ことぶきと一緒

貧乏劇団座長がデブ猫ことぶきを膝の上にのせて描く徒然日記

甘城美典、休団のお知らせ

2008-06-26 11:52:58 | Weblog
本人のブログにもあるように、今回の作品をもって所属の甘城美典が、いったん劇団を休団することになりました。

今回の脚本を書く前から、甘城の休団は決まっていました。
今から7年前、出版された初期の代表作「ノスタルジック・カフェ」で彼女はブルタクの舞台にはじめて立ちました。
そのときは、御舘田と親子役でした。
御舘田演じる主人公がタイムスリップする設定なので、親子と言っても同い年の22歳を演じました。
それ以来、甘城と御舘田は、今年新しい女優が入団するまでずっと女2人で頑張ってくれました。

今回、彼女が劇団を離れることが決まった時「甘城と御舘田をダブル主演にする」というのは心に誓っていました。
そして考えに考えたあげく生まれたのが
「同一人物を演じさせる」ということでした。

もう当分、青田と御舘田の顔なんか見たくないと思わせるくらい、徹底的にいじめてやろうと思いました。
それが僕なりの彼女の送り出し方でした。
最後だからって優しくだけはしたくなかった。
甘城が抜けるのはものすごく痛い。
僕は彼女を育ててきたという自負もある。
でも彼女は芝居から去る決意をした。
だったら、と僕は鬼になった。
彼女への最高のはなむけは、徹底的にキツい役を与えてしごくことだった。

僕はとうとう千秋楽まで主役の2人を一度も褒めなかった。
脇役がセリフを間違えても「主役の集中力が足りないからまわりが間違えるんだ」と叱った。
御舘田は、僕の気持ちを知ってるから耐えてくれた。
甘城は、最初は「なんでここまで」みたいな気持ちがあったかもしれない。
でももともと根性だけはある女なので、最終的には素晴らしい和歌子を創り出してくれた。

クライマックス。
2人が本気で往復ビンタを食らわせるシーン。
本番で本気で殴るかどうかを最終的に決めたのは2人だった。
そして僕は演出家として決断した。
彼女への最後の演出は「本気で殴れ」だったのだ。
なんてひどい演出家(笑)。

千秋楽をご覧になった方、カーテンコールの彼女の涙はそういうわけだったのです。

打ち上げで、御舘田が手作りの切り絵と、みんなで書いた寄せ書きを渡した時、甘城はまるで小学生のように泣きました。
そして僕は、最後の最後で彼女を褒めてあげました。
ほんとはもっと早く褒めてあげたかったんだよ、ミノリ。

彼女が戻ってくるかどうかはわかりません。
でも戻ってきたら「ダブルキャスト」の再演やりたいですね。
もう一度、親友の御舘田と。

彼女はブルタク初期の代表作「ノスタルジック・カフェ」で劇団デビューし、
そして「歴代No.1」という声の上がった「ダブルキャスト」で去っていきます。

僕は今、彼女を心から誇りに思います。

そしてこの場を借りて、彼女を応援してくださった皆様に心からお礼を申し上げます。

彼女の新しい人生に幸あれ。

公演終了しました

2008-06-24 10:37:09 | Weblog
劇団BLUESTAXI第16回公演「ダブルキャスト」
おかげさまで無事に終了しました。

当初はチケットの売れ行きがイマイチだったんですけど、幕を開けてから口コミとリピーターのお客様でどんどん席が埋まっていくという嬉しい事態が生じ、最終的に連日満員で幕を下ろすことができました。

あまり当事者が、グダグダと作品について書いてもしょうがないので(作品を観てもらってその評価がすべてですから)、内輪的な話だけすると、今回は参加してくれたみんなが千秋楽に「終わりたくなーい!」と言ってくれたことが、主宰としてはとても嬉しかったです。いい現場だったなぁ、と。
その雰囲気が客席に伝わってくれてたんじゃないかと思います。

