~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

●『新しき世界』● ※ネタバレ有

2014-02-15 14:12:41 | 映画【韓国】


  『新しき世界』:公式サイト

ブラザー

8年にも渡り犯罪組織に潜入した捜査官ジャソン〔イ・ジョンジェ〕、
彼に潜入を命じた上司ヒョンチョル〔チェ・ミンシク〕、
ジャソンを信じた組織の男チョン〔ファン・ジョンミン〕。
警察と組織を取り巻く緊迫した駆け引きを描く。
韓国で470万人もの観客を動員し、数々の映画賞を受賞した作品。

原題は“신세계(新世界)”なんだけど、邦題は“新しき世界”になったのは
関西の某所と同じ名になって紛らわしいからかしら?^^

長年に渡り何人もの潜入捜査官を組織に送りこんでいるのに、
今まで組織側に気づかれなかったのが不思議。。。
組織は常にピリピリしているものだと思うし、
だからこそ、近づいてきた奴を信頼出来るかどうかにも敏感になるだろうから
余程の事がないかぎり子分にはしないと思うけどね。
ジャソンとチョンにしても“華僑”という共通点だけで信じるものなのかしら?
ノワール映画特有の“ヤクザの嗅覚”というモノが感じとれなかったのよね・・・。

ジャソン役:イ・ジョンジェは好きな俳優さんなので
恋愛映画が多かったジョンジェが
ノワール映画でどんな魅力を発揮してくれるのか楽しみにしていたんだけど、
ノワール映画であってもイ・ジョンジェはイ・ジョンジェでした。。。
ノワール映画なのに流血せず終始、優雅な物腰のジョンジェはホント素晴らしい。^^
ラスト、足を組んでタバコ吸う仕草が優雅でウットリする程、麗しくてね♪
(素直に誉めています。)
だって、韓国の俳優さんって“カメレオン俳優”を気取って
イメージチェンジを美徳にしている人が多い中で
若い頃からイメージを崩さず保ち続けている彼は強い人だなと思うの。
(日本で言えば、田村正和や木村拓哉みたいな感じなのかな?)
芸能界には風潮に流されず、自分を保ち続ける人も必要だと思うの。

アクを前面に出しつつも、まったりと熱く演じた
チョン役:ファン・ジョンミンの数々の主演男優賞は納得。
実質、助演であっても主役を喰う存在感あったから。
「ブラザー」の訛りも味があったね。
ファン・ジョンミンも好きな俳優さんです。
ファン・ジョンミンはジョンジェとは逆のタイプで、
多岐にわたる役柄をこなせる確固たる実力で
長年の下積みを経て、今では映画・ドラマ・舞台で主役級で活躍する売れっ子に大成。
善人を演じても悪人を演じても、平面的にならず、
役の体温を感じさせる表現力は凄いです。
名優の域に達している人だと思う。

アクを抑えオーラを消して、地味な男のしたたかさ冷酷さを醸しだした
ヒョンチョル役:チェ・ミンシクも芸達者。
職人肌の名優ですね。

そして、組織のNo.3ジュング役:パク・ソンウン。
観ている時は思い出せなかったんだけど、
韓国ドラマ『太王四神記』のチュムチ役の俳優さんだったのですね。
その頃と比べると、随分、痩せられているし、
髪型もノーマルだったのでパク・ソンウンだとは気づかなかった。。。
クセ者的な空気をまといながらも組織に翻弄された悲運な男の哀感が印象深く、
出番は多くはなかったけど、静かなる存在感があった。
パク・ソンウンの数々の助演男優賞も納得。

欧米や日本のノワール映画ならば、潜入捜査官を組織のトップにはさせないか、
トップにさせたとしても組織が壊滅する“滅びの美学”になりそうだけど、
結局、警察に戻る事を望んでいた潜入捜査官が
組織のトップにおさまってしまう、後味の悪い結末・・・。
とは言え、容赦ない行く末を決定づけて、
充実していた頃の過去の回想場面を懐かしむように対比して
栄枯盛衰の情感を添える手法は韓国映画の王道ですね。
鮮やかな結末にしないのは韓国映画らしかった作品でした。


P.S.
この作品、ハリウッドリメイクが決まっているみたいだけど、
どんな感じの作品になるのかしらね?
この作品は韓国映画ならではの結び方のような気もするんだけどな。


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