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一日の終わりに

良性のはずだった右胸のしこりが、検査の結果一転悪性の可能性あり。
わたしって乳がん?

先週の今日

2009-08-25 18:18:16 | 退院後
1週間前の今日が、手術だった。
この時間は、身動きできず、仰向けのままベッドの上だった。
まだ水は飲んではいけなかったので、
うがいだけ許されていたが、
顔を横に向けるとめまいがして、つらかった。
体を横に向けるだけで、傷が痛かった。
何の感慨もなく、ベッドに寝ていた。

思えば、わがままなわたしだったかもしれない。
暑い。
背中がかゆい。
シーツのしわが気になる。
うがいがしたい。
母と夫がついていてくれたが、
あれこれ要求したなあ。
二日後に手術した人たちは、家族がつきっきりではなかったからか、
静かに横になっていたように思う。

今思っても、涙がじわっとくるけど、
手術した事実を自分のなかに受け入れるのって、難しい。
わがままを言うことで、
自分を心配してくれている人の存在を確認していたのだと思う。

手術前のわたしに、
心配する必要はないからね。
眠れない時はメールしてきてねと言ってくれる友がいた。
気にしてくれる人の存在を、とても嬉しく思っていた。

いろんな人が気にしてくれて支えてくれたんだと思う。
友の言葉はとても嬉しいけど、やっぱり一人で涙ホロリのわたしがいる。
1週間くらいでは、全然強くなれないなあ。。。

昼寝

2009-08-24 18:08:51 | 退院後
聴覚障害者は、一人でいるときは障害者ではないという。
人とコミュニケーションをとる必要がないから、
聞こえないということを意識しなくてすむから。
わたしもひとりでお昼寝しているときに、ガン患者だということを忘れていた。
痛くないし、胸の変形を気にする必要もないし、
一人でゴロンとしていると、今までとなにもかわっていない気になった。

久しぶりに、一人でゆっくりとした時間だった。
入院中は、ベッドに横になることはあってもお昼寝はしなかった。
病院はやはり、病気を治すところだ。
時間が有り余ってるから、こんなこともあんなこともしよう…と思ったけど、
案外、思った通りには進まなかった。

一番にしようと思っていたのは、つけまつげをつける練習。
だけど、1度トライしただけ。それも、右目だけ。
ベッドに寝転んでつけるわけにいかず、
鏡をちょうどいい高さにセットできなかったからだけど、
気持ちを集中して何かをすることができなかったというのも、理由のひとつ。

同じように、借りていた分厚めの本を読むこともできなかった。
内容がかたすぎたのか、気持ちが本に向かない。読んでも頭に入らない。
結局、外出の時に家に持ち帰り、薄いばかばかしい内容の本に交換した。

じゃあ、何をしていたのかというと、頭を使わずに済むこと、だった。
ネットで集めた漫才をいくつもPSPに保存して、持っていった。
これは結構楽しめた。2度、3度と見たものもあるけど、
ほとんどは1回きり。もっとたくさん持っていけばよかった。
テレビだと、イヤホンとベッドの距離がぎりぎりで身動きしにくかったけど、
PSPなら、気分転換にほかの場所でコーヒーを飲みながらでも見れる。

あとは、ケータイでFMを聞いていた。
本当は手持ちのCDからPSPにお気に入りの曲を入れていくつもりだったのだけど、
入院が急に早まったので、変換方法を調べる時間が無く、
持っていくことができなかった。で、その代わりにFMで音楽。
電池で充電しながらだったので、たくさんの電池を購入したっけ。

あとで気づいたのだけど、
お気に入りの曲の動画を、漫才と同じように保存して持っていけば、
入院中も聴くことができた。
漫才だって同じサイトで集めたのだから。
気づくのが、遅すぎ。
これからの通院のときには、活用しなくちゃ。
ちなみに、ゲームは一度もしたことがない。ソフトも持っていない。

もうひとつ。
思い通りにできたのが、コラーゲンのシートパック。
消灯になってから貼るようにしていたのだが、
何人もの看護師さんに見られてしまった。
パックの効果はそれなりにあったと思うん。

夕べ飲んでから、痛み止めを飲んでいない。
痛まないなら、なるべく飲まないようにしようと思って。
だけど、傷のあたりがシクシク痛んできた。
夕飯を食べて、薬を飲むことにしよう。

父に報告

2009-08-23 21:21:11 | 退院後
母から電話が入り、午後から実家に。
よく分けがわからないで電話を受けたが、
ああ、父に報告をしろということなのだなと一人納得して、
夫と母と一緒に夕食。
このままここに泊まり、
明日、夫はここから出勤。
わたしは夫を駅まで送ったあと帰宅の予定。

