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英雄
コミック本
港町マルセイユを舞台に結婚30年を迎えた夫婦が
職場のリストラや自宅で強盗の襲撃に遭った辛い経験を経て生きる姿を通じ、
人を思いやることの大切さを描く。
文豪ビクトル・ユゴーの長編詩『哀れな人々』に着想を得た作品。
“キリマンジャロの雪”というタイトルなんだけど、雪は降らなかったな。。。
と思っていたら、フランスのヒット曲のタイトルだったのですね。
不況の波が押し寄せているのはどの国も同じだろうけど、
リストラの仕方が日本とは異なっているように感じる。
日本ではスキル不足や勤務怠慢が要因で解雇されるケースが表立っているけど、
実質は組織との折り合いや人間関係が割合多く占めているような気もする・・・。
フランスではどうなのかはわからないけど、大幅な人員削減を余儀なくされる場合、
年齢や家庭環境を問わない“くじ引き”という手段は
フェアと言えばフェアだし、くじ引きして
解雇対象者の名を次々読みあげていく自分もその対象に入れれば、誰も文句をつけようはない。
(つまり、ある意味“英雄”になれる。)
だが、それが裏目に出てしまったら・・・という物語。
完全に両目は出ている軽微な変装で声も出しているのに
元同僚の犯行だと全く気づかなかったのは鈍感すぎるし、
偶然乗り合わせたバスで、犯人の子供達が持っていた
コミック本で勘づくというのも安直すぎるような・・・。
犯人の子供達と夫婦の交流もあまり描かれていなかったので
ラストの夫婦の決断もいきなりな感じがしたな・・・。
他の家族が戸惑うのは当たり前だし・・・。
解雇したのが原因でお金にいきづまっての犯行なので
自分達にも非があると思う後ろめたさなのか?
単なる同情なのか?奉仕精神なのか?よくわからなかったけど、
多分、理屈ではない本能的な意志からそう決めたのだろうし、
善し悪しは別にして、夫婦が呈した家族の在り方。
先行きが不透明な中で模索していく現代世相を反映した作品でした。