マシュー・ボーンの振付・演出作品を観るのは、『スワン・レイク』『カー・マン』『くるみ割り人形』に次いで4作目。(『くるみ割り人形』の感想はこちらで)
今回もまたセンスの良い振付と舞台美術で、すっかりマシュー・ボーンのマジックの虜になってしまった。
ある程度完成されたファンタジーだから、マシュー・ボーンがオリジナル映画の美術や音楽から大いにイメージをかきたてられたことは想像できる。その意味では舞台化は表面上では簡単そうに見えるかも知れない。しかし、映画をそのまま踏襲しないでイメージを膨らませ、主人公エドワード(サム・アーチャー)の心理をダンス表現で観客の心に、ストレートにそしてシンプルに届かせたのは、マシュー・ボーンの手腕である。
舞台版のオリジナリティで面白かったのは、プロローグでエドワード・シザーハンズの誕生秘話が加えられ、彼が発明家の死んだ息子エドワードの身代わりに造られたことと、その製作過程が描かれたことである。と言っても、決してB級映画の俗っぽさがないのもマシュー・ボーンの美点だ。
また、根底にあるエドワードの純粋さや、異質なものとして排除されてしまう悲哀は、オリジナルの良さをそのまま引き継いでいる。
映画版では、ご近所のエゴが集団ヒステリーとして描かれていたが、舞台ではその上に町の人々が、エドワードを引き取った4人家族をはじめ、キリスト教聖職者グループ、市長一家、浮気妻一家など6グループに分類されているのも、比較対照できて面白い。
エドワーズのダンスによるハサミ捌きも興味のひとつだが、製作例を見せておいて、後で作品たちが踊るトピアリー(植木の装飾的刈り込み)の幻想場面と、その後のハサミを外したエドワードとキムのデュエット・ダンス(パ・ドゥ・ドゥ)は感動的だ。
幻想から現実に戻ったエドワードの手には元通りハサミがあり、失望に打ちひしがれて幕となる第1幕は、第2幕の彼の悲劇を予感させて切ない。
欲を言えば、クリスマス・パーティーのダンス場面が延々と続き、ダンサーは大変だったろうが、少々長く感じた。
氷彫刻の破片が飛び散り雪になり、悲しいラストにどんな効果をもたらすのか、この美しい場面は観てのお楽しみということにしておこう。
(2006-8-19、ゆうぽうと簡易保険ホールにて、butler)
今回もまたセンスの良い振付と舞台美術で、すっかりマシュー・ボーンのマジックの虜になってしまった。
ある程度完成されたファンタジーだから、マシュー・ボーンがオリジナル映画の美術や音楽から大いにイメージをかきたてられたことは想像できる。その意味では舞台化は表面上では簡単そうに見えるかも知れない。しかし、映画をそのまま踏襲しないでイメージを膨らませ、主人公エドワード(サム・アーチャー)の心理をダンス表現で観客の心に、ストレートにそしてシンプルに届かせたのは、マシュー・ボーンの手腕である。
舞台版のオリジナリティで面白かったのは、プロローグでエドワード・シザーハンズの誕生秘話が加えられ、彼が発明家の死んだ息子エドワードの身代わりに造られたことと、その製作過程が描かれたことである。と言っても、決してB級映画の俗っぽさがないのもマシュー・ボーンの美点だ。
また、根底にあるエドワードの純粋さや、異質なものとして排除されてしまう悲哀は、オリジナルの良さをそのまま引き継いでいる。
映画版では、ご近所のエゴが集団ヒステリーとして描かれていたが、舞台ではその上に町の人々が、エドワードを引き取った4人家族をはじめ、キリスト教聖職者グループ、市長一家、浮気妻一家など6グループに分類されているのも、比較対照できて面白い。
エドワーズのダンスによるハサミ捌きも興味のひとつだが、製作例を見せておいて、後で作品たちが踊るトピアリー(植木の装飾的刈り込み)の幻想場面と、その後のハサミを外したエドワードとキムのデュエット・ダンス(パ・ドゥ・ドゥ)は感動的だ。
幻想から現実に戻ったエドワードの手には元通りハサミがあり、失望に打ちひしがれて幕となる第1幕は、第2幕の彼の悲劇を予感させて切ない。
欲を言えば、クリスマス・パーティーのダンス場面が延々と続き、ダンサーは大変だったろうが、少々長く感じた。
氷彫刻の破片が飛び散り雪になり、悲しいラストにどんな効果をもたらすのか、この美しい場面は観てのお楽しみということにしておこう。
(2006-8-19、ゆうぽうと簡易保険ホールにて、butler)
butlerさんは結構ミュージカルやマシューの舞台もご覧になるようですね。
私はくるみ割りはDVDでしか見た事がありません。
今回のシザーハンズはくるみ割りの要素がかなり感じられましたが…。エタ・マーフィットが年相応な役柄を今回は演じているのがまた興味深いです。笑
映画の影響か、結構演劇的要素が強く見所はダンス以外にあるのかなとも思いますが、いつもの意外性ある演出にはわかってはいても満足してますし、風刺しているような描写を面白おかしく魅せてくれるあたりは今回もマシュー節が効いていてとても楽しめました。
私はマシュー作品の中毒患者なので・・・あと何回か見る予定です。笑
TB&コメントありがとうございます!
マシュー・ボーンの振付の特質のひとつに官能性があると思うのですが、今回はコミカルな振りで中和していましたね(笑)。
それにしても、町の人たちが末端まで、実に個性的に演技してますね。同じ振りで踊っても個々のキャラが目立っています。
おっしゃられる通り、マシュー作品は一度ハマルと、まさに中毒患者です(笑)。
自分はマシューボーン初体験だったんですが、
映画版が大好きだったこともあって、すんなり
入り込むことが出来ました。
冒頭の場面は映画になかった部分ですよね。
でも基本的に映画のテーマとか芯となる部分を
ほんとに忠実に表現しているなぁと思いました。
もちろん舞台は生ものなので、見る日によって
随分印象が変わるんでしょうけど、また機会が
あればゼヒ観たい!と思いました。
TB&コメントどうもありがとうございます!
今回は振付に目新しいところが見当たりませんでしたが、
それでも、個々のダンサーが個性的に演技しているのは
よく分かりました。
エドワードはジョニー・デップのキャラをコピーした感じでしたね。
ボーンのスワンレイクはビデオ鑑賞しました。王室が出ていてよかったです。ミュージカル大好きです。よろしくお願いします。