さあ、乾杯!
という段になって、
痛み止めの薬を持ってくるのを忘れたことに気づく。

術後まだ数日、退院はおととい。
痛み止めなしで平気なわけないじゃん。
薬を忘れたことに気付いた途端に、
傷跡が痛くなった気がする。

病院からもらった薬はロキソニン。
実家にあったのは、
歯医者さんにもらったボルタレン。

取りに帰るのは面倒。
この薬の効果を期待して、
食後に2錠飲む。

脇の傷跡あたりが、内出血のためか黄色く変色している。
でも、腋にものをはさんだような違和感は、
かなり解消されてきた。
日にち薬。
そう思って、前を向く。

傷のこと

2009-08-22 18:55:33 | 退院後
手術前日、先生は黒いマジックで胸に線を書いた。
乳輪に沿ってくるっと。
予備に…だったか念のために…だったか、
右脇、胸のふくらみの横に、縦に点線を。

手術の後、センチネルリンパ節が3つあったらしいと、
夫から聞かされた。
右の腋の下あたりが、シクシクと痛んだ。
ほかの部分は痛くなかった。

入院中は傷を見ることはなかった。
メガネ生活をしていたので、
シャワーのときに見ても見えないというのもあるけど、
積極的に自分から見る気なんて、全然なかった。

先生の話では、
傷の大きさは、乳輪に沿ってぐろっと半周くらいと、
腋は3~4センチの傷だということだった。

昨日、何も考えずに、コンタクトのままシャワーをした。
あ…。見えちゃった。
腋部分の傷のうえには、白いテープが貼ってある。
そして、乳輪の上にも。

胸や腋が腫れているので、
悲しいかな、左の胸より右胸のほうがボリュームがある。
だけど、ボリュームがあっても、
切り取られた右下あたりはふくらみがない。

かたちの変形は避けられないけれど、
皮膚の傷が目立たなければ、
あまり気にならない形に仕上がっているかも。
すべては、腫れが引いてからの判断になるが。

腋の下と背中の境目あたりに、ずっとしびれがある。
日にちが経てば治ってくると、術後に先生は言った。
何度かしびれのことを口にしていてわかったのだが、
そのしびれは、だんだん手の先に降りてくるらしい。
また、腋が腫れているが、
硬いしこりになって数年は残るとか。
腫れは数ヶ月で引くらしい。

どちらも、わたしが思った以上に長引く。
それだけ大きな部分を切り取ったのだということか。

腋の腫れは、術後日を追って引いている。
傷跡の白いテープは、自然にはがれるまで貼っておくといいらしい。
テープが見えてしまうので、ノースリーブは着にくい。
背中が腫れているので、ブラが食い込んだ後ろ姿になっている。
元通りにならないなら、早く傷が落ち着いてほしい。

8月21日 退院

2009-08-21 19:10:41 | 退院後
今朝、退院した。
荷物は入院と同じ3個。
夫が持ってきたカードで支払い。
当然だけど、一括払い。25万円ほど。
個室ではないのでそんなに高くなかったけど、
有料のお部屋代と、特別食1回分300円也も含めて。

母と一緒にタクシーで帰る。
用意してきてくれた昼食を一緒にウチで食べる。
わたしはたまったお洗濯に励む。

ふと思い出して、テニス仲間に退院を知らせる。
と、今、まさにお見舞いに行こうとしていたのだと返事が来る。
あと10分メールが遅ければ、家を出ていた、と。
その友だちは2時頃に訪ねてくる。
家が散らかっているので、申し訳ないけど玄関で立ち話。
ああ、本当に申し訳ない。日頃の無精がこんなところで不躾なことに…。

夕方、母を送っていく。
車の運転はどうということはない。
強いて言えば、車のドアを閉めるときにぴりっときたのと、
駐車場に車を収めるのに、左手中心に力を入れるのに慣れないこと、かな。

母を送った後、近くのスーパーに。
どうせ短い期間だしと、ワイヤーなしのブラをここで買う。
かわいくないスポーツブラのようなものしか見つからない。
と、少しお高いが、ピンクでレースのかわいいものを見つける。
それを手に取っていると、涙が出そうになった。

T病院で検査を受けてから結果が出るまでの間に、
かわいいブラを3つ買っていた。
小さい組さんの胸なので、寄せて上げて、パッドも入って。
でもこれ、当分使えないよな…。
ジムでがんばって泳ごうと水着も買った。
それももう着ることはないかも。
お風呂やシャワーで人に見られても平気かどうかわからないし…。

そんなことが、一瞬の間に頭に浮かんだのだ。
このことは今まで何度も思い返していたこと。
それを、人がたくさんいるスーパーで思い出して…。

車に戻って駐車場でしばらくCDを聞いていた。
アベマリア。
ぼろぼろと涙がこぼれる。

退院の時、看護師さんの詰め所に挨拶に行った。
退院が決まってから、おめでとう、よかったねと、
看護師さんが声をかけてくれた。
そのときは嬉しい気持ちがあり、ありがとうと応えていた。

だけど、本当に「おめでとう」なのだろうか。
本当に「よかったね」なのだろうか。
本当に「よかったね」というのは、
乳ガンになっていないことではないのか。
手術なんてしなくてもいい体のことではないのか。
ちっともおめでたくないし、よくもない。

そう思いながら、車の中でひとりで泣いていた。