~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

*『最愛』* ※ネタバレ有

2013-11-22 00:33:01 | 映画【中国・香港・台湾】


  『最愛』:2012-2013 冬の香港傑作映画まつり・シネマート特設ウェブサイト

1990年代HIVが蔓延した中国の貧しい村の実話をもとに
HIV患者達が隔離された廃校で出会った
得意〔アーロン・クォック〕と琴琴〔チャン・ツィイー〕の許されざる愛を描く。
【ローマ国際映画祭】で琴琴役のチャン・ツィイーが
個性的女優賞(Lancia Elegance and Temperament Award)を受賞した作品。

この作品は香港映画だけど、香港映画の娯楽要素は全くなくて、
文学的な大陸(中国)映画ぽかったな。
ドイル撮影のわりには浮遊感も感じなかったし・・・。

中国には結婚したら結婚証明書が発行されるのですね。

1990年代と言えば、薬害エイズのニュースもあった記憶がありますが、
生活文化で言えば、日本ではポケベルから携帯電話へと移ろっていった時代でしょうか?
モバイルが普及し始めた頃。
そういう時代でもこの作品の中国はそういう流れは一切感じず、
まるで、日本の昭和の時代の『砂の器』や『八つ墓村』ぽい雰囲気・・・。

得意役のアーロン・クォックは体格良すぎてとてもじゃないけど、病人には見えなかったな。。。
まぁでも、アーロンはアクション俳優のイメージが強かったから、
恋愛映画で繊細な演技も出来るんだなと感心。

チャン・ツィイー演じる琴琴はシャンプーのCM見て、髪がキレイになりたいと思い、
そのシャンプーを買いたいが為に売血に手を染めてしまうという設定も無理があるような?
(だって、昔、日本のシャンプーのCMに出ていたツィイーは今でも美しい髪なんだもん。^^ )
まっでも、ツィイーは相手役を引き立てながらも、自分の存在感はキッチリ示す。
職人的な演技者でありながらも、スター性も備わっている。
稀有な才能のある女優さんだよね。

琴琴が結婚した時は良さそうな生地の赤い服を着ているので
チャン・イーモウやチェン・カイコーの一大叙事詩の大作ような
ゴージャスさもある悲恋映画なのかと思っていたけど、
この作品は思いっきり暗くシリアスでズッシリ重たい内容でした・・・。
退廃的な山奥の村の廃校に隔離されたHIV患者達の悲痛な物語だし・・・。
(ただ、琴琴が野暮ったい赤色の服着ている時は
チャン・イーモウ監督でツィイー主演の『初恋のきた道』を思い出したりしたな。)
しかも、主人公二人は既婚の役だったので、
いわゆる不倫?から抜け駆けして結ばれたようなものなので共感はし辛いし・・・。

一般的に女性はピンクを好む人が多いような気がするけど、
琴琴は赤い色を好んで赤の服を着ている。

赤は血の色でもあり、婚礼の色でもある。
二人にとっては悲劇の色でもあり、至福の色でもあるカタルシス。
だけど、得意が最後に足から流す血の色は
赤とはほど遠いどす黒い色なのはアイロニーでしょうか?
“赤”が意味深で印象深かった作品でした。


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