『悪人』:公式サイト
大切な人
吉田修一の同名小説を『フラガール - goo 映画』の李相日監督が映画化。
原作者の吉田修一は李相日と共同で脚本も手掛けています。
光代役の深津絵里がモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞した作品。
深津絵里がモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞!「ありがとう、メルシーボク」と感無量でスピーチ! - シネマトゥデイ
① 他の客がいなかったとはいえ、
祐一〔妻夫木聡〕は光代〔深津絵里〕に店で自分の犯罪を告白するなんて、
店員に聞かれるかもしれないのに・・・。
② どうして殺害された娘:佳乃〔満島ひかり〕の父:佳男〔柄本明〕の憎しみの矛先は祐一ではなく、
佳乃を山中に置き去りにした大学生:圭吾〔岡田将生〕なんだろう?
③ 犯人である祐一が逮捕されても佳乃の実家にはなぜマスコミが来ないんだろう?
④ 祐一の逮捕時の行為によって
光代は結局は罪には問われなかったとはいえ、
光代は数日無断欠勤して犯人と関わっていたのに
あっさり職場復帰出来たのが不思議。。。
素朴な疑問は多々あったものの、
最近の日本映画にしては珍しく?キャストが皆演技上手かったので
二時間超えという長めの上映時間もさほど気にならず、スクリーンに惹き込まれていた。
祐一役:妻夫木聡
逃避行しているのにアイメイク?は不自然だったけど、
ラストシーンで瞳を潤ませた深遠な眼差しは良かった。
光代役:深津絵里
顔の肌荒れ?もさらけ出していた深津さんのプロ根性は素晴らしいです。
『踊る~』シリーズのような強気な女性とは対照的で
祐一との出逢いによってどうしようもない寂寥感を背負っていた日常からかけ離れ、
祐一との逃避行という行為によって皮肉にも生きる実感を得てしまう。
そういう複雑な女心の本能を放出するように演じきっていましたね。
佳乃役:満島ひかり
感情をストレートに出す彼女の定番の演技?ではあったけど、
佳乃の死後、雨の中父:佳男の前に佳乃の幻が立っている場面の佳乃の表情は
浄化されたような感じで清らかで美しかった。
孤独だから誰かに寄り添いたくなる。
それを埋めるツールを求めてしまう。
祐一は佳乃ではなく、先に光代と出逢って愛を得ていたならば、
こういう悲劇は起きなかったかもしれないですね・・・。
P.S.
風光明媚さが一切ないようなドライな風景を観ていて
『シークレット・サンシャイン - goo 映画』や『母なる証明 - goo 映画』を思い出しました。
『シークレット・サンシャイン』・・・ ※ネタバレ有
『母なる証明』・・・ ※ネタバレ有
もしも、韓国映画でリメイクするならば、
物凄くハードに心に迫ってくる作品になりそう・・・。
①③④に関して、私も不思議に思ったところでした。
②に関しては、やはり親心かな~?と思いましたね。。
娘が好きな人が、原因を作ったなど、親としては我慢できない。
自分の娘が、好きな人にそのように足蹴に扱われていた、、
その時の娘の心中を思うと、私にはあの父親の心理が解る気がします。
あんな厭な女の役、本当に満島ひかりさんは上手いです
特別賞をあげたいくらいです。
>②に関しては、やはり親心かな~?と思いましたね。。
ナルホドです。
私は年齢的には深津さん演じる光代に近いけど、
なぜか満島さん演じる佳乃のほうに感情移入してしまったんですよね。
佳乃は恋とか愛とかという次元ではなく孤独感を埋める為に
感情のままなりゆきまかせに行動したり、強がってしまったり
佳乃は男性からしたらめんどうな女ではあるでしょうね。
佳乃は単に駆け引きが上手く出来ないだけなんだけど、
圭吾や祐一のような若い男は
人との関わり方が不器用な女の子の気持ちなんて理解出来ないだろうし・・・。
それを含めて理解しようとしていたのは
幻となった佳乃の頭をなぜていた佳乃のお父さんだったのでしょうね。
この映画もツッコミどころが多かったですね~
祐一、いつどこで髭そってんねん(笑)とか(笑)
この役、妻夫木クンより山田孝之クンあたりの方が合っていたかも(笑)
②の延長で、最後に光代と顔を合わしていますが、
当然マスコミが写真を報道しているので、
あの父親が知らないはずがないと思いましたが・・・。
多少の矛盾はありましたねぇ(笑)
個人的には深っちゃんの演技はそれほどのものではないと感じました。
女性評は高いみたいですがねぇ^^
観たのですが、イロイロ書いていたらなんかだんだんズレていって・・・まだアップしてません。(できてません?)
なんだかね~観てたら切なくて・・・
世の中、こんなに嫌なことばかりじゃないはずなのに・・・負のオーラって負しか招かないの?なんて考えてしまって。
憎らしい人がいっぱい出てたけど
あの妹とかも、なんか思いやりもない子で~姉妹なのに!って腹が立ったり・・・。
群がるマスコミにもプンプン!!
