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声を聴かせて
工藤静香が『禁断のテレパシー』でソロデビューしてから30周年。
東名阪ライブツアーの大阪公演。
30周年にちなんで約2時間で30曲以上(正確には31曲)の歌唱。
そのうちアンコールは4曲。
発売中の新アルバム『凛』の曲やデビュー当時から全盛期(87年から90年代前半)の
シングル(B面やカップリング含む)・アルバム曲のロックナンバーが中心でした。
ただ、ライブは盛り上がりも意識しているのかロック中心で
ジャズぽい曲などしっとり系の曲は年末のディナーショーに備えたようなので、
スローバラードが少なかったのはやや物足りなかったかな。
大掛かりなセットはなく、バックコーラス・ギター・ドラム・ベース・キーボード(だったかな?)のバンドメンバーの
生伴奏でハンドマイクで歌うしーちゃん。
衣装チェンジも2回のみでした。
ビブラートが彼女の最大の持ち味だと私は思っていたけど、
ビブラートは安定の域に入っていて、群を抜いていたのは伸びやかに通る高音。
昔の曲も当時と同じキーなのに声量抜群で逞しく勇ましい大人の女の声と
可憐で儚げな少女の声を曲の中のヒロインに合わせて演じ分けているような表現力も秀逸。
歌詞間違いは『禁断のテレパシー』のサビのフレーズ。
『鋼の森』の出だしを最初書いた歌詞と間違えて歌い出してしまって、伴奏も止めて再度歌い直した。
その2回あったけど、歌唱技術に関しては音程もバッチリ合っていて
ファルセット以外で不用意に声が裏返ることもなく、ノーミス。
トークも控室での出来事や20周年のライブの時のハプニングなど、
お茶目なエピソードが可愛らしくて、控え目なメイクで肌もキレイでした。
ペンラの振りは皆揃っていて勢いあるし、MCの時には大きな声出してしーちゃんに声かけていて、
しーちゃんも観客の声を必ず全て拾って応えていて、
観客のリクエストに応えてアカペラでも数曲歌ってくれた。
一時代を築いた歌手は実力と共にファン対応も抜群に一流なんだなと。
そして、当時よりも今の歌唱のほうが強さの中にも温かさがあって素敵に聴こえた曲もあったの。
特に後半の『雪・月・花』、
キーボード伴奏だけで歌い上げたアンコール最後の曲『声を聴かせて』は
当時は背伸びして野太い声出していて違和感だったけど、
色んな経験をして様々な葛藤を乗り越えてきた彼女だからこそ、
今のほうが自然に芯のあるたおやかな歌い方が出来ていて説得力あった。
工藤静香は歌を歌う為に生まれてきたような人のようにも感じた。
工藤静香は現在進行形の歌手だと実感出来たライブでした。
P.S.
観客層は見た目30代~50代の40代中心で男女比率は半々。
それでも皆さん若々しかった。
会場入りの時に並んでいた時に
「3公演じゃ少なすぎるわよね。もっとやってほしいね。」
と話している方達もいて、元気有りまくっている感じ。^^
ライブ中の衣装チェンジで舞台裏にしーちゃんがはける時、観客が一斉に座るんだけど、
しんどいからというよりかは後半への声援の余力を蓄えている感じ。
しーちゃんは喉が弱いからか?歌う曲数が多いからか?はわからなかったけど、
曲の合間に「ごめんね。」と言いつつも、水を飲みながらの歌唱。
普通だったら怒る観客もいそうだけど、「何飲んでいるの?♪」と明るく声かける観客。
しーちゃんもMCの中で言っていたけど、しーちゃんのファンの方達は明るい。
いわれなきパッシングを受ける事も多い彼女にとっては明朗なファンに癒され支えられている感じがする。
また、ファンも楽観的にならないと続けていけない。
良いファンがついているのは彼女自身がファンへの感謝を忘れず大切にしてきたからこそ。
公演後、トイレで幼い女の子が『声を聴かせて』を大きな声で歌っていて、
多分、その子にとったら初めて聴いた歌だろうけど、
世代を超えて素直に感化させられる程、歌声を響かせた工藤静香は凄いなと実感しました。