意味に痛い思いや不安な思いをさせずに済んだのに・・・
ごめんね、インディ、私が馬鹿だった・・・私のせいで・・・
私のせいで、知ってる人が誰もいない病院で半日もよけいな検査をされたり痛い思いをしたりさせてしまった・・・
パパと病院には連れて行かないと決めたのに、私が弱くて不安でたまらなくなったばかりに・・・・
2、3日と言っていたのに、「今夜」になってしまった。
私が馬鹿だった、本当にごめんなさい・・・私は自分が許せない・・・

車で待っていた王子に、「だめだ・・・今夜だ・・・」といってインディをわたすと、後部座席で王子が声を上げて泣き出しました。
家まで運転して帰りながら、泣けてくるのを必死に押さえていましたが、家に帰りつき、「ごめんね、インディ、私のせいで・・・」と号泣しました。

死なせたくないと思い、必死にご飯を食べさせました。
でも食べたのはほんの少し・・・
少しずつでも食べてくれたら・・・と、あきらめずに数時間ごとに無理やり食べさせました。
でも食べさせながら、もう回復することがないのなら、物を食べさせることはほんの一日か二日、もしかしたら数時間だけ、生き長らえるだけ・・・
それはもう、ほとんど動くことも出来ないインディにとっては苦痛なのではないのか・・・
今現在、息があることはインディにとっては苦しいんじゃないのか・・・
もうこのまま楽に見送ってあげた方が、インディにはいいんじゃないのか・・・
そう思う気持ちと、少しでも長く生きて欲しいと思う気持ちでどうしたらいいのか自分でも良くわかりませんでした。
お水は本人も飲みたがるので、針のない注射器で何度も飲ませました。

ホットカーペットや湯たんぽで身体を温め、毛布もかけていたので暑くなったのか、夜中何度かカーペットの上からずり上がり、よたよたと歩いて窓際の寒いフローリングの所へいきます。
このときも戻すべきなのか、好きにさせるべきか悩みました。

この夜、一晩中一緒にいましたが、インディの容態は病院にいるときより落ち着いてきたように感じました。
なんだかんだ言っても何時間分も点滴はしたわけだから、その分元気になっているのかもしれない・・・と一縷の望みが出てきました。
とりあえず、「今夜」といわれた夜は乗り切りました。

しかし夜が明けた次の日も、依然としてご飯は食べませんでした。
無理に口の奥に入れるものを飲み下すだけ、それもほんの少量。
お水は飲みます。
そして・・・ソファの下に隠れようとし始めました。

死期を悟って姿を隠す・・・猫の習性です・・・
やはりもうだめなんだ・・・

隠れたいと思うインディの気持ちを尊重しようと思い、ソファの下にペット用のホットカーペットと毛布をひき、その上に寝せました。
やっぱり暑いのか、カーペットの上からはずれようとします。

夕方、ソファの横に寝そべって覗いている私に、口をあけて必死に何かを言おうとします。
インディは甘えん坊で、いつも私を見て、小さな声で鳴き、自分の要求を聞いてもらおうとしてきました。
ずっと・・・17年間・・・そうでした。
どうして欲しいの?インディ、何が欲しいの?何をして欲しいの?
差し出されたインディの手を握り、泣きながら話しかける・・・
そして気づきました。
私に対して何かを言っているんじゃない・・・
息が出来てないんだ・・・
苦しいからたまに口を大きく開ける・・・息を吸おうとして・・・

ペットヒーターごとソファの下から引きずり出しました。
ペットヒーターの上にひいていた毛布が濡れている・・・
失禁した・・・!
「インディ!インディ!!」
私の様子を見て、王子も飛んできてインディに声をかける。
突っ張る両手を握って、苦しそうに大きく口を開けるインディにすがり付いて、「インディ!行かないで!!」と二人で声を上げて泣く・・・
今まで声も出せなかったのに、「ニャア~ン」と一声だけ大きな声で鳴きました。
何度か間隔をあけて大きくカッと口を開き、がっくんと大きく手足を動かし、そして今まで突っ張っていた体中から静かに力が抜けていきました。
自分ではほとんど食べなくなってから約10日、骨と皮のがりがりのペッタンコになってしまった薄い身体に覆いかぶさって王子と二人で号泣しました・・・