映画観てこんなに疲れるの嫌だ~。。。
コメントのお返事遅くなってしまってすいません。m(_ _)m
>祐一、いつどこで髭そってんねん(笑)とか(笑)
そうですよね、ホンマにツッコミ所満載でしたなぁ~。^^
しかも、目はメイクしているように見えたし、
メイク道具はいったいどこで調達したんだろう?とか
本筋とは関係のないところも妙に気になっちゃいましたよ。。。
>この役、妻夫木クンより山田孝之クンあたりの方が合っていたかも(笑)
ナルホドです☆
深っちゃんは顔のお肌にしみ?ソバカス?がたくさんあって、
お肌が美しいとは言えないのに、どアップの場面が多くてビックリしました。
お肌の衰えを多少なりとも実感してくる30代以上の女性にとっては
顔をどアップで撮られるというのは
ある意味、ヌードになるよりも勇気のいる事だったりするんですけど、
厚塗りして隠さず、堂々としみ?ソバカス?をカメラの前にさらしていた
彼女のプロ根性は凄いなと感心しました。
もしかしたら、映画祭ではそういう部分が評価されたのかもしれないと思いましたよ。
海外の人は日本人の顔の区別がつきにくいらしいし、
映画祭に出品される作品のキャストは演技自体はそれなりに上手い人が多いので、
役作りで何気に目立つ部分があるかどうかが受賞の決め手だったりするのかも?
単純な筋書きの娯楽映画なんかはすぐに感想UP出来たりするけど、
こういう社会性のある映画はなかなか感想がまとまらなかったりするよね。
この作品は巧みに練った計画的犯罪ではなく、
気性の高ぶりやバツの悪いタイミングによって起こってしまった突発的な犯罪なだけに
実際にも起こりえるかもしれないから考えさせられましたよ。
>あの妹とかも、なんか思いやりもない子で~姉妹なのに!って腹が立ったり・・・。
あの姉妹の仲は良くなかったのかなぁ~?
確かに、妹の対応はそっけなかったよね・・・。
ついている時は良い事ばかりに恵まれるし、
ついていない時は悪い事ばかりが重なるものだし、
運命ってそんなものなのかもしれないけど、
負の要素が積み重なって悲劇が引き起こされてしまうのはやるせないですよね・・・。
まだ見たばっかりなのでまとまってないのにこんなこと書くのは恐縮なのですが…
②について
僕も同じこと感じました。
だけど、考えたのは父の「あんた、大切な人はおんね。~」ってところから感じたんですが、父は人を愛したり大切に思う人を蔑む人が許せない。そんな思いから増尾に行ったのでないかと思いました。
もちろん祐一も憎悪します。しかし、それは警察がどうにかする問題であり、反面社会的にも何も制裁を受けない増尾に対して自ら制裁を加えようとしたのではないか、と。
まだまだ混乱しているので、とても勉強になりました
こちらこそ、koyさんのコメントを拝見してご意見とても参考になりましたよ。(*^-^*
私は②については観た直後はよくわからなかったのですが、
色んなブロガーさんの感想やコメントを読んでなんとなくつかめてきたような気がします。
世の中で一番嫌悪するタイプの男に山中で置き去りにされた娘。
娘を軽く扱った増尾が許せない・・・。
人を大切にする事が出来ない増尾が娘と同世代というのも
憎しみの矛先を増長させた要因かもしれないですね。
なんでこんな男に・・・という男親としての気持ちなのかな?
増尾は手を下してはいないので、この映画の中では罪に問われていなかったけど、
危険が予測される深夜に山中で女性を一人置き去りにした場合
実際には何らかの罪に該当するかと思います。
(私は法律には詳しくはないので、具体的な罪名はわからないけど。)
その辺の脚本は現実味がなかったようにも感じてしまいました・・・。
いろいろな方のレビューを読んで、
満島さん演じる
佳乃に「あれじゃ殺されても・・・」
とあまり同情が無かったきがしましたが、
私は、(一部の)女の子にはあんな時期、
あるような気がする。
性に目覚めて、
少し外見が良いと、調子にのってしまう、
毎日恋愛だのお洒落だのが楽しくて
両親の愛や他人の心の痛みにまで配慮がいかない。
でも、ある程度年齢を重ねて大人になると、
そんな自分を愚かしいと振り返る時期がきて、
他人の痛みも学習して妻になり母になる・・・
みたいな、皆が皆そうではないですけど。
私は、佳乃の人生ははじまったばかり、
いろいろ勉強して人として成長していくのはこれから・・・
あの愚かな行動のみで命を奪われてしまったのは、
当たり前ですが気の毒でした。
現代の希薄な人間関係や、
祐一や光代の心情、被害者加害者の親族たちの
苦悩にスポットをあてた作品とわかっていても。
>少し外見が良いと、調子にのってしまう、
周囲が言うほど、自分では外見が良いとは思っていないと言うか、
自分に自信が持てないからこそ、自分を飾ってしまう・・・。
そして、虚勢を張ってしまう。
佳乃はそういう強がりな女性のような気がしました。
また、祐一は普段は自分の感情を抑え込んでいるからこそ、
佳乃に見下されるとプライドが傷つけられ逆上してしまった。
二人の負のめぐりあわせが招いた惨劇でしょうね・・・。