また同じメンバーで芝居がやりたいです。


ちょっと休んで、次は外部脚本か。

頑張りやす。

あと一週間

2008-06-11 13:14:29 | Weblog
本番まであと一週間となりました。
うちはいつも早い段階で、通し稽古をはじめるので、もう4回ほど通し稽古をしました。
まだまだ詰めの甘いところもありますが「自分のやりたい」芝居にはなっていると思います。
あとはお客様がどう受け取ってくださるかということでしょうが・・・。
今回は30代の女性が主人公ということで、それ以外の世代の人や男性がどれくらい興味を持って観てくれるか不安はあります。
なので、できるだけ構成というか仕掛けというか物語の展開に工夫はこらしてみたんですが・・・。
でも逆に30代の女性に受け入れられるかどうかというのも不安だったりします。
だって僕は30代の女性じゃないから(笑)。
30代の女性の気持ちなんて、わかりませんもん。
わからないから書いてみたというとのが偽らざる気持ちです。
えー、30代の女性からは厳しい感想を言われることを覚悟で、残りの稽古、頑張りたいと思います。
いろいろ賛否両論がはっきり分かれそうな作品ですが(少なくとも今までのブルタクとはちょっと毛色が違う作品ですし)
少なくとも、「こういうのがやりたかった」という作品にはなっているので、自分的にはけっこう満足しています。

日曜日の昼の回が完売だそうで・・・ありがとうございます。
でも他の回は、まだけっこう余裕があるらしい(笑)。
興味のある方はよろしくお願いします♪

「SATC」と「砂時計」と「センセイの鞄」

2008-06-03 13:29:15 | Weblog
「セックス・アンド・ザ・シティ」
略して「SATC」。
僕が愛してやまないアメリカのドラマ。
いよいよニューヨークでは、映画の試写会があったようですねぇ。
日本公開は、8月末だとか。
「めざましテレビ」にチラッとインタビューが映りましたが、キャリーはもちろんのこと、ミランダもサマンサもシャーもみんなステキでした♪
今回の舞台の脚本は「SATC」がなかったらきっと書けなかったでしょう。
それくらい影響を受けた作品でした。
あ~、今からまちどおしい!


「砂時計」ハマってます。
面白いよ、少女漫画! (笑)
さすがに電車で読む勇気はないので(ヒゲづらのオッサンが読んでたらちと怖い)、寝る前に布団の中で1ページ1ページ大切に読んでます。
まだ5巻までしか読んでないのですが、高校生の恋愛に一喜一憂する俺って・・・。


最近、面白い小説になかなか巡り会えなかったのですが、久しぶりにすごい作家に出会いました。
まだ読んでなかったのかよと言われてしまいそうですが、川上弘美さん。
「センセイの鞄」ってのを読んだのですが、実に素晴らしかった。
無駄な描写がないのがいい。
最小限の言葉で描き出す筆力は相当なものだと思います。
例えば、主人公が、1人淋しさに耐えられなくなった時の描写。

『林檎が食べたくなって、かごからひとつ取り出した。母と同じ剥き方をしてみた。途中で皮は切れた。突然涙が出て来て驚いた。タマネギを刻んだのでもあるまいに、林檎で、泣いた。林檎を食べている間も、泣いていた。しゃくしゃくと噛む音の間に、涙が流しのステンレスにぽたりと垂れる音がした。流しの前で立ったまま、食べたり泣いたり、忙しくした。』

こんな感じで感情と情景が巧みにかつシンプルに描き出されていてうなされます。
川上さんの大ファンになっちゃいました。
早速、別の本も購入しちゃいました。


てな感じで、稽古場と家の往復の日々なので、とくに書くこともなく、今や読書(漫画を含む)だけが唯一の息抜きな今日このごろです。

写真は、今回主演の1人、甘城美典。
ヒロインを頑張って演じてます!

撮影は大野朋克さん