手紙
1960年代末のオーストラリアでソウル・ミュージックと出会い、
人種差別などの壁を乗り越えながら人生を切り開いていく
先住民族アボリジニの4人組女性ボーカルグループ“サファイアズ”の実話にもとづき描く。
南半球ならではの風土?の幹の長い高木の風景がみずみずしい。
歌手を目指す女の子達のお話しと言えば
オーストラリア版『ドリームガールズ』みたいな感じかしら?
彼女達の良き理解者であり、ヒロインのゲイルと恋仲になる白人男性デイヴ役の俳優さんは
飄々としつつもいざという時は行動力のあるキャラを好演していて良い味を出していたな。
オーストラリアの先住民アボリジニについては
私は“アボリジニ”という言葉は知っているだけの認識でした。
当時はその先住民の中でも肌の色の違いで差別され、
白い肌で生まれてきた子は家族と強引に引き離され、
白人家庭か白人の施設に入れられてしまう悲劇があった事は
この作品を観て初めて知りましたよ。
黒人への人種差別、ベトナム戦争への慰問、重い時代背景だけど、彼女達はクヨクヨしていない。
自分の気持ちを真っ直ぐにぶつけあい、人を愛し、清々しく生きている。
全力を注いで大空に届くように歌い上げる彼女達は頼もしい。
映画の盛り上げ方としてはズルイけど、
一瞬、やるせない展開と思わせて、微笑ましいハッピーエンドへもっていく、
さりげなくヒネリの効かせた物語運びも巧かった。
隠れた傑作ですね。
『オーストラリア』も、チラと出てくる程度でしたし、
彼女たちが主役というだけでも、私にとっては、この作品に対する点数がどんどん上がってしまいました。
そうですよね、アボリジニの人達が映画に登場する事はあっても、
アボリジニの人達の暮らしや半生をメインに描かれる事はほとんどなかったですよね。
決して恵まれた環境ではなくても、歌える歓びを全力で注いでいく彼女達の潔さが素敵でしたね。