いわずと知れたウイーンの名門ホテル
国立歌劇場に隣接して凛としたそのたたずまいは圧巻
さてその一階にカフェザッハーがあって
かの有名なウイーン菓子ザッハトルテはここで食べることが出来る
もう随分以前ウイーンに行った時のこと
午後の3時くらいに来店したら
中央のテーブルがひとつリザーブされいる
ペーパーナフキンが5枚セットされいて
すると間もなく初老の美しい貴婦人がお越しになり
あわただしくギャルソンがテーブルまでエスコート
さてこの貴婦人
用意された新聞を手にまず一枚目のペーパーナフキンをとりホルダーの部分を拭き始めます
やがて珈琲が運ばれ二枚目のペーパーナフキンでティースプーンを拭きます
そしてケーキ、もちろんフォークを三枚目のペーパーナフキンで、といった具合に
退店されるまでにきちっと五枚のペーパーナフキンを使いきられた
この儀式(と呼んでいいくらい厳かにみえた)はおそらくもう何十年と続いているのだろう
サーブするギャルソンがほんと嬉しそうな顔
これもひとつのカフェのもつ文化なのかと感じた
いったいあの素敵な貴婦人は誰なんだろう