偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏958真富士山(静岡)記念碑、三十三観音

2021年03月05日 | 登山

真富士山(まふじやま) 記念碑(きねんひ)、三十三観音

【データ】 真富士山1343メートル▼最寄駅 JR東海道新幹線・静岡駅▼登山口 静岡県静岡市葵区平野集落先の林道中腹、地図の黒丸印▼石仏 真富士山山頂、地図の赤丸印。青丸は真富士神社、緑丸は五十三番観音がある北ピーク▼地図は国土地理院ホームページより

【案内】 昭和36年、双耳峰・真富士山の南の山頂に建てられた石碑には次のように記されていた。
「真富士は安部郡大川村静岡市俵清水市西河内に跨る標高一四〇〇米の山である 霊峰富士に真向いて聳えたち富岳の眺望の雄大なることを海内無双である 昭和六年有志強力して開山しこれを天下に紹介し昭和十年静岡市は近郊ハイキングコースに指定した 山頂に真富士神社を奉祀し参道に西国三十三番の観世音像を配し年間の登山者一万数千をかぞう麓より道程約八キロ米青少年婦人等家族連山の行(欠落)開山三十周年に當り碑を建て先人(以下欠落)」


 その真富士神社は南山頂の西のピークに建てられ、社殿の前には「真富士神社/開山三十周年記念/昭和三十六年十一月真富士奉讃會建立」の碑が立つ。

 西国三十三番の観音像の一番は登山口の少林禅院の境内にある金剛の聖観音。二番からは石像で林道沿いに立ち、中腹からの山道にも点々と立っている。最後の三十三番は双耳峰の北の山頂に立つ聖観音。なぜか「第五十三番聖観音菩薩」とある。

【独り言】 三十三観音(さんじゅうさんかんのん) 石仏の三十三観音を見るとき三十三応身観音か、三十三体観音か、三十三所観音かを区別しています。三十三応身は、観音が三十三の姿にかえて衆生を救済するとする法華経の観世音菩薩普門品第25に説かれたことに由来するもので、聖者・僧・婦女・幼童などです。三十三体観音は応身ではわかりずらいというので具体的な観音像を描いたもので、楊柳・龍頭・持経・白衣・魚籃他があります。三十三ヶ所は西国、坂東など観音札所の本尊で、西国の場合は一番如意輪、二番十一面、三番千手、四番千手などの観音になります。この区別に入らない場合は単に三十三観音としています。



 真富士山の登山道に置かれた三十三観音をみてみましょう。少林禅院にある銅製の一番は例外として、二番からは番号と奉納者銘が入った同じ姿の聖観音が続きます。合掌しているのが古い観音で、未敷蓮華を持つのが新しく補充された観音です。すべて聖観音なので、石仏の区別としては三十三観音、つまり三十三所観音ではありません。しかしここは造立した人たちの意志を尊重しなければなりません。全部聖観音でも建てた人が西国三十三所観音といえばそのとおりなのです。


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