笑ってる人だって心は孤独

【小説家になろう】の感想ブログにしたいんだなぁ……

4月 1日投稿、短編小説

2009-04-02 00:25:52 | 小説家になろう、短編
はじめに:このブログの趣旨はこちら

そういやこの企画始まったんだね。短編小説から覗いてみよう。
ということで、感想スタート!


作品:ライラック
作者:尚文産商堂
あらすじ:美術部とは、美術にほれた人たちの集まり…では無い。だが、それでも私は好き。
ジャンル:恋愛

感想:たった2616文字しかないのにプロローグから始まり、一章、二章、そしてエピローグまであるという意欲作W
内容はまあ……甘酸っぱいというか、ぬるま湯みたいなどうでもいい青春&恋愛物。
恋愛好きな人にはこれがいいのかな?
うーん、自分としてはこの間見たヤッターマンくらいの出来栄えですな。要するに微妙……


作品:アムネジア/アルストロメリア
作者:chap.
あらすじ:白昼の教室で目覚めた“彼”。目覚めない“彼女”。何が起きて、何が起きなかったのか?――『花言葉企画』出展作品。
ジャンル:文学

感想:作者さんにはよく分かる表現なんだろうけど、作者さん以外の人間には何がなんだかよく分からない。そんな感じ(笑)
サイコな感じに仕上げたかったんだろうけど、はっきり言って失敗してますよ。
言語明瞭意味不明。
文章力には非凡なものを感じるのに、もったいない……
能力はある、だが何かが足りない。そんな作者さんでしたな。


作品:寧日

作者:イリ
あらすじ:雪がとけ暖かな日差しが私たちに降りそそぐ。幼少の頃の思い出が、ほんの僅かな事で素晴らしい思い出に変わるなんて私は知る由もなかった、今日までは――。
ジャンル:文学

感想:確かな文章力でほのぼのとした作品を作り出してるなこの人。上手い!
相続に関することや親戚付き合いのことなどリアリティがある設定も好感が持てる。
登場人物も味があってええよW
はっきり言って無駄だと思えたのがハルシオン? のところ。
要するに企画の縛り部分である花と花言葉のところだ。あれさえなきゃ、もっと物語にのめり込めたなあ(笑)あそこがテンポを狂わせている。

でもまあ、何はともあれ……良作ですよ奥さん!


作品:春、浅き春
作者:古都ノ葉
あらすじ:お久しぶりです。僕を覚えていますか。今、迎えにゆきます。
ジャンル:文学

感想:穏やかな春の日だまりのような作品。好きな人は好きだろうねえ。自分も好みな作風。
家族愛がテーマかな? いきなり手紙で始まるのも少し意表をつかれた。工夫してるね。

自分なりに一つ難がある所をあげれば、物語の起伏が弱い部分。
もう少し詳しい解説(例えば医療に関する部分)なりがあった方が……
しかし、あんまり起伏をつけすぎるとせっかくホンワカした雰囲気が崩れる気もするんだよなあ。
まあ、この作品はこれでいいんじゃなかろうか。


作品:カクマの子
作者:光太朗

あらすじ:とある願いを叶えることができると伝えられる、カクマの子。二人の男が、彼に出会う。それぞれ罪を犯した二人が、カクマの子に何を願うのか……──☆★☆「春・花小説企画」参加作です☆★☆
ジャンル:ファンタジー

感想:読者の想像力をかき立てるという点から見れば、最高に素晴らしい作品。
カクマって神様に何か由来があるのかどうかは知らないが、物語の情景が脳裏に浮かぶくらい現実味ある語り口で非常にいいね。
わずかな文字数でここまで世界を作り上げるとは、この作者さんは本当に上手い。かなりの良作!

細かいこと言えば……
『~男は奇妙に歪んだ顔をした。焦燥がにじみ出ているがそれは確かに笑みの形であった』ってところが引っかかっる。
なんか変なんだよね。
この『笑みの形』という部分は顔にかかるのか?
 普通は唇、あるいは目だろうに……

あと、焦燥してるのに笑みを浮かべてというところに違和感有り。
焦燥って単なる焦りより強い感情というイメージが自分にはある。どちらかというと苛立ちを含んでいるようなそんな感じ。
それなのに笑み……焦燥じゃなくて焦りの色くらいにしといてくれたらすっきりしたのになあ。

それから『高揚もあらわにうわずった声を出して』ってところもちとなあ……
うわずった声というのが、高揚や緊張を暗示する言葉だからね。
先の『高揚もあらわに』と二重表現になってる気がする。

でもこれ、はっきり言って普通に読む分には気にならない箇所ではある。まさに小姑の嫁いびりみたいなもんW
細かすぎてすみませんm(..)m

いやいや、本当にジャンルファンタジーに相応しく雰囲気のある作品でした。
しかも、あのマタギ? のオッサンが花に変わって摘まれていく所なんざブラックユーモアも効いてて大好きですよ。
読者の皆さん是非お読みあれ!


