~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

■『下女』(1960年)■ ※ネタバレ有

2010-02-07 22:36:23 | 映画【韓国】


〇概 要〇
当時の韓国で実際に起きた事件を題材にした
韓国映画界の鬼才キム・ギヨン監督の最高傑作。
“女”シリーズはこの作品と同じ物語で監督した
『火女』〔1971年〕と『火女’82』〔1982年〕をはじめ
『蟲女』、『修女』、『肉食動物』など何本か製作されました。

〇あらすじ〇
作曲家の家で雇われている若い下女(家政婦)〔イ・ウンシム〕が
家主の夫〔キム・ジンギュ〕とふとした事で一度だけ肉体関係を結ぶ。
以降、下女は夫の愛を独占する為に妻〔チュ・ジュンニョ〕、
娘、息子〔アン・ソンギ〕に嫌がらせを始めていく・・・・・

〇感 想〇
所々、画質が悪くなり英語字幕が表示されていたなぁ~。
この作品は90分バージョンと108分バージョン(日本上映Video版)があり、
今回の上映は108分バージョンだったので
90分バージョンではカットされていた未公開場面が付け加えられていたのでしょうね。

オープニングのタイトルバックで
娘と息子があやとりをしている場面が延々と映しだされるんだけど、
あやとりの仕方は韓国と日本は共通なのですね。

夫は工場にピアノを教えに行っている。
妻子持ちの夫に女工がラブレターを書いただけで女工は工場をクビになっちゃうのね。
当時の韓国は貞淑な社会だったのですね。

両足が不自由で補助杖で歩いている娘。
リスは山を走る動物なので、
人間につかまえられカゴに入れられてもグルグル回る輪を走り続ける。
そうやって走る努力をしているリスを見て、
娘の足が回復するように頑張ってほしいという意味をこめて
父が娘にリスをプレゼントする。
観ているうちにそれは閉鎖的な家中でジタバタしている
家族と下女を象徴している印象を受けてしまいました・・・。

まだ小学校低学年ぐらいの幼い息子役を演じていたのはアン・ソンギ。
子供の頃は少しふっくらしていたのね。
笑顔は面影があったな。

姦通罪と言っても妻が訴えなければ罪は立証出来ない・・・。
恋愛に関する犯罪は感情に左右されるものだからシビアですよね・・・。

貧しい境遇の下女が欲しかったのは裕福な家庭ではなく、
ただ、夫の全てを独占したかったのかしら?
だとしたら、狂っているけど一途なだけなのかもしれない・・・。
それにしても、妻が夫の子を妊娠している下女を階段から突き落として流産させ、
下女はその仕返しに夫妻の息子を毒殺する・・・。
(昼ドラも真っ青なドロドロすぎる展開だわ。。。)
そして、下女の無様な死に方と夫の虫の息の長さにビックリ。。。

下女は妊娠初期だったけど、
妻は臨月だったはずなのにお腹は大きくなかったから、
妻が妊娠していたとは気づきませんでした・・・。
妻は下女に家事を助けてもらおうと思う程どうして体調悪いんだろう?
とは思っていたけど、妊娠だったとは・・・。
下女は夫妻の生まれたての赤ちゃんではなく、
夫妻の息子を殺害したのはなぜなんだろう?

悲劇的な結末かと思いきや、教訓の一例だったとは。^^
(こういう奇をてらう演出って私は大好きだなぁ~。)
夫役のキム・ジンギュがカメラ目線で飄々と話す姿には笑っちゃいましたよ。^^

展開が読めそうで読めないスリル溢れる展開でとても観応えありました☆
私が今までに観た韓国映画でベスト3に入りそうです。
最高に面白かった☆


P.S.
現在撮影中のリメイク版『下女』ではチョン・ドヨンが下女役、イ・ジョンジェが夫役。
チョン・ドヨンだと重い演技になりそうな気もするけど、
シークレット・サンシャイン』でカンヌ女優賞を受賞した演技派女優なので
迫真の演技を見せてくれそうです。

 
『シークレット・サンシャイン』・・・ ※ネタバレ有

イ・ジョンジェは夫役には線が細い気もするけど、
彼ならではの上品な色香を役に投影出来れば作品に良い効果を表せそうな気もします。
リメイク版も楽しみです☆


【アジア映画の巨匠たち~大阪アジアン映画祭2010プレ企画~】


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。