蛾ヶ岳(ひるがたけ) 六地蔵(ろくじぞう)
【データ】蛾ヶ岳 1279メートル▼25000地図 市川大門▼最寄駅 JR身延線・市川大門駅▼登山口 山梨県市川三郷町山保の四尾連湖▼石仏 蛾ヶ岳への途中の西肩峠
【案内】人々は地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天の六道に生まれては死に、死んでは生まれる。これを永久に繰り返すという。六道輪廻というこの定めのどこにも出現して、そこに苦しむ人々を救うのが六地蔵。なかでも山梨の六地蔵は、こけしのような六体の頭上に破風屋根をつけた独特の造りだ。六地蔵は六体の丸彫りが並ぶ光景は寺院の山門によくみかける。しかし灯篭の巖部(がんぶ)や幢身(どうしん)に六地蔵を刻んだものが古い形で、鎌倉期まで遡る伝統的な様式だ。これを一枚の板石にデフォルメした山梨の六地蔵は、石仏の傑作の一つである。
【独り言】山梨の人には申し訳ありませんが、それほど創造性豊かな県民性にはみえませんでした。山梨出身の小説家・深沢七郎や山本周五郎が、土地にしがみつく庶民の姿を描いたように、現状を肯定するところに、新しいものを作り出すとか、突拍子な発想はありえないと思っていました。しかし、石仏を見るようになってから、ここに紹介した一石六地蔵は山梨の人々が生み出した石仏の傑作だと思い、山梨を見る眼が変わりました。そして山梨が造りだした石仏の傑作・丸石道祖神(写真)を見るにつけ、山梨の人は前衛芸術家だと思うようになりました。
チョッと誉めすぎかな。