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私の空

蝶のように毎日旅立てれば…

春を待つ

2019-02-14 12:17:35 | 


 夏に生まれた娘は、未だ春を知らない。
 見せたい景色は世界中にたくさんあるけれど、まず君と一年で最も美しい季節を迎えたい。

産後所感4 キャリアについて

2018-09-18 11:18:46 | 
“I was obsessed like that, and I liked it that way for a while. Just working and working and working… But it wasn’t until I had two little angels come into my life that everything changed. I knew I had to be better, I knew I had to go higher, I knew I had to be stronger than I had been before. It was through that unconditional love that my career, my whole life became clearer in every way, and now today I stand here, stronger and better than ever. So thank you, Max and Emme…”
「そんな感じで夢中になっていて、しばらくそれで良かった。仕事して、仕事して、仕事して…でも二人の天使を授かってから、全てが変わった。私はもっと良くならないと、もっと高みを目指さないと、以前よりももっと強くならないといけないと悟った。その無条件の愛を通じて、私のキャリア、私の人生全てがあらゆる方面においてよりはっきりした。そして私は今日、今までで一番強く、最高の自分としてここに立っている。マックスとエミー、どうもありがとう。」
 ジェニファー・ロペス、MTV Video Vanguard Award 2018受賞スピーチより

 これまでの功績を称えるMTVのVanguard Awardを受賞した際、ジェニファー・ロペスはまず2008年に出産した双子に感謝の念を伝えた。子どもをもつことがキャリアの妨げではなく、むしろJ.Loがより高みを目指すきっかけになったことは、私にとって大きな励みだ。受賞スピーチの前、ジェニファーが魅せた49歳とは思えないキレキレなパフォーマンスこそ、彼女の言葉を何よりも裏付ける。
 来月職場復帰を控えた今、不安と寂しさに後ろ髪を強く引かれながらも、20代の頃から精一杯頑張ってきた仕事に戻れることはありがたいし、楽しみでもある。そして子どもとの時間を削ってまで仕事をするからには、娘に恥じない質の高い仕事をしたい、と強く思う。
 先日「Maiko 再びの白鳥」という、出産を経たバレリーナが舞台に復帰するまでを追ったドキュメンタリー映画を見た。私は西野麻衣子のようなノルウェー国立バレエ団のプリマドンナにも、世界を股にかけて多方面で活躍するジェニファー・ロペスにも勿論到底及ばないが、子どもがいるからこそ努力できる、より高いところを目指せるという彼女たちの言葉を胸に、私も頑張りたい。

産後所感3 女性性について

2018-09-10 18:55:16 | 
Whatever you want, whatever you need
Anything you want done, baby
I'll do it naturally
'Cause I'm every woman
It's all in me, it's all in me
欲しいこと 必要なこと
何だって自然体でやってあげる
私はあらゆる女性だから
全て私の中に備わっている
 ホイットニー・ヒューストン「I’m Every Woman」

