煌明公司nettaskforce

こちらは「ガンダムSEED」のディアミリファンサイトです。個人の趣味での二次製作作品をご理解の上閲覧くださいませ。

ディアミリ二次創作 夏至祭5

2020年06月20日 | 小話
 水の音がする。雨が降り出したようだ。
 重い体を起こし、窓から空を見上げる。病室の窓から見える灰色の空は、20時をまわってもまだ明るかったが、次第に雨雲につつまれていく。稲妻も走り遅れて遠雷も聞こえててきた。
天気予報では、今夜から明朝にかけて降水確率が高いと発表していた。
「週末の夏至祭は晴れるといいな…。」
 
 北欧の国々では、短い夏を祝い、盛大な夏至祭が催される。ここ、スカンジナビア公国でも然り、夏至に近い週末は各地でイベントがあり、盛り上がる。もちろん、郊外の別荘でのんびりと初夏を味わう人もいる。それぞれが思い思いの夏を楽しむのだ。
 公国に来たばかりの頃、ディアッカと夏至祭を観光しようと、楽しみにしていた。思いがけず新たな命を宿した今は、出産を控え出歩くこともままならない。体調は良いのだが、おなかがせり出して靴がうまく履けないのだ。(笑) ヨタヨタとペンギンのような足取りで人込みは歩くのも危ないし、お楽しみは来年までお預けだ。来年の夏至祭は生まれてくる子とディアッカと3人で過ごせると思うと期待が2倍に膨らむ。
「来年が楽しみだね。」
 お腹を撫でながら、独り言をつぶやいた。

 その時、一際激しい稲光と雷鳴が轟きわたった。一瞬身を縮め息を呑む。近くに落雷したのかと思った瞬間、いままで体験したことのない痛みが体中を駆け抜けた。
 陣痛が始まったのだ。

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