笑ってる人だって心は孤独

【小説家になろう】の感想ブログにしたいんだなぁ……

依頼された長編感想

2009-04-24 00:41:00 | 小説家になろう;長編
はじめに:このブログの趣旨はこちら

以前依頼されていた大長編ものです。
では、感想スタート!


作品:透明の向こう側
作者:孝
あらすじ:主治医と患者として出会った真由と有薗。友人として交流を深め合うが、いつしか真由は有薗に愛情を抱くようになり、おともだちごっこにピリオドを打つ。しかし有薗もまた真由を愛し始めていた。彼の愛を受け入れようとし始めていた。彼の愛を受け入れようとしない真由、彼女を愛したい有薗。大人の恋愛、家族愛の枯渇、真由の心の闇・・・。二人は手を取り合うことができるのか。
ジャンル:恋愛


感想:長編が書ける人はそれだけでもう尊敬する。しかもこの作品は最初から最後まで手抜きはない。作者さんの思い入れが伝わってくるようだ。素直に完結、お疲れ様でしたと言いたい。

さて、感想なんだけど……やっぱりクドいという印象は否めなかったなW
まず一文一文が長い。普通なら切る所で切らない。これがこの作者さんの作風なんだと言われればそれまでだが、読者としては読みづらいことこの上ない。
ただでさえ難しい用語が出てくる小説なのに、一文が長いもんだから訳分かんなくなって何度も読み返すはめになった。それが残念だ。

あとね、これが一番気になった所なんだけど……この小説、説明が多すぎなんじゃなかろうか?
小説っていうのは読者が想像しながら読み進めるものだと自分は思う。
すでに読者が知っている知識は省き、そして読者の想像力を掻き立てるためにあえて説明を端折る部分もある。その計算された空白が物語の伏線となり、ラストのオチに繋がってくるんじゃないのかな?
それがこの小説にはあまりないんだよなあ。丁寧な説明がありがたい時(例えば医療用語=一般読者の知らない事)もあるんだが、いつもいつも解説調で語られると……やはりどうしても飽きがくる。この小説にダラダラした印象がつきまとうのはこのせいだ。
一つ例を上げるとすればメールの所なんかそうだね。『拡張子が jpgだから何らかの画像かと思って~』云々の部分。何ともクドいよ。いらないと思う。読者はこの説明が無くても全然平気だW

あと読書家なんだろうね、この作者さん。作中に何度も何度も現実の小説が登場する。
あんまり出てくるんで、何かアンチテーゼなりオマージュなりがあるのかなと思って見てたが……結局分からなかった。
無いならこんなに出さなくてもといいじゃんと恨みがましく考えてしうよ。物語を進める上であまり関係ないならいらないんじゃ……それともこっちの読解力不足か?
実は深い意味合いが……って、その可能性は否定できないW

あと、医療関係の部分で気になったっていうか教えて欲しいのは、最初に出てきた点滴のくだりだ。
確か水分補給のためってなってたけど……水くらい飲めるんじゃね?たかが酔ってこけただけだよね有園さん。
それに、普通の点滴って栄養補給のための軽カロリー輸液かと思ってたけど、あれって水分補給の意味合いもあるのかな?うーん、知りたい。
この小説読んで良かったと思えたのはこの医療関係の部分だね。凄く詳しく書いてあるんだ。
ひょっとして作者さんは医者、もしくは病院関係者かと思ったくらい。よく勉強してらっしゃるわ。

さて、キャラクターで気になったのは主人公。
他はけっこう共感できたけど真由はなあ……背景が複雑すぎW
そのくせセリフの端々からは普通人間のニオイがぷんぷん。
ちょっと人物に深みを出そうとして後付けしてない?って感じがする。
逆に気に入ったのが婦長さんだ。人間臭くていい味出てたね。
ただ、主人公がビールじゃ酔えなくなって、ウイスキー、ジン、最後にウォッカにたどり着いた所は何か納得してしまったW
特にジンを冷凍庫に入れとくとすげえウマー!
ってそれはどうでもいいか。

まあ言いたいこと言っちゃったけど、この作者さんが文章上手いのは以前も言った通りだ。
特に描写はハンパなく好きだね。フレンチレストランの外観の説明あたりは凄みすら感じたよ。あのくらい自分も書ければ本望なんだが……素直に脱帽しますわ。

さて結論としては……この小説は国語の教科書みたい。って前回と同じ感想W
非常に細やかで上手いけど好んでは読まない。そういう小説が好みの人はいいかもだけどね。
自分はもっとメリハリのある作品が好き。冒険活劇みたいなの。

でも文章力は素晴らしいので、マジで他の……できたら短編を読んでみたい。
ひょっとしてこの作者さんは女性なのかな?
繊細な文体だよねえ。自分には書けない文章だ。マジで次回作に期待します。

しかし、初めて書いた小説がこれとは……その才能に嫉妬するぜ!


