ちくま新書です。
筑摩書房といえば、長野の本屋かと思っていました。ずいぶん前に倒産したのも知っていたけど。
文庫本は表紙で購買意欲をかきたてて勢いで購入させるものかと思っていたんだけど、新書って表紙地味だな。
「法隆寺」&「謎」がセットされていると、自動的にその本に手を出す。
著者の武澤秀一氏は建築家という立場から、法隆寺とはなんぞやという謎にアプローチをしています。
私は梅原猛氏の「隠された十字架」に度肝を抜かれたクチなのですが、建築家の方から見ると柱が中門のど真ん中に建っていても別に不思議ではないそうです。
そうだよねー、確かに言われる通り、法隆寺を建物として見るだけではなく、都市空間の一部として見た場合、遠近法ですか。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」のイエス・キリストに視点が集まるように、あの中門の柱を遠近法の中心として、奥行と広がりを演出している(かなり極解してるけど)というのはうなずけます。すごく風景が締まって美しく見えますね。
しかし、それがまた、中門の中央の柱に目線を向けるということになるのは、そこに注目してほしい、そこに謎が秘められているということなのか?とまた振り出しに戻る解釈もできる訳で。
回廊がめぐっていることについては、卵の殻に包まれているというか、閉ざされている空間を想像しています。逆に中にも入れず、外にも出られず。出る時は殻が破壊される時というこれまた極論を妄想してしまいました。
結局、ダレが建てたのかという答えは出ていないし、武澤氏自身は「怨霊封じ込め説」にはやんわり否定しているのですが、飛鳥時代の都市空間に存在する、寺としてというよりは太古から日本人が持つコスモロジーのよりどころとしての法隆寺がそこに建てられた。という解釈(が合っているのかどうかが、いささか怪しい…)はナチュラルで、好きです。
ちょっと超音波で読み進めた感もありますが、まー、そんなところで。
建築家だったら、こんな寺建ててみたいんかなー?と思ってもみました。この人優しいしゃべり方するんだろうなあと思わせる本。
筑摩書房といえば、長野の本屋かと思っていました。ずいぶん前に倒産したのも知っていたけど。
文庫本は表紙で購買意欲をかきたてて勢いで購入させるものかと思っていたんだけど、新書って表紙地味だな。
「法隆寺」&「謎」がセットされていると、自動的にその本に手を出す。
著者の武澤秀一氏は建築家という立場から、法隆寺とはなんぞやという謎にアプローチをしています。
私は梅原猛氏の「隠された十字架」に度肝を抜かれたクチなのですが、建築家の方から見ると柱が中門のど真ん中に建っていても別に不思議ではないそうです。
そうだよねー、確かに言われる通り、法隆寺を建物として見るだけではなく、都市空間の一部として見た場合、遠近法ですか。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」のイエス・キリストに視点が集まるように、あの中門の柱を遠近法の中心として、奥行と広がりを演出している(かなり極解してるけど)というのはうなずけます。すごく風景が締まって美しく見えますね。
しかし、それがまた、中門の中央の柱に目線を向けるということになるのは、そこに注目してほしい、そこに謎が秘められているということなのか?とまた振り出しに戻る解釈もできる訳で。
回廊がめぐっていることについては、卵の殻に包まれているというか、閉ざされている空間を想像しています。逆に中にも入れず、外にも出られず。出る時は殻が破壊される時というこれまた極論を妄想してしまいました。
結局、ダレが建てたのかという答えは出ていないし、武澤氏自身は「怨霊封じ込め説」にはやんわり否定しているのですが、飛鳥時代の都市空間に存在する、寺としてというよりは太古から日本人が持つコスモロジーのよりどころとしての法隆寺がそこに建てられた。という解釈(が合っているのかどうかが、いささか怪しい…)はナチュラルで、好きです。
ちょっと超音波で読み進めた感もありますが、まー、そんなところで。
建築家だったら、こんな寺建ててみたいんかなー?と思ってもみました。この人優しいしゃべり方するんだろうなあと思わせる本。
才気煥発なコメントを愉しく拝見しました。
>回廊がめぐっていることについては、卵の殻に包まれているというか、閉ざされている空間を想像しています。逆に中にも入れず、外にも出られず。出る時は殻が破壊される時というこれまた極論を妄想してしまいました。
凄い想像力に圧倒されます。渋沢龍彦を思い出しました! まさに「胡桃の中の宇宙」ですね。
ただし…、法隆寺の回廊は、この本にもあったように、連子窓でスカスカ、光も風も視線までも通すのでしたね。
>結局、ダレが建てたのかという答えは出ていないし…
天智天皇という答えが出ていたと思いますけれど―。
>太古から日本人が持つコスモロジーのよりどころとしての法隆寺がそこに建てられた。
そうそう、そこのところが単なる謎解きに終わらない、この本、最大の魅力ではなかったでしょうか。同感です!!
そうか、天智天皇が建てたのかー!!
ってここらへんも超音波で読み下していたので、すっとばしていたのだと思います。
結局歴史とは時の権力者によっていいように歪曲されるので、謎ではないことまで謎になるのでしょうかね。
どんな神社仏閣を見てもありがたく思えて大好きです!
>結局歴史とは時の権力者によっていいように歪曲されるので、謎ではないことまで謎になるのでしょうかね。
仰るとおり、と思います。
残された記録があまりないこと、意図的に残した記録は作為を施している場合が少なくないこと、当時のものの考え方が勿論現代とは違うので、そこんところで読み取りを間違えやすいこと。
それらのことが重なって、当時では謎でも何でもないことが、今では謎になってしまうという…
その点、武澤さんの『法隆寺の謎を解く』はかなり当時の仏教作法や価値観を掘り起こしていてスリリングでしたね。
そうそう、そうなんですよね!
当時の文化とかバックグラウンドを掘り起こさないで、今見えることだけを語ると道をあやまりますよね。
でも、昔の人が隠したかったことが科学によって白日の下に晒されるのもなかなか楽しいです。