秋季新人戦が始まった
8月28日
この日の開会式に参加し
午後の練習を最後にチームを去る仲間がいた
ある病を持ち
少年野球からずっと野球を続けてきた
病気があるからといって全てを諦めて生きるのは嫌だ
親も子もそう言って走り続けてきた
しかしDr.は
もう、いいでしょうと
親の気持ちだけでは乗り越えられない
命に関わること
もう、野球は無理だ
彼の父はそんなことを私に語りながらたまらず男泣きした
練習が終わって
一言も語らず彼はグラウンドを後にした
その日限り、グラウンドには来なくなることも
仲間に語ることなく
しかし
少年たちは仲間に駆け寄った
全員で
彼を囲み
笑わせようとしたり
小突きあったり
彼の目は涙で曇り
なにも見えなかったかもしれない
しゃくりあげて泣く彼に
いつでも戻ってこいよ
待ってるからな
と声をかける少年たち
そして
彼を囲んで全員で円陣を組む
いつも試合前にする気合入れ
努力や我慢だけではどうにもならない事情で
大好きな野球を諦めなければならなかった彼に
少年たちは何を思ったか
彼の無念を
君たちが彼の分まで
晴らすことができるのか
全力でかかれ