最後は息が出来なくて苦しかったけど、インディの死に顔はとても穏やかでまるで生きているみたいでした。
お顔とおしっこに濡れた下半身を濡れタオルできれいに拭き、インディのお気に入りの定位置だったソファの上に毛布を引いて寝かせると、本当に死んだのがうそのようで、そこはその場から離れて用事をしていても常に私からは見える位置であり、今までとなんら変わりがない、そこにインディのなきがらがある限り、死んだなんて思えない、まだ生きているみたいだと思いました。
ずっとそこにいて欲しい・・・そう心から願いました。

その夜は私と王子で、インディをはさんでベッドで寝ました。
いつもなら私の布団に入ってきて朝まで一緒に寝るエレナは、インディに遠慮したのか一度やってきたもののすぐに寝室を出て行き、朝まで戻ってきませんでした。

次の日も、私も王子もソファの上のインディをなでたり話しかけたりして、生きているように過ごしました。
本当に穏やかな顔だったので、生きているとしか思えなかった・・・・
変な話ですが、そのことはとても救いになりました。
そして、「今夜」と言われたのに、その次の日の夕方まで生きていてくれたことも、私が病院に連れて行ったことを後悔して泣いていたので、きっとインディは私のためにその夜死なずにがんばってくれたんだと思います。
あの夜死なれたら、私のせいに他ならなかったから、だから・・・私を思いやって生きていてくれたのでしょう・・・少しでも私が苦しまないように・・・

月曜日、火葬の前に花屋へ行き、きれいなピンクのユリの切花を買ってきました。
着せたままだったセーターを脱がせ、きれいに毛をといて、尻尾の長い毛を一つまみ切り取りました。
切った毛はばらばらにならないようにゴムでまとめ、いつでも柔らかいインディの毛に触れるように小さなビニール袋に入れました。
バスタオルをひいて寝かせ、ピンクのユリの花で飾りました。
火葬場の人は、私がいつまでも泣いて離れないので少し待っていてくれました。

一時間後、インディは小さな骨壷の中に入っておうちに戻ってきました。
高齢のせいか、骨はとても薄くてもろくて、触るとすぐぼろぼろになりそうです・・・
インディのお骨はいつも日向ぼっこしていた出窓に置くことにしました。

ブリーダーさんのところにいる頃から胃腸が弱く、私のうちにはじめてやって来た時も下痢している子猫でした。
何度も何度も下痢や熱や風邪で病院に通い、当時のお医者さんには、「あなたが飼い主だから生きていられる。」といわれていました。
おなかが弱いのでブリーダーさんの指示で子猫のうちはささみをゆでたものに子猫用の粉ミルクをかけたものや、牛ひき肉を湯どうししたもので育てました。
私は彼を溺愛し、でも体が弱かったのでそんなに長くは生きないんじゃないか・・・これほど愛しているのに死んでしまったら耐えられないと思い、愛情を分散させるためエレナを飼いました。
子猫のエレナが来たのはインディが2歳の時。
しかし、やんちゃなエレナのおかげでインディは競うようにご飯を食べるようになり、身体もどんどん丈夫になってきました。

あとたった12日で17歳のお誕生日でした。
あれほど体が弱く、育たないのではないかと思った子猫が、こんなに長生きするなんて当時は考えもしませんでした。
本当にずっと一緒にいてくれた。
17年間の間に何度も何度も引っ越しました。
台湾にさえ引越しました。
その全ての引越しに一緒についてきました。
本当に愛していました、これまでもこれからもずっと。
17年前、インディがうちに来たときから、いつか私が死んだ時は、この子のお骨を一緒に埋葬してもらおうと決めていました。
だからこれからも、ずっと一緒です。


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