40歳
輪
孤高のバレエダンサー首藤康之の姿を追ったドキュメンタリー映画。
バレエとの出会いから、明日という未来への挑戦まで、今まで語られなかった心境を描く。
引き締まった細身ではあるけど、ロン毛に豊かな無精ひげ。
その風貌からして正統派のバレエダンサーというよりも芸術家な雰囲気。
彼のステージは古典的なバレエではなく、
台詞のない演劇みたいな印象で感情を動作で語る。
彼が踊る姿も映しだされているけど、ステージの稽古過程を追っているわけでもない。
生い立ちに関しても彼の幼少の頃の家庭環境については言及せずに
バレエを始めたキッカケや4日間しか行かなかった高校時代のエピソードを語るぐらい。
ほとんどは自身のダンス感について語っているし、
周囲の人のインタビューもダンサーとして取り組んでいる首藤について語る。
1公演であれ30~40公演であれ、
変わらず一貫したストイックな意気込みで目標に向かっていく
彼のストイックな人柄は伝わってくるんだけど
ドキュメンタリーにありがちな“偉人の中にある庶民ぽさ”は伝わってこなかったので
イメージのヴェールは保っている。
ドキュメンタリーで自分を映しだしても
自分が築いてきたイメージはそう簡単に安売りしないという意味では
彼はプロフェッショナルだと感じた。
プロ野球選手は40歳がメドだけど、ダンサーもそれぐらいの年齢がそうなのですね。
年齢につれ段々自分の心を開けるようになってきたけど、
自分の心を閉じていても隙間に入ってくる人もいる。
というような事を語っていたのが印象的でした。
きっと、私もそうだからかな?
私は10代・20代の頃は心を閉ざしている時に隙間に入ってくる人なんて
「余計なお世話!」って感じだったんだけど、
30歳すぎてからはそうやって自分の事を親身になって気にかけてくれる人こそが
自分にとってかけがえのない大切な人だと素直に思えるようになった。
もちろん、そうやって入ってくる人は良い人ばかりとは限らないので
それを見極める冷静な目も必要なんだけど、
良い人との輪(コミュニケーション)は自分を高めてくれますよね。
椎名林檎の刺激的なメロディのテーマ音楽は
既存のバレエのイメージのクラッシックな優雅さとは対極で独創的でした。
ダンサーというよりも芸術家のドキュメンタリーを見ているような感じの作品でした。
でも行ってよかったです。 これは一見の価値ありですね。
ここまできちんと自分のスタイルがあり、しかも見ている人を心地よくさせるのも才能だと思います。
本当に一見の価値有りな作品でしたね。
>ここまできちんと自分のスタイルがあり、
しかも見ている人を心地よくさせるのも才能だと思います。
そうですね。
信念をもっていてそれを崩さないけど、筋道が通っているからわがままにはならない。
周囲を自然に引き寄せられる素養のある人ですよね。