力
『ダークナイト』3部作のクリストファー・ノーランの製作、
『ウォッチメン』のザック・スナイダー監督による『スーパーマン』。
無敵の能力を備えた事により苦悩して育った青年クラーク・ケントが
いかにしてスーパーマンとして立ち上がったのか、
今まで描かれてこなかったスーパーマン誕生の過程を描く。
がちゃがちゃしたアクションの娯楽大作映画が苦手な私にとっては
本来ならばスルー対象の作品なのですが、
好きな女優であるダイアン・レインがクラークの育ての母役で出演しているので観てきました。
ダイアンの出演作が日本の映画館でかかるのは5年ぶりだし。
私は『スーパーマン』シリーズは幼少の頃にテレビで見た記憶はぼんやりあるけど、
細かくハッキリとは覚えていません。
日本の作品で例えるならば『ウルトラマン』のような
子供向けの典型的なヒーローものという印象です。
だけど、『マン・オブ・スティール』はズッシリとシリアスだったので大人向けな感じでした。
田舎ぽいルックスでもないのに
なぜか田舎を舞台にした作品が多いケビン・コスナーとダイアン・レイン。^^
ケビン・コスナーは大地、ダイアン・レインは海辺の印象。
ケビン・コスナーは主役しかやらない俳優という印象だったけど、
今回は助演でダイアンよりも出番は少ない。
世間体を気にして小学生の頃のクラークに力を隠すように諭すのは下手したら嫌味な父親に映るけど、
正義感が強くても熱くならず冷静で紳士的な善人イメージのある彼だからこそ、
息子を思っての事でもあるんだろうと誠実に映った。
ダイアン・レインはクラークが成人してからは白髪交じりの髪で老け役。
多少は特殊メイクもしているかもしれないだろうけど、
深く入る皺もざらついた肌の質感もアップでさらけだして撮られていて
脱がなくても肝が据わった本当の意味での大人の女優になったなと実感。
夫を亡くし田舎で一人暮らしていた母。
クラークが戻って来た時にすがるように迎え語りかける姿は
子供の成長を感じているからこそ、同時に寂しさも覚え、
子離れ出来ないごく普通のお母さんでじーんときた。
クラークの育ての親である夫婦役を演じたケビン・コスナーとダイアン・レインの
素朴ながらも温かい演技に心が洗われたよ。
実の父親役のラッセル・クロウも控え目ながらも存在感ありました。
本来はピンでも主役を張れる大スターを脇に据えて、
主役は無名に近い人を起用するのはハリウッドでは珍しい気もするね。
主役にもう少し華があれば良かったんだけどな。
スーパーマンの敵は世界を揺るがす凶悪な存在ではなく、
惑星内の権力の内輪揉めな相手とのバトルだったのはしょぼく感じドン引きでしたが、
アクションの見せ方自体はスマートでスピード感もあったね。
物語自体は実の親・育ての親が息子を思う気持ちを描いていたので
ヒューマンドラマのようにも思えた作品でした。