本仁田山(ほにたやま) 如意輪観音(にょいりんかんのん)
【データ】本仁田山 1225メートル▼25000地図 武蔵御岳、奥多摩湖▼最寄駅 JR青梅線・鳩ノ巣駅▼登山口 東京都奥多摩町棚沢集落▼石仏 大根の山の神の北西にある峰集落跡
【案内】大根の山の神から川苔山への道に入り、ほどなく右手に踏み跡を別ける。これが峰集落跡へ道で、分岐に古い案内が立っている。集落は日天神社の社殿を中心に約10軒の屋敷跡が確認でき、屋根だけ残る1軒をのぞき、家屋はすべて撤去されている。集落跡には樹齢20年ぐらいの桧が茂り見通しがなく薄暗い。集落跡の上部の山ぎわに墓石を集めた一角があり、そのなかに如意輪観音がある。如意輪観音は宝珠と法輪の力で人々を救う菩薩で六臂の姿。しかし石仏では右ひざを立て右手をほおに、左手は左ひざに下ろす姿が一般的。その穏やかな像容から、女性の月待ち信仰の本尊や女性の墓塔として造立された。
【独り言】長野県筑北村(旧坂北村)の岩殿山はそうとう山の中ですが、この山の登山道で手ぶらで下ってきた40代の男に会ったことがあります。聞くと「子供のころ住んだ家が山中にあり、墓参の帰りだ」といいう話に驚いたことがありました。昭和40年代ですが、栃木県那須茶臼岳の三斗小屋跡に残った一軒屋に住んでいる老人に会ったことがあります。山を歩いていると、山中に石垣や墓地など人が住んだ痕跡にでくわすことがあります。かつて人が住んだ集落跡です。車社会になってどんな山奥にも道が切り開かれました。しかしどうしても道が造れない険しい地形にある集落は集団離村したようです。便利な時代になり、人々が立ち入るエリアは増えましたが、人々が生活するエリアは年々減っているのが現状です(写真は峰集落跡の石垣)。