讃喫茶室

珈琲屋のおやじのぐだぐだ

ミュンヒに伺う Part.4

2011年06月10日 | 日記
ほんとうに勝手な解釈であるので全く失礼

料理人が徹底的におこなうエキュメや

菓子職人が時間をかけて作るクレームパティシエール

パン職人が丁寧におこなう発酵とか

味を作っている僕の知りうるすごいなぁと思える人は

時間・労力・経験・知識・そしてカン

そういったことを退屈なまでの過酷な繰り返しの年月をかけ体得しすごみに到達している

そして到達して言われるのが“素材のうまみを最大限に”だ

じゃあ採れたての新鮮な野菜をそのままガブリ!

これが一番だよなぁということなのだけれど

精魂こめて人生をかけた料理人・菓子職人・パン職人

そしてぼくの世界である珈琲職人の人々がつくりだすものは

“採れたての新鮮な野菜をそのままガブリ”の世界とは真逆と思っている

田中さんを訪ねて

珈琲をここまでいじめて(すいません)

珈琲と語って

だれより珈琲を愛して

気持ち悪いくらい(すいません)のめり込んで到達された

“熟成樽仕込み氷温珈琲16年物”

出会えてよかった

6年後

熟成樽仕込み氷温珈琲のセカンドバージョン楽しみだ












ミュンヒに伺う Part3

2011年06月09日 | 日記
なにやら怪しげな小ぶりの樽をカウンターの奥から持ち出された

田中さんはなんだかニヤニヤしている

「これがぼくの珈琲人生の行き着いた今の形や

 少しまってな5分したらワンスプーン淹れてあげるから」

なんでも1Kgの豆を使って4時間くらいの時間をかけて抽出される

かなりというか尋常ではない濃度の珈琲を何回もつづけ

オーク樽にためてそれをマイナス3度程度の温度で16年ねかせたもの

(この工程は聞き覚えなので正確ではないかもしれません)

大きな樽で作られていたのだけれどもうこの小さな樽にしか残されていない

まさしくとんでもである

珈琲屋の常識では考えられない

奇人・変人という領域すらこえている

5分たった

「どうぞ」

まさにワンスプーン

びっくりした

正直ことばを失った

正しいのか間違っているのか

うまいのかまずいのか

珈琲か否か

口にしたことのないもの

どう表現したらよいものか

僕ではまったく全く判断できない

これはいったいなんなんだろうか

ただ田中さんは笑っているだけ

経験させていただいた

ただそれだけ今は

言葉を失ったままミュンヒをあとにした




熟成樽仕込み氷温珈琲16年物



もうこれだけになってしまった小さな樽


ミュンヒに伺う Part.2

2011年06月08日 | 日記
半分あいていた扉をさらに開けて

「こんにちは」というと

「やぁ、ようお越しすぐにわかった?」と笑顔の田中さん

確かに周りの様相は随分変化していた

イメージは畑や田んぼばかりのところにぽつんとある

そんな感じだったのが今やこじゃれた住宅街になっていた

「ここまできて少し迷いました、なんだかお洒落な街になってるじゃないですか」というと

「なにゆうてんねん、昔からお洒落なとこやねんぞ」と

バカラのグラスでつめたいお水をお出しいただくと

「まずはデミタスの苦味の苦味を飲んでもらう

 1800円!

 100g豆使って50分かけていれるから

 まぁゆっくりしていき~な」

相変わらずである

このあけすけな感じが大阪しかも田中さんならでは

非常な細引きでゆっくりドリップしはじめた

むろんネルである

やはり何もかもが想定外

もっとも奇人・変人といわれる所以である

田中さんの珈琲論を聞きながらの50分はあっとゆう間だった

カフェ・ド・ランブルのオリジナルデミタスカップにそそがれた80CC程度の珈琲

漆黒で透明感のある光り輝くものだった

「おまたせ、どうぞ」

「いただきます」

うまい・・・・

めまぐるしく動く現代社会にあって

まるで時間が止まったかのようなこの空間

いち珈琲屋としてこの時間

楽しくて仕方が無い

「田中さん僕にいわれても嬉しくもないかもしれないですが美味しいです」というと

「そんなことあらへん、そういわれたら嬉しいよ」と

25年の間の話をお互いに交わしていると

「せっかく来てくたんやから一杯サービスするわ

 熟成樽仕込み氷温コーヒー16年物!」

「はぁ?」

と答えた自分がさらにガツンとおどろくこととなる
 


苦味の苦味珈琲を淹れてくださる田中さん







ミュンヒに伺う Part.1

2011年06月07日 | 日記
ほんと何年ぶりだろう

田中さんのお店“ミュンヒ”にお伺いするのは

おそらく20数年ぶりと記憶している

先日ふらっと讃喫茶室においでいただいた

「おっ元気!久しぶりやなぁ」と田中さん

「わぉご無沙汰しております、田中さんもお変わりなく」と僕

いろいろ会話も弾み

「うちにも遊びにおいで~や」

「ぜひ伺います」とお約束をさせていただいた

少し優しくなられたなぁ

正直そう思った

まぁお互い年を重ねているので

昔のようなギラギラは影を潜めてもおかしくはない

きのう大阪の南部に位置する八尾の刑部に向かった

目的は“ミュンヒ”である

奇人・変人と数々の代名詞を付けられた自家焙煎珈琲店

店主の田中さんはまさしく変わり者(自他共に認める)だ

カブというスクーターでそれこそ全国を滑走する

目的は珈琲屋めぐりだ

おそらくきつめの大阪弁であちこちでやらかしているんじゃないかと尋ねると

「そんなことはないよ、おれは非常に紳士なんや

 どこへいってもおとなしいもんや」と田中さん

はなはだ疑問である

でも僕はそんな田中さんが好きでしかも尊敬している

やってみろと言われてもけして出来ない領域にいらっしゃる

いいとか悪いとか、正しいとか正しくないとかをこえている

もちろん「ありえね~」って思う事だらけなのだが

そんな田中さんの生き様は強烈で愛すべきである

と僕はかんじている

田中さんも「やっぱり久しぶりやのに妙に君とはうまがあうなぁ」

といってくれる

20数年ぶりにミュンヒのドアを開けた