~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

『山椒大夫』・・・ ※ネタバレ有

2007-07-01 20:58:13 | 映画【日本】


平安時代と言えば、絢爛豪華な貴族のイメージが強い私だったのですが、
この作品は山椒大夫の圧政(暴虐)の元で苦役に従事する人々を描いた作品です。

領民の生活を守ろうとした為に上官の命令に背いた陸奥の判官は左遷され、
やがて妻は遊女宿へ、子供2人は山椒大夫の元へ売られてしまう・・・。
悲壮な運命を背負い離れ離れになってしまった親子の姿が浮き彫りにされています。

恵まれている人は他人の幸せや不幸は考えないものなのかもしれないので、
自分が苦しい環境にあっても恵まれている人は助けてくれないかもしれないけど、
自分自身が”人間の情(人間らしい気持ち)を取り戻す事が出来れば
状況を好転させる事が出来て自由に生きる術を見出す事が出来る。

でも、その自由と引き換えに厨子王は人の心も体も深く傷つけたし、
多くの事を犠牲にした。
特に大きな犠牲となったのは、
拷問されても口を割らない覚悟を決めるために入水自殺してしまった妹・・・。
父親も病死。
厨子王と母が再会出来た事が唯一の救いだったのかもしれない。

母親役の田中絹代は出番は少なかったけど、
ラストシーンを観ていて「やはり主役はこの人!」と強く思わされた。
役になりきるでもなく、役の魂が乗り移るでもなく、
役そのものになっている(役と心身一体している)迫真の演技でした。(*^-^*


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