白琥は、ベランダの階段に いつでも逃げられるように斜めの態勢で
こちらを窺っています。
首輪がみえました。鈴も名札もちゃんとついていました。
「びゃっこー
びゃこたん!
おかあしゃんだよ
おかあしゃんよ!
ささみもってきたのよ!
はくちゃん、まってるよ!」
説得?してみるのですが
及び腰のまま、ベランダの階段からこっちをみているだけで
におー、におーと 聞いたことのない声で鳴き
寄ってきません。
それで、しかたなく、ベランダのほうへそっと進みました。
すると、やっぱり ぱっと と
下の笹の茂みに飛びこんでしまいました。
それきり、笹の音も鈴の音も、なんの気配もしません。
しーんとなってしまいました。
「びゃっこー!
びゃこたん!
おかあしゃんだよ!」
ベランダに上って見下ろしてみましたが
もうどこにも姿も気配もありません。
ここで、出遭うことができたのに
このまままた失ってしまうのか
思わず、お願いします!お願いします!と聖アントニオのメダルを握りしめ
それから、すこし後退してみることにして
ベランダから降り、径(こみち)をお家の玄関のすこし手前まで戻りました。
そこでしゃがんで、ササミジャーキーを手に
呼び続けました。
全身が心臓のようにどきどきして、それに泣き出しそうです。
「びゃっこーーー」
するとまた、かすかな声が、 におー といい、
また におー といいました。
ほんの少しずつ、声が近づいてきます!
におー、
におー、
と、わたしの呼ぶ声に一声ずつ応えるように近くなり、
縁の下から
顔が覗きました!
におー
こわい顔をして、口がさけるように見えるくらいおおきく開けて
におー
におー
におー
猫の一歩、また一歩
ほんの数センチずつ
だるまさんがころんだみたいに
近くなってきました。
いちど、車が後ろの通りを通り過ぎていったときは、
びくっとして、また逃げそうになりました。
ついに、縁の下を出て、
わたしの手のササミのところまで…
手が震える…
そして、やっと、、おそるおそるササミを口にしました!
左手を伸ばして、あたまを…
撫でられました!
その瞬間、その左手で首輪をぐっと掴み、
ササミを持っていた右手で、
探索の都度、必ず持って歩いていた
猫を入れるバッグを振り回して中身を地面にぶちまけ、
(保定のためのバスタオルと、軍手、ササミジャーキー、懐中電灯、家のカギを入れていました)
そのバスタオルを片手で拾って、
猫の全身をくるみ込みました。
白琥は、ちょっとびっくりしてばたばたっとしましたが
思ったほど抵抗せず
ぶじにくるむことができ
そのまま猫のバッグにいれて、ササミもいれて
バッグのファスナーをしっかりしめました。
わたしは全身がぶるぶる震えていました。
地面に振り回して落としたものを拾い、
猫のバッグを肩にかけてしっかりと抱き
立ち上がり家に向かって歩きながら、
うわーーーんと泣きながら、
ポケットのケイタイを引っ張り出して娘に電話しました。
「びゃっこ、つかまえたよーーーー」
白琥は、ちょっとだけバッグのなかで動いて、
うわー、おわーと鳴きました。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ、びゃこたん!
