~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

『迷宮捜査』... ※本編と原作のネタバレ有

2015-05-12 19:45:12 | 〔RR〕


  『迷宮捜査』:公式サイト

達筆

緒川怜原作の警察ミステリーのドラマ化。
天涯孤独の刑事である名波〔反町隆史〕が2つの一家惨殺事件の真相を追う姿を描く。

映画『サムライフ』で大増量の役作りが話題になった
加治さんが捜査員役で出演されていたのが何気に嬉しく。^^
中村ゆりは昔2人組のおバカアイドルだったのに
今ではしとやかなイメージになって、数多くの映画やドラマで実力派女優として活躍されていますね。

反町さんと貫地谷さんは安定感ありましたね。
貫地谷さんは明るいイメージだったので、落ち着いた大人の女性役は新鮮でした。
低めの声も良いですね。
夏菜さんは朝ドラ見ていないけど、映画や新春の時代劇ドラマで度々拝見していて、
サバサバした演技が個性的なのでもっと売れても良いような気もする。

原作では九鬼〔竜星涼〕がある事件を起こし、故郷を追われてからの過程もあったけど、
ドラマでは省かれていたのが勿体なく感じました。
九鬼は単に可哀想な青年ではなくて、末裔である家系を愛していたし、
九鬼なりに人生を踏み出そうとはしていた時期もあったんですよね。
それをまるごと省かれたのもチョット。。。
私は原作のレンタルビデオ店のくだりが好きだったので、それだけでも入れてほしかったかな。

九鬼は根っからのサイコパスではなく、
生い立ちゆえなので相当難しい役だったようにも感じます。
私の推測ですが、
この役は極力、自身の色を消して一旦浄化した上で役に染まろうとするメソッド演技のようにも感じました。
もし、そうだとしたらリアルさを追求する高度な演技手法であるがゆえに却って迫力に欠けたので、
形から入る演技(例えば、鋭い目つき)も適度に取り入れ、
組み合わせて演じても良かったような気もする。
それでも、惨殺場面では一瞬で生々しい表情を浮彫にしていたのには感心。
幼く見える外貌とは対照的な狂気というような役作りも的確だったな。

ツィートには“珍しく役をつかみきれてない印象を受けた”って私は書いちゃったけど、
役と言うよりも“演じ方”かな?
今回は彼の持ち味である“演技を超える演技”を感じとれなかったんですよね。
昨年末のインタビューを読んでいると
今までのように気迫で押し切る演技ではなくて、
台詞に頼らず内面を表現する演技も身につけようとしているんだろうけど、
まだ完全にモノには出来ていないんじゃかな?という意味で。
そういうのって、芝居が好きでストイックな子だからこそ出てしまうスランプなんですよね。
とはいえ、若手の場合、スランプが長引くとキャリアに支障が出るので、
なるべく早く脱出したほうがベスト。
この作品の次に撮ったハードな作品が突破口になっていれば良いのですが。

某半島ネタや海外の地震ネタなどてんこ盛りだった原作と比べると
ドラマはそういったシビアな要素は徹底的に省き簡潔に描かれていたとは思うけど、
それゆえに捜査過程での切迫感があまり伝わってこず・・・。
ピアニストを追い詰める記者をこれでもかという程、登場させてスリルを煽っているだけなのもなんだかな。。。
脚色や演出に物足りなさを感じましたね・・・。
地震ネタは無理でも半島ネタはそのままで
社会派の監督で映画化したほうが緊張感を添えられて面白くなったような気もしますね。
原作のオチは・・・ですが、映画なら後味悪いぐらいのほうが余韻を残せるし。
ドラマ向きな題材でもないような気もしてしまいました・・・。


P.S.余談ですが、
昨年放送された松本清張原作の『時間の習俗』というスペシャルドラマがあったのですが、
加害者でもあり被害者でもある役回りは
このドラマでBLの役を演じた千葉雄大を思い出したりもしました。
若手俳優には詳しくない私はその時は彼の名前も知らなかったのですが、
(『桜蘭高校ホスト部』ではハニー先輩役だったというのもつい最近知りましたよ。)
その後、数々のドラマや映画に立て続けに出演されて注目度が上がってきているので、
二時間ドラマも侮れない気もする。
『迷宮捜査』は『時間の習俗』よりも視聴率が高かったので、
一人でも多くの業界人の目に留まればなと淡い期待を抱いたりもしてしまいました。
“大きな役じゃなくてもこういう役にも挑戦します”という意欲を示すのも大事なのかなと。
そういうフィールドを与えられるのは大手事務所のメリットでしょうね。
それを活かして出世出来るかどうかは作品運と本人の取組次第だろうけどね。


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