 数か月後には母になる。その事実に私は困惑した。

 望んだ妊娠だった。支えてくれるパートナーもいる、家族も喜んでいる、職場も温かく見守ってくれている、産後戻る場所がある。それなのにあと少しで授かる「母」という称号は、気が滅入りそうなほど重圧に感じられた。身体が心と反比例するかのように刻々と変化する中、幼い頃に繰り返し車の中で聴いた曲を思い出した。映画「ボディガード」のサントラに収められていたホイットニー・ヒューストンの「I’m Every Woman」。女性性が高らかに謳い上げられている。
 妊娠して初めて気づいたことがあった。それは自分が哺乳類であり、そして何よりメス、「女性」であるということ。勿論それは疾うの昔から知っていることではあったが、本当に実感したのはこの時が初めてだった。「男女平等」が少なくとも理想であると教えられてきた世代に属し、職業柄かこれといった性差別の経験に見舞われたことが幸いない身であった私にとって、女性であることを大きく意識する機会が今までなかったのだろう。しかし妊娠と出産は、これも当たり前のことながら、女性である私の役割だった。夫に一日たりとも代わってもらうことができなかった。ぱあっと出かけていきたい日があっても、キャリアにとってまあまあ大事な出張があっても、何かと体調に配慮せざるを得なかった。時には痛みを伴う検診を受けるのも私、体重管理をするのも私、カフェインや生ものを気持ち控えるのも私、育児休業のことであれこれ頭を抱えるのも私、そして出産するのは今回のみならず次回も次々回も私。そうか、私は女性であったのか。夫がかなり献身的に私を支えてくれているのはわかっていた。それでも同じ第一子が生まれるにも関わらず、私と夫は産前から全く異なる経験をしていたのだ。
 そんなモヤモヤを抱えながら、何か出口を求めるようにこの曲を何度も何度も聴いた。「'Cause I'm every woman/It's all in me, it's all in me…I ain't braggin' 'cause I am the one/You just ask me, ooh, it shall be done/And don't bother to compare, I've got it 私はあらゆる女性だから/全て私の中に備わっている…自慢しているわけじゃない 私こそが選ばれし者/願いは全て叶えてあげる/比べものなんかにならない 私はもっている」この自信に満ちた歌詞をホイットニーのあの伝説的なパワーボーカルに乗せて聴けば聴くほど、妊娠と出産が女性に課せられた苦しみなのではなく、むしろ強さと柔らかさを兼ね備えた女性だからこそ任された大仕事、そしてそれは女性のみに許された比類ない喜びなのではないか、と感じるようになった。大変なこともたくさんある、でもお腹の中で赤ちゃんが動いているのを感じることができるのは私だけ、日に日に身体が変化していく経験をできるのは私だけ、そして赤ちゃんを産めるのは私だけ。男性は見ていることしかできないのだ。
 産後も夫は積極的に育児に参加してくれており、オムツ替えやあやしなど、私でも夫でもできる作業がほとんどである。それでも授乳は母乳の出る私だけができる。その分行動範囲などはどうしても限られてしまうが、赤ちゃんに栄養を直接与えられるとはすごい能力である。

 今回初めて知ったが、「I’m Every Woman」のPVはどうもホイットニーが妊娠中に撮影されたようで、彼女が膨らんだお腹を撫でる様子で動画は終わる。ホイットニーはどんな思いでこのビデオの撮影に臨んだのだろうか。天国にいる歌姫に聞いてみたい。

産後所感2 「Little Star」

2018-09-05 14:33:41 | 
Never forget who you are
Little star
Never forget how to dream
Butterfly
自分が誰であるか忘れないで
小さなお星さま
夢を見ることを忘れないで
蝶々のような君

God gave a present to me
Made of flesh and bones
My life, my soul
You make my spirit whole
神様から
肉と骨でできた贈り物を授かった
私の全てが満たされていく
 -マドンナ「Little Star」より

 歌手のマドンナは1998年、自身の7枚目のスタジオアルバムとなる「Ray of Light」をリリースした。テクノ系の独特なサウンド、またヨガなどの影響を受けた精神性の高い内容が高く評価され、「最優秀ポップ・アルバム賞」などのグラミー賞を4部門受賞した。またビルボードアルバムチャート初登場2位獲得、前作を大きく上回る売り上げとなり、市場的にも成功を収めた。マドンナのキャリアにとって特に重要なアルバムであることは言うまでもないが、本作が第一子出産後初めて発表されたアルバムであったことも特筆に値する。
 このアルバムが発売された時、私は11歳だった。「Frozen」などのシングルがラジオから頻繁に流れていたからか、このアルバムを購入したのを覚えている。また、このアルバムの良さが当時いまいちわからなかったことも更によく覚えている。自分では大人びていると思い込んでいたが、それでもまだ小学生の私には、砂糖の塊のような単純明快なポップミュージックの方が好みだったのだろう。
 ちょうど20年が経過し、私は31歳になり、母になった。歌手のアデルが産後「Ray of Light」にインスピレーションを求めたという記事をふと思い出したことをきっかけに、このアルバムに「Little Star」というマドンナが幼い娘に捧げた曲が入っていたことも記憶の奥底から蘇った。まだティーンにさえなっていなかった私にとって退屈だった一曲が、一つの命を預かる身になった今の私に大きく、響いた。

