~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

□『サンドラの週末』□ ※ネタバレ有

2015-05-31 20:41:54 | 映画【ヨーロッパ】


  『サンドラの週末』:公式サイト

タンクトップ

休職していたサンドラ〔マリオン・コティヤール〕が職場復帰しようとした矢先に
会社側から他の従業員達へボーナス支給する為にサンドラを解雇せざるをえない旨を告げられ、
自身の解雇を回避する為に同僚達にボーナスを断念してもらうように
各人の自宅まで訪問し説得していくサンドラの姿を描く。

接戦の投票結果と言えば、某住民投票を思い出してしまった私。。。

効果音や劇的展開などドラマチックさを排除し、
主人公ありきで描くダルデンヌ兄弟らしい作風。

主人公の正面アップは少なめなので主人公の目線というのは少し違う気もして、
車中での横顔だったり、後ろ姿が印象的だったりする。
サンドラがタンクトップ姿で肩を露出している背中(後姿)にフォーカスを当てている印象を受けた。
心を病んでいた?サンドラではあるけど、弱々しさではなく、
従業員達と一対一で向き合っていく強さを映し出しているのが良いね。

どの国でも景気が良くないのは色んな国々の映画を観ていて伝わってくるけど、
日本だと、人員削減に関して幹部以外の従業員の意見が反映される事はまずない気がする・・・。
それと比べると、国民性の違い?とはいえ、
この作品で描かれている国はまだマシなのかなという印象を受けた。
社員の声を反映しようとしているところがね。
でもまぁ、逆に言えば幹部の指揮・権限不足なだけの気もするけどね・・・。

自分が投票に勝ち、復職すれば他の16人の従業員のボーナスは無くなる・・・。
1人ぐらいはボーナス無くても普通に生活出来そうな人も居そうなものだけど、
ボーナスが無くなれば生活に困窮する人ばかりなのはいかにも映画だなとは思ったな。。。

結局、投票結果は半々でサンドラの復職と他の従業員16人のボーナスが認められるけど、
その代わりに契約社員がきられるのを避ける為にサンドラは辞めていく・・・。
一見、サンドラの行動はカッコ良いんだけど、
もし、サンドラが勝って他の従業員16人のボーナスきられる事になってしまったら、
他の従業員16人の生活が成り立たなくなっていただろうから、
自分が復職すれば、多かれ少なかれ他の従業員16人の生活が犠牲になるのを最初から察知して、
サンドラ自身がさっさと辞めれていれば良かっただけのような気もする。

結局は引き際を見極められず、身勝手なだけなんですよねサンドラは・・・。
倦怠期を理由に夫へ別れ話を持ちかけるサンドラの言葉はスパッとしていたけど、
仕事に関しては優柔不断なのは、
サンドラにとって人生の比重は“夫よりも仕事”だったのでしょうか?
まっ、嫌な事に関しては割りきれても、
好きな事に関しては優柔不断なのは女性のサガなのかもしれないですね。

いかなる理由であっても一度リタイアしたら再チャレンジが通用し難いのがお仕事・・・。
世知辛いけど、それは万国共通の社会の現実なのでしょうね。


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