帰ろうね!」
それから家までの道すがら、
泣きながら母、すみこさん、IKさん、TGさんにも電話しました。
黄昏の薄闇のなかに、まわりの樹木や家々が、溶け込みはじめていました。
家につき、部屋に入り、ドアをしっかりと閉め、
大騒ぎになるかもしれないので用心しながらバッグをあけると
意外におとなしく、抱かれるままに出てきました。
出してあったハーネスをしっかりとつけ、急いで全身状態を見ました。
痩せてすこし体が平らになっていましたが
結構毛並みもわるくなく、
ノミや、一番心配だった笹ダニも耳にも目のふちにも見当たらず、
なでるとおとなしく、わたしによりかかって、
ビックリしてしまって食べられなかったササミもすこし口にしました。
そこへ、すみこさんがぽろぽろと泣きながら、来てくださり
IKさんご夫婦がよかった、よかったねーと、文字通りとんできてくださいました。
もともとひとなつこいコなのですが
白琥はながーくなって、
なんだかぼーっとして
よかったよかったとみんなに撫でられていました。
すみこさんとIKさんが帰っていかれ、
そして、管理事務所やホテル、気にかけていてくださったいろいろな方のところにすぐに、「みつかった!!!」と連絡してくださったようでした。
「びゃっこ」と撫でると、
すりすりしてくれます。
爪を切り、全身を拭きました。
新しく入れた水をのみ、すこしカリカリを食べました。
はじめ連絡がつかなかったTGさんが
とんできてくださいました。
そこへ、すみこさんが、
「これから、ありあわせだけど、夕ご飯とお酒をもっていってあげる!!」
とお電話くださり、
大きな籠に、ポークソテーとチーズやサラダをたっぷりと、
氷の入った器と、お酒をもってきてくださいました。
それに、昨日IKさんからいただいた
チーズ入りのスティックと、クミンのはいった焼き菓子を添えて
プチ宴会になりました。
彼にとって知らないひとたちで、にぎやかだったのに
白琥は、いぜんのようにまたのびあがってすりすりしてくれて
それから、わたしの横でぐーぐー寝ていました。
完全なREM(Rapid Eye Movement)睡眠に入っていて
手も目もピクピクして、ぐっすり。
「よっぽど、疲れてるのね」と
すみこさんが笑っていました。
おつかれさん
その夜のびゃこたん
外では月明かりが清(さや)かに
夏のおわりの山や森や家々を照らしていました。
2011年9月10日土曜日
満月の二日まえの月の、夜でした。
白琥が、カギのしっぽを立てて
いそいそと出て行ったあの晩と
おなじ月齢の夜でした。
こちらを窺っています。
首輪がみえました。鈴も名札もちゃんとついていました。
「びゃっこー
びゃこたん!
おかあしゃんだよ
おかあしゃんよ!
ささみもってきたのよ!
はくちゃん、まってるよ!」
説得?してみるのですが
及び腰のまま、ベランダの階段からこっちをみているだけで
におー、におーと 聞いたことのない声で鳴き
寄ってきません。
それで、しかたなく、ベランダのほうへそっと進みました。
すると、やっぱり ぱっと と
下の笹の茂みに飛びこんでしまいました。
それきり、笹の音も鈴の音も、なんの気配もしません。
しーんとなってしまいました。
「びゃっこー!
びゃこたん!
おかあしゃんだよ!」
ベランダに上って見下ろしてみましたが
もうどこにも姿も気配もありません。
ここで、出遭うことができたのに
このまままた失ってしまうのか
思わず、お願いします!お願いします!と聖アントニオのメダルを握りしめ
それから、すこし後退してみることにして
ベランダから降り、径(こみち)をお家の玄関のすこし手前まで戻りました。
そこでしゃがんで、ササミジャーキーを手に
呼び続けました。
全身が心臓のようにどきどきして、それに泣き出しそうです。
「びゃっこーーー」
するとまた、かすかな声が、 におー といい、
また におー といいました。
ほんの少しずつ、声が近づいてきます!
におー、
におー、
と、わたしの呼ぶ声に一声ずつ応えるように近くなり、
縁の下から
顔が覗きました!
におー
こわい顔をして、口がさけるように見えるくらいおおきく開けて
におー
におー
におー
猫の一歩、また一歩
ほんの数センチずつ
だるまさんがころんだみたいに
近くなってきました。
いちど、車が後ろの通りを通り過ぎていったときは、
びくっとして、また逃げそうになりました。
ついに、縁の下を出て、
わたしの手のササミのところまで…
手が震える…
そして、やっと、、おそるおそるササミを口にしました!
左手を伸ばして、あたまを…
撫でられました!
