自由な世界
ピンク
24歳のカナダ人監督グザビエ・ドランが、
女性になりたい男性ロランスと恋人の女性フレッドの10年にわたる愛を描く。
フレッド役のスザンヌ・クレマンが【第65回カンヌ国際映画祭】ある視点部門で最優秀女優賞、
クィア・パルム賞を受賞。
【第37回トロント国際映画祭】ではカナディアン作品賞を受賞した作品
ヒロイン:フレッドの個性的な髪型が気になってしまった。。。
ちょっと前に片側サイドだけ刈り上げる女性の髪型が流行っていたけど、
この女優さんは両側サイドと襟足から耳下辺りまでを刈り上げて、上方の髪はセミロングで
その髪を下ろすと刈り上げ部分を隠せるようになっている。
髪の量が多いから出来るんだろうけど、これって役作りかしら?
それとも、この女優さんは元々こういうファンキーな髪型なのかしら?
前半~中盤の赤い髪はミシェル・ゴンドリー映画を思い出しましたね。
白地に木筋?の壁紙やピンクのソファー・家の門?のピンクのブロックが瀟洒。
衣裳やインテリア、小物の色使いがメルヘンで女性ぽいセンスだったんだけど、監督は男性なのね。
(美術担当が女性なのかしら?)
30代半ばでロランスが一大決心するのは今まで男として充分生きてきたという自負もあったから、
本来の自分の姿へ踏み出そうとしたんだろうな。
とは言え、普通に付き合ってきたのに、
いきなりロランスが「女性になりたい。」と宣言し、どうする事も出来ず、
ロランスが世間から冷たい仕打ちに合っていないか心配するしかなかった母性的なフレッド。
ロランスの引きしまった男性的な外貌を求めていたのか?
ロランスの性別は関係なく人間性を愛するべきなのか?
後者のほうが至極の愛なのかもしれないけど、
ノーマルな女性のフレッドとしては前者なのが当たり前なわけで。
しかも、ロランスは短髪で髭あとも濃いめでおでこに深い皺も入るダンデイなルックスだから
フレッドとしてはそういうのは想像つかなかっただろうし。
ロランスの髪が長くなりメイクも板につき女性化していった中で
フレッドは刈り上げをむき出しにして髪をリーゼント風にまとめていた場面は実に男っぽかったな。
ロランスが女になる決意をしなくとも、いずれ別れていた
というのは少しわかる気もした。
恋愛は理屈じゃないから、上手くいくのも別れるのも
ご縁があったか?ご縁がなかったか?
それだけのコトだと私は思うし。
中盤、間延びしている感はあったし、やっぱ3時間近い上映時間は長かったな・・・。
会話に重点を置いていたのはわかるんだけど、明るい内容でもないので、
時間的にもう少しコンパクトにしたほうが観やすかった気もする。
性同一性障害というデリケートな題材ではあったけど、
女になる決意をするロランスと戸惑うフレッドの心の機微を軸に
ファンタジックな映像を織り成しながら映し出し、
オチも工夫していたのは印象深かった作品でした。