法
人間
日本でも映画化された東野圭吾の同名小説を、韓国で再映画化。
未成年の少年達に最愛の娘を殺された父親の復讐を描く。
少年達を追いつめていく父親を演技派俳優チョン・ジェヨンが演じる。
事件と向き合う刑事達の葛藤が浮き彫りになる会話が印象深い。
大人であれ子供であれ犯罪者は人間の屑だが、
未成年は法律で守られ、厳罰に処せられることはない。
(数年でシャバに出てきてしまう・・・。)
むしろ、捕まったら大きな罪に問われるのは復讐であれ大人。
法の矛盾は日本も韓国も同じなんだなと。
ただ、『ソウォン 願い』を観た時も思ったけど、性犯罪に関する法律は韓国の方が甘い気もする。
『ソウォン 願い』の父親は娘が止めに入ったこともあり、加害者に手をかける事はなかったけど、
『さまよう刃』では被害者の父親が加害者達に手をかけていったのは
娘が亡くなっているのも大きいのかもしれない。
(他に家族もいないから彼を止められる人がいないし・・・。)
『ソウォン 願い』では娘は重い障害を背負ってしまってはいるけど、生きている。
幸せに暮らしていく事で希望を見出していこうとするけど、
『さまよう刃』レイプされた上で殺害されているので絶望しか去来しない・・・。
チョン・ジェヨンは完璧に役に染まっていったね。
メソッド演技?が凄すぎる。
特に、娘が酷い目にあっている動画を見て、動揺しヨダレを垂れ流す熱演が印象深かった。
演技賞受賞してほしいなと思う。
昔は演じていてもふと素が垣間見えるとこが魅力的だったんだけど、
近年は完璧に役と同化している。
韓国映画界を牽引する演技派俳優に大成したよね。
ただ、私がチョン・ジェヨンを知ったのは
イ・ナヨンの相手役を演じた『小さな恋のステップ』だったので
爽やかな笑顔を活かせる役も観たいな。
日本映画版はペンションの女性が登場したり、余計な設定もあったけど、
韓国映画版は余計な設定は省き、
被害者の父親と復讐の鬼と化した彼を追う刑事達の心象を軸にひたすら重厚に描ききっている。
心にズシンときた作品でした。