栃木県那須塩原市百村・山神宮の日記念仏塔
百村は会津中街道の村、小さいながらも集落内に2社2寺もある古い村です。集落北の外れの道端から少し入った杉林のなかに山神社が建っています。
石鳥居の脇に立つのは「日記念仏」銘の石塔。あまり目にしないこの石塔については石田年子氏の「三山信仰の痕跡」(注)から案内します。
「日記念仏とは三山系修験が江戸時代初期より、三山信仰流布の折に広めたとされるもので、つくば市栗原に建つ慶長八年(1603)を初見に利根川下流域に三十数基と他県に数基点在する比較的珍しいものである。日記念仏は月々の決められた日に、寮などに集まり日記念仏の和讃をとなえるというもの」。三山系修験の三山は出羽三山です。
百村は念仏の盛んな村だったようで、村内や集落南の外れに建つ愛宕神社では百堂念仏舞が行われています。百堂念仏は村および近隣の祠堂百か所を巡礼するもので、これが百村では念仏舞として、中断した年もあったようですが今に受け継がれています。
(注)石田年子著『野田市の山岳信仰①石造物に見る野田地方の出羽三山信仰』2005年、千葉県立関宿城博物館研究報告第9号
(地図は国土地理院ホームページより)