その瞬間、その左手で首輪をぐっと掴み、
ササミを持っていた右手で、
探索の都度、必ず持って歩いていた
猫を入れるバッグを振り回して中身を地面にぶちまけ、
(保定のためのバスタオルと、軍手、ササミジャーキー、懐中電灯、家のカギを入れていました)
そのバスタオルを片手で拾って、
猫の全身をくるみ込みました。
白琥は、ちょっとびっくりしてばたばたっとしましたが
思ったほど抵抗せず
ぶじにくるむことができ
そのまま猫のバッグにいれて、ササミもいれて
バッグのファスナーをしっかりしめました。
わたしは全身がぶるぶる震えていました。
地面に振り回して落としたものを拾い、
猫のバッグを肩にかけてしっかりと抱き
立ち上がり家に向かって歩きながら、
うわーーーんと泣きながら、
ポケットのケイタイを引っ張り出して娘に電話しました。
「びゃっこ、つかまえたよーーーー」
白琥は、ちょっとだけバッグのなかで動いて、
うわー、おわーと鳴きました。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ、びゃこたん!
帰ろうね!」
それから家までの道すがら、
泣きながら母、すみこさん、IKさん、TGさんにも電話しました。
黄昏の薄闇のなかに、まわりの樹木や家々が、溶け込みはじめていました。
家につき、部屋に入り、ドアをしっかりと閉め、
大騒ぎになるかもしれないので用心しながらバッグをあけると
意外におとなしく、抱かれるままに出てきました。
出してあったハーネスをしっかりとつけ、急いで全身状態を見ました。
痩せてすこし体が平らになっていましたが
結構毛並みもわるくなく、
ノミや、一番心配だった笹ダニも耳にも目のふちにも見当たらず、
なでるとおとなしく、わたしによりかかって、
ビックリしてしまって食べられなかったササミもすこし口にしました。
そこへ、すみこさんがぽろぽろと泣きながら、来てくださり
IKさんご夫婦がよかった、よかったねーと、文字通りとんできてくださいました。
もともとひとなつこいコなのですが
白琥はながーくなって、
なんだかぼーっとして
よかったよかったとみんなに撫でられていました。
すみこさんとIKさんが帰っていかれ、
そして、管理事務所やホテル、気にかけていてくださったいろいろな方のところにすぐに、「みつかった!!!」と連絡してくださったようでした。
「びゃっこ」と撫でると、
すりすりしてくれます。
爪を切り、全身を拭きました。
新しく入れた水をのみ、すこしカリカリを食べました。
はじめ連絡がつかなかったTGさんが
とんできてくださいました。
そこへ、すみこさんが、
「これから、ありあわせだけど、夕ご飯とお酒をもっていってあげる!!」
とお電話くださり、
大きな籠に、ポークソテーとチーズやサラダをたっぷりと、
氷の入った器と、お酒をもってきてくださいました。
それに、昨日IKさんからいただいた
チーズ入りのスティックと、クミンのはいった焼き菓子を添えて
プチ宴会になりました。
彼にとって知らないひとたちで、にぎやかだったのに
白琥は、いぜんのようにまたのびあがってすりすりしてくれて
それから、わたしの横でぐーぐー寝ていました。
完全なREM(Rapid Eye Movement)睡眠に入っていて
手も目もピクピクして、ぐっすり。
「よっぽど、疲れてるのね」と
すみこさんが笑っていました。
おつかれさん
その夜のびゃこたん
外では月明かりが清(さや)かに
夏のおわりの山や森や家々を照らしていました。
2011年9月10日土曜日
満月の二日まえの月の、夜でした。
白琥が、カギのしっぽを立てて
いそいそと出て行ったあの晩と
おなじ月齢の夜でした。
時間も考えずごめんなさいm(__)m
たちわかれの句で検索していたらこの記事を見つけました。
随分前の記事ですが、見つかってよかったですね。
本当によかった。
私の猫ちゃんも帰ってこなくて半月経ちます。
行きそうな場所を探しても近所の方に聞いても情報も何も無し。
やっぱりなすすべ無いのですね。
たちわかれ~の句、玄関に貼っていますが猫の出入口がいいのですね。
書き直して貼ってみようっと。
見どうなるのかとハラハラしていましたが、見つかった!というこの記事を読んで涙が出てきました。
白琥ちゃん愛されて幸せですね。
これからも大切にしてください(*^^*)
私も大切なあの子にまた会えるようにやれる事をします。
希望もらいました。
ありがとうございます。
帰ってきてくれるといいですね。
白琥は、毎晩わたしと一緒にくっついて寝ています。
はやくかえっておいで~