
母さん
19世紀のアイルランドを舞台に男性を装って孤独に生きてきた女性が
本来の自分らしさに目覚めてゆく姿を描く。
“アルバート氏の人生”というタイトルから
アルバートの一生涯の物語なのかと思っていたんですけど、
“人生”を描くというよりも“晩年”のみを描いているだけですよね。。。
アルバートやヒューバートが男装して生きる決意をしたいきさつも
台詞で語られるだけなので説明的・・・。
舞台ならばそのほうが演出の手間が省けるんだろうけど、
やっぱ、映画ならばサラッとでもいいから回想場面で描いてくれないと
アルバートやヒューバートが歩んできた境遇の過酷さがリアルに伝わってこない・・・。
だけど、アルバートとヒューバートが女性服を着て海辺で遊ぶ場面は
女である自分を押し込めてきた閉塞感から解き放たれた空気をかみしめているようだった。
この時の二人はまるで少女のようで微笑ましかった。
ヒューバート役のジャネット・マクティアは彫の深い顔なので男装は違和感なくてカッコ良かったけど、
アルバート役のグレン・クローズは柔和な顔なので男装は違和感あったな・・・。
ヘレン役のミア・ワシコウスカは生き生きとした表情していたね。
『アリス・イン・ワンダーランド』の頃よりかは各段に演技が上手くなっている。
一気に開花する天才肌ではないけど、
作品ごとに着実に成長していく女優さんなのでしょうね。
アルバートがヘレンを想う気持ちは
男としての立場での彼女への愛なのか?
女としての立場で母親のような気持ちなのか?
ふと考えてしまった作品でした。