偏平足

里山の石神・石仏探訪

供養塔 群馬県下仁田町

2022年08月23日 | 里山石神端書

里山の石神端書106 下仁田町西牧野・中野の供養塔

 中野の集落外れに石塔が並んでいる場所があります。



 庚申塔、十九夜塔、二十三夜塔などが整然と立てられています。そのなかでわからない石塔が一つ、まず字がわかりません。下の方に一対の動物らしい姿もありますが、これも正体不明です。ただ頭に日輪・月輪があります。

 不明の文字、仮に「度」として「奉納度供養菩提/施主/敬白」で話をすすめます。度は『大辞典』(注1)によると「佛語にて俗人を僧となると。迷いに沈める衆生を済う義に度の字を用いるには煩悩に迷える此岸より証果をうる彼岸にわたし済う義也」とあります。「得度」という言葉もあります。一般の人が亡くなって供養塔を建てるとき、度の字を使うことによって彼岸に渡れるとすると、この石塔は得度した者の供養塔ということになります。
 次に上部の日輪・月輪ですが、これは月待塔や庚申塔などの日待塔に付いていますが、付かない塔もあり、その意味もよく解明されていません。大護八郎氏は『石神信仰』(注2)で「日月清明に続く風雨順時、五穀豊穣、天下泰平を象徴したのが日月」としています。しかし墓石にはどうでしょう。あまり見ません。

 下の方の一対の動物らしい正体は猿のようでもありますが、不明です。したがって単に供養塔としておきます。
(注1)『大辞典』1966年、講談社
(注2)大護八郎著『石神信仰』1977年、木耳社
(地図は国土地理院ホームページより)


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