~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

◆『マジカル・ガール』◆ ※ネタバレ有

2016-04-09 01:02:32 | 映画【スペイン・ラテンアメリカ・カナダ】


  『マジカル・ガール』:公式サイト

守護天使
黒蜥蜴

日本のアニメ好きでそのコスチュームを着て踊る事と
13歳になるのを夢見る病気で余命僅かな12歳の娘:アリシア。
娘の望みを叶える為に金銭面で奔走する父親:ルイス。
心に闇を抱える女性:バルバラ。
バルバラと因縁有りの元教師:ダミアン。
思わぬ事態を引き起こしていく過程をブラックユーモア交えて描く。
第62回サンセバスチャン国際映画祭作品賞・監督賞受賞作。

赤い色のクローゼット?の扉や壁に時針が壁に埋め込まれた時計などインテリアが何気に凝っていたな。

冒頭とラストでアニメソングらしき曲が流れるんだけど、実際はアニソンではなくて、
1984年に長山洋子がリリースしたデビュー曲『春はSA・RA SA・RA』でした。
(私は現在演歌歌手の長山洋子が昔アイドル歌手だったのは知っていたけど、
この曲は知らなかったです。m(_ _)m)

日本のアニメと言ってもこの作品に登場するのは架空のアニメで“魔法少女ユキコ”。
深読みするなら80年代の某アイドルの名前を捩っているのかとも思えた。
そのアニメの絵はキキララぽいメルヘンなタッチだったな。

難病の子供の為にお金が必要で工面する為にやむを得ず犯罪にはしってしまう設定は
映画としては既視感あるけど、
この作品は強盗しようと思ったら何故か淡い緑色の嘔吐物が降りかかったり、
その嘔吐した女に声をかけられ部屋に行ったのをネタに恐喝したり、
その女に因縁のあるらしいムショ上がりの偏愛男が絡んでくる・・・。
お涙頂戴のメロドラマでもなく、ファンタジーでもなく、
愛憎劇かと思いきやノワールに着地するのが意表を突かれたよ。
(犯人は事情を知らなかったにせよ、
短髪で青白い顔の少女が立っていたら病弱だと気づくはずなのに、
ああいう行動をとるのは酷すぎるな・・・。)

溌剌とした歌声の『春はSA・RA SA・RA』と
ダークな展開は一見ミスマッチな気もするんだけど、
『春はSA・RA SA・RA』はよく聴いてみると片想いの曲なんですよね。

この作品の登場人物は
 アリシア→日本のアニメ『魔法少女ユキコ』に傾倒
 ルイス→アリシアの為に『魔法少女ユキコ』のコスチュームを購入に必死
 バルバラ→心を病んでいるっぽい
 ダミアン→バルバラへの偏愛絡み?で罪を犯し刑務所に収監されていたらしい

それぞれ自分の殻に閉じこもっていたり、一方的な想いを抱えていたりするんですよね。
そう考えるとベストな選曲にも思えてきて。。。
だからこそ、結末がより一層不気味で、ある意味ホラーに感じた作品でした。


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