Never forget where you come from
From love
どこから来たか忘れないで
愛から来たことを

産後所感1 身体について

2018-09-03 10:05:45 | 
“Right now, after giving birth, I really understand the power of my body… I just feel my body means something completely different. I feel a lot more confident about it. Even being heavier, thinner, whatever. I feel a lot more like a woman. More feminine, more sensual. And no shame.”
「出産を経て、自分の身体がもっている力というものが本当に理解できるようになった。自分の身体が全く違う意味合いをもつように感じるようになった。太ろうが、痩せようが、身体にもっと自信がもてるようになった。自分が女性であることをより実感するようになった、もっとフェミニンで、もっとセンシュアルな感じがする。そして恥ずかしいことなんて何もない。」
 -ビヨンセ・ノウルズ、歌手
Jason Gay“Beyoncé Knowles: The Queen B”, VOGUE, 2013年3月号より)

 両親に妊娠を報告するにあたり、ただ「赤ちゃんが出来た」というのも何となく味気なかったので、ビヨンセに倣って言葉一つ用いずにその旨を告げることにした。正確に言えば、ビヨンセが笑顔一つでその事実を世界中に発信した時の映像を両親にラインで送りつけた。2011年のMTV Video Music Awardsで自身の楽曲「Love on Top」を歌い上げた後、ビヨンセは着用していた紫色のスパンコールをあしらったジャケットの釦を外し、膨らんだお腹を幸せそうに撫でた。それだけである。それだけであるが、会場内は一気に祝福ムードに包まれた。私は言葉の力を強く信じているが、時には言葉が無い方が、伝えたいことがより深く届くこともある。
 先の引用はその2年後、ビヨンセがヴォーグ誌のインタビューに応じた際の記事からの抜粋である。たまたま父がこの号を出張のお土産で買ってきてくれていたので、読んだことを記憶していた。当時の私は20代半ば、子どもをもつことはさることながら、他人と同じ屋根の下で住むこと自体お伽噺でしかあり得ない設定のように思えてならなかった。よってこの記事も、「はあ、そういうものなのかしらねえ」としか感じなかったであろうが、何故だかこの引用部分だけは印象に残った。
 この記事を読んだ3年後、私は同棲を経て結婚をし、その2年後には長女を迎えることになるのだから、変化著しい数年間となったことは言うまでもない。そして出産を経た今、ビヨンセが単に肯定的なボディ・イメージについて述べていたのではないことが理解できる。産後、今まで色々なことをどれだけ過小評価してきたかを思い知らされたが、自分の身体に対する考え方もかなり変わった。徹夜明けの出産をなんとか無事に終え、娘が目の前にいる事実が少しずつ心に浸透するにつれ、私の身体はこんなに強いのか、こんなに素晴らしいことができるのかと、ある種の尊敬の念を抱くようになった。2、3キロ増えようが、日本ブランドのジーンズが入らないほどヒップが広かろうが、そんなこと気にする価値など微塵もない。この身体は一人の命ある人間を作り上げ、産んだのだ。恥ずかしいどころか、誇りに思うべきものである。
 第二子と第三子にあたる双子の出産を経て、ビヨンセはヴォーグ誌の2018年9月号で再び出産と自らの身体について語っている。初産後の経験を踏まえて、二回目の産後をどのように過ごしたかなど、年々円熟していく歌姫の様子が窺える。私自身も今回の出産と産後を数年後どのように振り返るか、楽しみにしたい。