感想終了。
もう3万文字以上の長編は読まない!
ものっすげー疲れたorz
さて、次の作品を読みに行くか……

3 コメント

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おっじゃましまーす♪ (いが)
2009-04-25 15:36:48
あ、どーもどーも。お久しぶりです…ってもう覚えちゃいませんよね、ハハ。はじめの頃に何度か面倒な質問を携えてお邪魔したいがです。
長編の感想、お疲れ様でした。つか、最後まで読んで感想、って一読者様のスタイルじゃないですよね。確か評価するのは「連載途中の作品」って仰ってたような…??
ところでとあるところから小耳に挟んだ「SSバトル企画」、掲示板に一読者様のカキコを見つけましたが、あれの記事はココでは書かないんですか?1回戦目の作品が出揃ってるから、もし一読者様が評価するならどんな感じかなと実は楽しみにしてたりして。
…ま、まさか…参加者だったり?
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>いが様 (一読者)
2009-04-26 18:26:07
これはこれは、お久しぶりです。もちろん覚えておりますともW


>最後まで読んで感想、って一読者様のスタイルじゃないですよね。確か評価するのは「連載途中の作品」って仰ってたような?

そうなんですよ。だけど依頼されたからにはって事で発奮しちゃいましたW
でも大長編の完全読破はもう止めときます。時間も取られますし、そんな批評能力もないし……身の程をしりましたorz


>ところでとあるところから小耳に挟んだ「SSバトル企画」、掲示板に一読者様のカキコを見つけましたが、あれの記事はココでは書かないんですか?1回戦目の作品が出揃ってるから、もし一読者様が評価するならどんな感じかなと実は楽しみにしてたりして。まさか参加者?

おお、面白そうな企画ですね。もし興味を引かれる小説があれば感想入れるかもです。
あと掲示板に書き込んだ方は別人ですね。そんな企画があることは初めて知りましたからW
そして当然、参加者でもありませんW
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お疲れ様、ありがとうございました (T)
2009-05-21 01:50:53
ネットから遠ざかっていたため、感想に気づくのが遅れました、依頼しておきながらご返事もせず失礼しました。

連載中作品だけを読むという信念を曲げてまで最後まで読んで頂き、これだけの感想とアドバイスまで頂戴して本当にありがとうございます、そしてお疲れ様です。
もっとメッタ切りにされてもおかしくなさそうなもので、なんと言われようと、そこに悪意はまったく感じずひたすらありがたいばかりです。ましてや文章力など思いがけずお褒めに預かっていて飛び上がる思いです。

ひとつだけ「教えて」とあるのでご返事を。水分補給だけを目的とした点滴は多いです。
そもそも、私の頭の中では主人公と有薗さんは出会って惹かれあって・・・という筋書きまずありきだったので、出会いがどんな風だったかということこそ無理やりな後付けでして、かなり強引なんです。そもそも打撲程度で救急車を呼ぶことも非常識と言えますし、まして東京の人が出張先で怪我したからとむやみに入院などさせません。本当に無理やりな出会いなんです(汗)。
なのでそのへんをつじつま合わせようとするなら
有薗転んだ→ろくに返事もしないから周りが焦って救急車を呼んだ→酔ってる上に我慢強いから病院でも返事しない→入院措置→手当てしてもらった安心と泥酔で爆睡→アルコール分解の水分必要!→点滴

む、無理やりすぎますね・・・、でもこれが一番筋道としてまっとうではないかというのが作者から提示できる目いっぱいのご返事です。
ちなみに私は医者でも医療従事者でもありません。

せっかく頂いた貴重なご意見、今後また拙文を書く際にはぜひとも活かしていきます。
本当にありがとうございました。
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