![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/aa/72b3e46012fda15ce56b47cac4f68942.jpg)
女の人生
40万人以上の死傷者を出した1976年の中国・唐山大地震を背景に、
心に傷を負った娘:ドンと罪悪感を背負い生きる実母:ユェンニーの32年間を描いた作品。
“泣ける映画”って謳っている映画は
私は泣けなかったりするけど、この作品は素直にじわっと泣けた。
親子モノに弱いからかもしれないけどね。
震災を題材にしているけど、その後の人生と心境を軸に描いている。
双子が産まれた夫婦の喜びを打ちのめすかのように起きた大地震で
双子のうち、どちらか一人しか助けられない状況の中、
ユェンニーは「二人共助けて下さい!」と頑なに懇願しつつも、
最後には「弟のほうを助けて下さい。」と折れてしまったコトが双子の運命を左右してしまう・・・。
双子の弟:ダーは片腕を失い、
姉:ドンは死体置き場から生還するも心にも傷を負い、人民解放軍の養父母のもとで育ち、
ユェンニーやダーのもとに帰ろうとはしないまま成長する。
そして、言ってしまったことをずっと後悔し続けているユェンニー・・・。
冒頭とクライマックスの地震の映像がスケール感ある為に地震映画とみられがちだけど、
この作品は大地震に翻弄された家族映画でもあり、
母と娘の心の軌跡を描いた女性映画でもあるんですよね。
どうしようもない状況ではあっても決して言ってはいけない事を発してしまった実母:ユェンニーと
その言葉をどうしても許せなかった娘:ドン・・・。
再び地震が起きなければドンがユェンニーやダーに再会することはなかったわけで
それも運命のアイロニーだと感じたよ・・・。
ユェンニーが帰ってきたドンに「出産の時、大変だったでしょ。」と気遣う場面は
母親と娘らしい会話で印象に残りました。
クライマックスのお墓の場面でドンはユェンニーが毎年2冊教科書買って、
お墓に入れていてくれていた事を知り、親の想いに気づいて
ドンはユェンニーにひたすら謝るんだけど、
本当に謝らなきゃいけないのはユェンニーのような気もするんですよね。
そこが少し腑に落ちなかったけど、
双子の男女なら男を助ける、失言した母と家に戻らなかった娘どちらにも非があっても娘が親に謝るというのは
日本に比べると儒教精神の名残が大きいお国柄なのかもしれないですね。
とは言え、登場人物の気持ちを丁寧に描けている良い映画だからこそ、
4年の歳月を経て公開可能になったんだろうなとは感じた作品でしたよ。
≪映画『唐山大地震』関連記事≫