偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏860大峰山(埼玉)三笠山刀利天宮

2019年07月01日 | 登山

大峰山(おおみねさん) 三笠山刀利天宮(みかさやまとうりてんぐう)

【データ】 大峰山 293メートル最寄駅 東武東上線・小川町駅登山口 埼玉県小川町青山石仏 大峰山の西のピーク、地図の赤丸印地図は国土地理院ホームページよりこの案内は拙著『里山の石仏巡礼』(平成18年、山と渓谷社)から転載したものです

里山石仏巡礼57 小川町の南にある小さな山が大峰山だった。山といっても特に目立つ山ではなく、どこにでもあるような里山で、この山中に木曽御嶽の神々が勧請されていることなど、御嶽信仰の関係者と地元の一部の人意外知る人はいなかった。ところがこの山にはすばらしい石仏が祀られていた。なかでも三笠山刀利天宮は、神というより完成された芸術品を見るような美しい石像だった。
 御嶽の神で御嶽座王大権現(おんたけざおうだいごんげん)・八海山大頭羅神王(はっかいさんだいずらしんのう)・三笠山刀利天宮の御嶽三座神(おんたけさんざしん)は、御嶽の王滝口を開いた秩父生まれの普寛(ふかん)行者にちなむ神々である。いずれも普寛が主導した御嶽信仰が造りだした神で、原型は仏像の天部や神像に求めたのであろうが、神仏名に同一名は見い出せない。このひとつである三笠山刀利天宮は左手に索、右手に三叉戟を持つ。なかには頭部に象冠を戴くものがあり、大峰山の像はまさにこの典型だった。
 残る御嶽座王大権現、八海山大頭羅神王を探して一帯を探すと、大峰山の西にあるピークで御嶽座王大権現が見つかった。束帯の神像は三笠山刀利天宮に比べると平凡な出で立ちだった。しかし、残る八海山大頭羅神王は探し出せなかった。
 数年後の平成5年、残る八海山大頭羅神王を探しに再び大峰山を訪ねると、山は消えていた。一帯ではゴルフ場の工事が始まり、鉄条網に囲まれて立ち入り禁止になっていた。これまで山のなかのゴルフ場工事で峠道や仙道が消え、そこにあった石仏も行方知れずになったのを知っているだけに、三笠山刀利天宮の所在が心配になった。しかし地元の人の「工事の前に文化財の調査はやっていたようだ」という話にはげまされ、鉄条網沿いに藪をかきわけて登ると、幸運にも御嶽座王大権現の前にでた。そして、そこには八海山大頭羅神王と三笠山刀利天宮が集められ、並んで立っていた。



【追伸】 上写真は大峰山の御嶽座王大権現と八海山大頭羅神王


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