~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

*『そして父になる』* ※ネタバレ有

2013-09-28 00:09:57 | 映画【日本】


  『そして父になる』:公式サイト

血縁?
時間?

是枝裕和監督が福山雅治を主演に迎えた作品。
息子が出生時に病院で取り違えられた別の子だったことを知らされた親の苦悩、
それによって環境の変化が伴う子供が抱える葛藤を描く。

 野々宮夫婦〔福山雅治、尾野真千子〕は
 この件がなかったとしても冷え切った仲のように見えるけど、
 どういういきさつで結婚したんだろう?

 逆に斎木夫婦〔真木よう子、リリー・フランキー〕は一見、美女と野獣?だけど、
 子供達と同じ目線で接する夫と家庭と店を切り盛りするしっかり者の妻は
 相性は合っていて仲は良さそう。

 この夫婦の結婚のいきさつもどうだったんだろう?

 両家は一旦は子供を交換する決断をするんだけど、
 慶多はお受験までして附属の小学校?に入学したのに学校はどうしたんだろう?

福山さんは『ガリレオ』のようなポーカーフェイスな役ならごまかせても
繊細な感情の機微が求められるヒューマン映画には役不足のような?
泣く場面も無理に涙を出していますという感じで自然じゃなかったし。
ファンの方、すいません。m(_ _)m )
それと、子供を追いかける場面はエリート然気取りだった自分を捨てて
不甲斐ない自分を見せないといけないシチュエーションなんだけど

福山さんは何をやってもカッコ良すぎるんだよね。

真木よう子は『さよなら渓谷』の思いっきり暗い役とはカラーが違う
サバサバしたお母さん役を演じていて何気に凄い女優だと思った。
表情や台詞回しはまるっきり豹変しているわけでもないんだけど、
それぞれの作品の空気に染まっている印象だったんだよね。

明確に答えが見いだせない題材を扱い、
核心を所々ヴェールに包むようにまやかすので、
現実味があるようで現実味に欠け、寓話的に仕上がる。
画的には美しいけど、それはある意味“逃げ”のようにも感じてしまうから、
私はこの監督の作風は好みじゃないんだけど、
この作品はさりげなく鋭い台詞が散りばめられていて余韻が残っている。

 
実の子も育ての子も二人共引きとりたいと口走ってしまう両家のエゴ

 育ての子の出来を見下していた事をみどり〔尾野真千子〕に指摘される良多〔福山雅治〕

 引きとった実の子に情がわいてきて育ての子に申し訳ない気持ちに陥るみどり

などなど、ふと漏れ出てしまう数々のシビアな本音にゾクッとさせられた。
(そういう面ではある意味、ホラー映画のようにも感じた。)

6歳から7歳になる幼い子供だから親が決めるしかないと思いがちだけど、過酷な現実ではあっても
この場合、居場所を決めなきゃいけないのは子供自身のような気もするの。
(幸せはなるものじゃなくて、感じとるものだと私は常々思っているから。)
子供にとっての幸せは子供本人にしかわからない。
あと10年以上経てば進学や就職などの局面がやってくる。
この子達は人生の岐路が他の子達よりも早くきてしまった。
だけど、それをどう受け止めていくかも子供次第。

クライマックスの2人子供それぞれの行動による意志表示から、
親が心を動かされるという流れは清々しかったです。


4 コメント

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選択~ (cyaz)
2013-10-13 08:30:22
BCさん、おはようございます^^
ご無沙汰してすみませんm(__)m
コメント、OKされたんですね(笑)?

この映画、テーマは難しい選択でしたが、
取り違えの原因が看護師のねたみだったのなら、
もっとどろどろした内容でも良かったのではと思いました。
ちょっと綺麗に描かれ過ぎたのは福山クンのせいでしょうか(笑)?
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二人のカラー。 (BC)
2013-10-13 12:01:32
cyazさん、こんにちは。
引きこもっているのも飽きてきちゃったからコメント欄を再開してみました。^^

福山さんのサラッとしたイメージもあるだろうけど、是枝監督も元々マイルドな演出なので
二人のカラーが調和された感じかも?

是枝監督はスピルバーグ監督との酒の席で
“福山雅治が演じた良多役にはトム・クルーズ、
リリー・フランキーが演じた雄大役にはジャック・ブラックはどうか。“
と冗談半分でリクエストしたらしいですよ。

http://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=1979691&categoryCode=IV

ハリウッドリメイクがどんな感じになるのかも注目ですね☆
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原案~ (cyaz)
2013-11-01 08:48:54
BCさん、おはようございます^^
やっと秋らしくなってきましたね~♪
今月末は大阪で高校時代の同窓会が5年ぶりにあります。

ところで今、この映画の原案になった本を読んでいます。
やはり映画では描かれていなかった骨肉の争いや、
体調を崩した母親の姿が描かれていました。
まだ途中なのでなんとも言えませんが、
“血か情か”・・・難しい選択であることは間違いないところです!
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答え。 (BC)
2013-11-02 11:08:38
cyazさん、おはようございます。
台風が去ってから、秋らしい気候になってきましたね。
cyazさん大阪に来られるのですね。
ちなみに、私は月末は舞台観賞で東京なんですよ。(^-^ゞ
日にちによってはすれ違いになるかもしれないけど、
もしよろしければ、左サイドバーの一番下の“メッセージ”頂ければと思います。

やはり、実際には映画では描ききれない過酷な側面や葛藤があるのでしょうね。
“血か情か”は明確な答えを見い出せないから難しいですよね。
取り違え事件が繰り返されないのを願う気持ちです。
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