里山の石神端書101 甲斐市上福沢 道端の秋葉山石祠
秋葉山は静岡県浜松市天竜区(旧春日町)の山中に建つ火伏で知られた神社。江戸時代から火伏の神として各地に勧請され、代参者が火伏のお札をいただきに山に登りました。その道は秋葉道といわれ、道筋や勧請先の一部では常夜燈が建てるという特徴がありました。一部というのは秋葉山のおひざ元の遠州や三河や信州です。しかし遠方では文字塔が主流のようです。どうして石燈籠を建てるようになったかは不明です。思うに、東海道など人通りの多い道筋に道標を兼ねて建てられたたということもあったのかもしれません。遠方の勧請先ではその必要がないので文字塔になったということでしょうか。
この甲斐市の亀沢川の谷は相当の山の中で、集落にはそれぞれに秋葉山の石造物があり、不思議なことにこれまで案内した上菅口、安寺、神戸はみな石燈籠でした。秋葉山といえは石燈籠という解釈があったのでしょうか。ところが上福沢の秋葉山は石祠です。それに石祠脇にお札を納める「納札塔」が建てられているのです。これは秋葉山からいただいてきたお札を納めるものです。
甲斐市では郷土の文化財を説明する看板が辺鄙な山奥まで立てられています。上福沢の道祖神場に立つ案内には「道祖神場は道祖神を祀る場所で、集落の入口の道路沿いにあり、村の守り・通行人の守護・子孫繁栄など願いなどから信仰されてきました。祭典は一月十四日に行われ、小正月のドンド焼きと呼ばれています」とあります。はじめて訪ねる者には大変参考になります。
道祖神場には他にも石幢、庚申塔、廻国塔、馬頭観音、地蔵菩薩などが並んでいます。
集落奥に建つ如意寺は小さなお堂。その入口の一石六地蔵は石垣のなかに溶け込んでいました。
(地図は国土地理院ホームページより)