~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

□第27回フジテレビヤングシナリオ大賞『超限定能力』□ ※ネタバレ有

2015-12-31 13:28:23 | 〔RR〕


  『超限定能力』:公式サイト

横浜

数々の脚本家を輩出してきた【ヤングシナリオ大賞】。
本年度【第27回フジテレビヤングシナリオ大賞】受賞作『超限定能力』のドラマ化。

いくらなんでも武藤さんから芽郁ちゃんは生まれない気がする。。。

電車内の広告、雑誌名は変えているのに、
マイナビ、リクナビの表記はそのままだったような?
(就活を題材にしているだけにそれがなんかリアル。。。)

サッカーボールは映画『orange』へのオマージュ?
竜星くんは宝塚歌劇出身女優との共演が続いているね。
この作品では紺野まひる、『黒蜥蜴』では真矢ミキ。

シナリオとは異なる部分あったけど、改変ではなく、改良のように感じた。
続編を想定しているならばシナリオの着地点のほうがベストな気もするんだけど、
1話完結のドラマとして成立させるなら主人公の変化や心の成長が不可欠だからね
無駄がなくわかりやすくしつつも主題は維持し、発展させてる。
電車内の広告、頭の上の文字が顔の動きに合わせて傾いたり、シュン〔竜星涼〕の部屋の漫画などの小物、
エンドロールのクレジットの見せ方に至るまで
ディテールにこだわっているし、深夜ドラマでも手抜きしてない。

竜星くんは前半テンション上げてコミカルに演じてすぎていて浮き気味だったけど、
だからこそ、後半シリアスな場面増えても辛気臭くなりすぎずに済んだと思う。
そこまで考えて演じていたなら、彼自身成長したのかな。
(『そして世界は全て変わる』〔2012年〕の頃はひたすら重苦しいだけだったから・・・。)
今回は主役というのもあったからかもしれないけど、全体を見渡せている感じはした。
泣きの演技に関しては本来は苦手なのでしょうね・・・。
カメラがパンする長回しで電話を聴きながら徐々に泣いていく芝居は難しいとは思う。
表情はイケメンをかなぐり捨てるかのごとく崩しているし、目も赤くなっている。
落涙も鼻水も流していたので及第点ではあるんだけど、
表情の崩しっぷりに比べると落涙の量が少ない気もするんだな。
形から入っていて感情を振りきれていないというか。
でも、クランクアップにこの場面をもってきたのは感情を入れやすいように配慮しての事だと思うし、
製作側は彼を育てようとしているのは伝わってきた。
彼は俳優デビューはフジテレビのドラマなんですよね。
3人主役かと思っていたけど、出演場面数やエンドクレジットを見ると単独主演ぽかったし。
映画『orange』で注目されてきた事で
自局で育てたい想いもあり、試しに起用したのかしら?
(それか、2015年に撮影した情報未解禁の映画のどれかがこの局絡みなのかしら?)

ラストの黒髪・オールバックのスーツ姿は神々しいまでのオーラがあった。
ただ、就活生にしては洗練されすぎていて、エリートビジネスマンぽく見えてしまってはいたのだけど。。。
背の高い人は猫背になりがちだけど、彼は真っ直ぐ背筋が伸びていて姿勢が良いね。
変化を遂げるという意味では『GTO』で長髪をバッサリ切って車椅子で体育館に現れた場面とか、
映画『マジックナイト』で天狗になっていた自分を反省し、
改心して店に戻ってきた場面を思い出したりもしたな。
彼は心機一転した時の面差しが凛としていて最も美しいんですよ。

太賀くんは映画『禁忌』の華奢な少年のイメージが強かったんだけど、
その頃に比べると少しふくよかになったのかな。
安定感のある演技はさすが。
電話の声からしっかり者であるがゆえの心の脆さがひしひしを伝わってきた。
実際は太賀くんのほうが二世(父親も俳優さん)ではあるんだけど、
竜星くんと配役を逆にしているキャスティングも妙味があった。

永野芽郁ちゃんは『俺物語』の天真爛漫な役とは対照的で苦悩する役だったけど、
新たな一面を見せてくれたね。
10代の頃の蒼井優や菅野美穂に似た佇まい。
実際、竜星くんとは6・7歳ほど年齢差あるんだけど、そんなに年齢差感じなかったな。

竜星くんと太賀くんは初共演だけど、演技の呼吸が合っていて、本当に友達って感じがした。
後半、芽郁ちゃんが微笑み、竜星くんが照れくさそうに微笑む場面はピュアで爽やかでした。

たかが就職と言ってしまえばそれまでなんだけど、
不採用通知がくると人生の全てを否定されて世の中に見捨てられた気持ちになる・・・。
(私は何度か転職しているからその気持ちは凄くよくわかる。)
特に経験値の浅い若い子、その上真面目な子は心が追い詰められたりするのかな?
でも、年齢重ねてくると必死でやっていたら何とかなるものだと割りきれるようにもなるんだよね。

電車内のみの限られた能力というのは斬新な設定ではあるけど、
どこか懐かしさも覚えたんですよね。
(特殊能力を得た事から生じるドラマと言えば、
10代の頃のKinKiが出ていた他局の土9や
タッキーや当時のジュニアが出ていた木曜の怪談とか思い出したの。)
でも、このドラマは就職難の世相を反映しているので決して子供向けではなく、若者向け。
時代の折々での等身大の若者達のドラマを生み出してきたフジドラマの志しの高さに感銘。
素直に面白かった。


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