作品:ふじだな
作者:黒い夢
あらすじ:小さな『私』は美しい妖精に出合った。そして、その後、私たちは……。『春・花小説企画』参加作品。表紙イラストは工藤流優空さまの作品です。
ジャンル:恋愛

感想:藤の花は大好きな花だ。
だからと言って藤の花を取り上げたこの作品を好意的に見れるかと言えば……そんなこたあない(タモさん風)
小説というにはお粗末な内容だと思う。
起承転結、あるいは序破急などあったもんじゃない。もっと会話文を減らし地の部分を増やしてくれ。
全てはそれからだ。
幻想的な雰囲気は良かったと思うけどねえ……残念だ。


作品:風車蓮
作者:鋼玉
あらすじ:戦場を駆け抜けた一人の女侠。為した功に反して謎の多きその人物に関する数少ない文献。そこに記されるはある人物に語られた一つの花と少女の物語。
ジャンル:戦記

感想:突くための武器、矛(ぼう)と切り裂くための武器、戈(か)の特徴を合わせ持つ戟(げき)。あの三国志最強の武人、呂布(りょふ)が持つのもこの戟の一種(方天画戟‐ほうてんがげき)だ。今回の作品で主人公が持つ獲物が実はこの武器なのである。
おお、初っぱなから戦闘シーン! テンション上がるなあ。文章力もなかなか。いい感じいい感じ。

まあ、日本語的にちょっとおかしいかなと思った部分もあるにはある。例えばね……
『彼女は頬に付着した~黒い甍を視界に映す』というところ。
それを言うなら『視界に入れる』あるいは『視線を移す』だな。言いたいことは分かるんだけどね。
あとは……
『先ほどまでいた場所に銀が通りぬけ地面に数本の矢が突き刺さった』ってところ。つまり銀って表現。
よく読めば、これは太陽光に反射した鉄製の矢尻を指してるんだろうとは分かるんだけど、一瞬この矢尻が銀製なのかと勘違いしてしまった。
できれば『銀色の残像が彼女の視野を遮った』とかにしてくれれば分かりやすかったんだけどね。

しかし、こんなのは重箱の隅をつつくようなもので、全体的にこの作者さんが上手な文を書くのは確か。けっこう好きな作風だ。中華な味付けも三国志や梁山泊みたいでいい。

物語前半部分で注文つけたいのは主人公の武器である戟の使い方だけだな。
飛び交う矢を避けて見通しの悪い路地に主人公が逃げ込むシーンがあるんだけど、そこで歩兵と遭遇するんだ。
戦闘になるかと思いきや……主人公は獲物(つまり、戟のこと)を振り回して相手を牽制するだけ。
この感想文の最初で語っているように、せっかく珍しい武器を使ってるんだからさ、その特性を生かした使い方をしてくれよなと思った。
狭い路地(あくまでイメージだけど)で槍みたいに長いこの戟を振り回すのはいただけないよ。
例えば……矛部分で相手の胸を突き刺し引き抜いた瞬間に戈の部分でのど首をかっ切る。このくらいの見せ場は欲しかったなあ。

しかしこれは高い実力をお持ちの作者さんに対する、一読者としてのわがままなんですけどね。
本当にうまいと思いますよ前半部分はね。

えっ、後半?
後半はなあ……もうぐだぐだ(苦笑)
これは完全に企画のせいだな。
つまり花と花言葉を入れるという制限を課せられた故の不完全燃焼。
旅の途中に出会った訳の分からない娘との会話も、回想による恋愛部分もなんか白々しくリアリティがない気がする。いらんなあ、これは。
悪いけど自分なりに採点すれば、前半部分を90点、後半部分は70点だ。平均したら80点になる。
惜しいなあ。本当、企画じゃなかったら良かったのにね(^o^;)



感想終了。今回は少し辛口だったかな?
作者の皆さん、どうもすみませんm(..)m
でも昔の偉い人はこう言ってますよ。

『殴られもせずに、一人前になった奴がどこにいるものか!』‐ブライト・ノア

まあ、私などの下らん感想は気にせずに書き続けてくださいってことです。

『あなたなら、できるわ』-セイラ・マス

お後がよろしいようで……




いや、そうでもないか?(苦笑)