Madonna - La Isla Bonita
Last night I dreamt of San Pedro
Just like I´d never gone, I knew the song
A young girl with eyes like the desert
It all seems like yesterday, not far away
Chorus
Tropical the island breeze
All of nature, wild and free
This is where I long to be
La isla bonita
And when the samba played
The sun would set so high
Ring through my ears and sting my eyes
You Spanish lullaby
I fell in love with San Pedro
Warm wind carried on the sea, he called to me
Te dijo te amo
I prayed that the days would last
They went so fast
Chorus
I want to be where the sun warms the sky
When it´s time for siesta you can watch them go by
Beautiful faces, no cares in this world
Where a girl loves a boy
And a boy loves a girl
Last night I dreamt of San Pedro
It all seems like yesterday, not far away
Chorus
To dijo te amo
El dijo que te ama
私にとって、最も理想的な女性(母性)像のひとりがマドンナなのかもしれない。
中学生の頃、初めて彼女の「Like A virgin」を聴いた私は衝撃を受けた。とはいえ、当時はやはり、セクシャルなパートの刺激だった。以降も、彼女は「TRUE BLUE」等のヒットアルバムを以ってスター街道を走り続けるのだが、多感な時期にあった私は逆に、少し距離を置いてしまった。
高校生になった私は、CDに付属する日本語歌詞なるものが、全くもって不正確だということに気付いた(この点には未だに不信感を抱く)。英語科目が割合得意だった私は、学生ならではのヴァイタリティを活かし、好きだった洋楽の我訳を始めた(その経験は、今でも私の中に大きな糧としてトレイスしている)。
この歌の真意が理解できたのは、30歳を越えてからだ。同時に、その頃の私は気付いた。それまでの自分が如何に無知だったのかということに。というより、未だに圧倒的無知なのだが、それまでは自分が無知なことにすら気付いていなかった(あまりにも極少な視野で世界を捉えていた)。
この歌の真意を説くキーポイントは、歌い始めの「A young girl wiyh eyes like the desert」の歌詞にある。正規の日本語歌詞では「虚ろな目をした少女」と訳しているのだが(これに参らされた)、私がどの英和辞典で調べても、「desert」に「虚ろな(空虚な)」などどいう意味はなかった。つまり、名前は挙げないが、対訳した者の勝手な意訳(誤訳)なのだ。
「砂漠は最高の贅沢だ」という言葉がある。中東のアラビアン・ナイトに出てくるような大富豪が、世界中のグルメを堪能し、フェラーリ、ロールス、ベントレイ等のあらゆる高級車を乗り回し、知りうるあまたの美女を抱き・・。金で買える全ての贅沢をし尽くした男が、ある日何気なく、砂しかない砂漠へ行くと、「これこそが最高の贅沢だ」と気付く、とかといった意味である。そして、この歌の「desert」は、かかる「砂漠」を意味している。
「La Isla Bonita」は、ヒスパニック系であるマドンナが中米のリゾート地、サン・ペドロ島をモチーフに、自身の幼少期を懐古したナンバーだ。つまり、「A young girl with eyes like the desrt」とは、「砂漠のような目をした少女(マドンナ自身のこと)」と直訳すればいいのであり、彼女はこの節で、幼少期の(物質的には貧困だったが)自由奔放な自然に抱かれた、何ひとつ不自由なく幸せだった自分を回想しているのである。その上で、「まるで一度も(サン・ペドロ島)に行ったことがないような」、「全ては昨日のことのようで、あまりに遠すぎる・・」と、現在の自分を嘆いているのだ。
次に、二番の冒頭部分でまず、「私はサン・ペドロ島に恋に落ちた」と言っている。その意味は以降の歌詞にしたためられるのだが、ここでマドンナは擬人的表現を用いている。
「暖かい風が海に届き、彼は私に愛してる(スペイン語)、と言った・・」
ここでの「warm wind」は父親を表し、「sea」は母親を表している。つまりは、父なる青空(からの意志)と、母なる大地を表現しているのだ。そして、それはコーラス部分(トロピカルな島風~スペインの子守唄まで)の伏線ともなっている。
「La Isla Bonita」の間奏部分には「Como puede ser verdad(どうすれば、実現できるの?)」、「te dijo te amo /el dijo que te ama(彼は愛してる、て言ってくれたわ)」等の、スペイン語のセリフが挿入されている。そして、彼女は80年代のヒット曲を集めたべストアルバム「THE IMMACULATE COLLECTION」に於いて、この「La Isla Bonita」の次に、特異な宗教感(父性像)を描いた問題作「LIKE A PRAYER」を配置している。マドンナは意外にも、影を持った少女時代を過ごした女性なのかも知れない、と私は考えている。