先程発表した次回の映画 コロナの春
夏夫 四十歳 YouTuber 映画を撮る約束を佐知としていた。
佐知 三十一歳 米屋の娘 米屋がつぶれ、借金を抱えて歌舞伎町で働くことに
あらすじ
J1昇格かと期待された令和元年、大宮のナックファイブスタジアムで偶然隣になった、佐知と夏夫、家が同じ西東京市と言うことで、一緒に帰ることとした。佐知は、西武柳沢の米屋の娘で、夏夫はYouTuberだ。会話が弾み、夏夫が撮ろうとしていた映画に出てくれることとなった。夏夫は大喜び、カメラと録音器具を新調した。大宮の氷川神社にはなかなか行けないので、東伏見の氷川神社がデートの場となった。一週間に二度一緒に合って、神社にお参りをした。富士見池でボートに乗ったり、少し遅い青春を味わった。何度も神社にお参りしたけれど、大宮アルディージャはJ2残留となってしまった。正月は大宮の氷川神社に行って、ふたり初詣をした。来年こそはJ1に上がれますようにとふたり手を合わせた。その日は西武柳沢の駅で別れたんだけど、佐知のお父さんが自転車でこけて入院。佐知は毎日看病することとなった。夏夫はお父さんが元気になって、一緒に映画を撮る日を楽しみにしていたんだけど、中国で新型コロナウイルスが流行り、米屋は潰れてしまった。借金を返そうと団子屋などで働くが足りず、遂に歌舞伎町で働くことを決意する。父は無事退院できたがその時店は畳んだあとだった。
歌舞伎町で働く決意をした。佐知は一人大宮に行っていたのだろう?大宮から夏夫にメールが来た。「私、歌舞伎町で働くこととなりました。さようなら」この時緊急事態宣言明けで、東京アラートが発令したとき。歌舞伎町は新型コロナウイルスの巣だった。夏夫は家を飛び出し走って東伏見駅に向かった。東伏見駅は準急が止まらない。通り過ぎてしまった準急に膝を叩く、各駅に飛び乗り西武新宿に向かったが、探しても探しても分からなかった。次の日米屋に行くが米屋はもう無く、携帯も、電話も繋がらなかった。
夏、佐知から手紙が届いた。「感染しちゃって、その時の看護師と結婚することとなったの、結婚式には来てね」
無力な自分を、そして女の強さを見た。