~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

『星の国から孫ふたり ~「自閉症」児の贈りもの~』 ※ネタバレ有

2010-05-27 22:32:03 | 映画【日本】

  『星の国から孫ふたり 「自閉症」児の贈りもの』:公式サイト

  自閉症 - Wikipedia

オーティズム(自閉症)

欧米では自閉症の事は“オーティズム”と言われているそうです。
アメリカでは1歳で自閉症と認定される場合もあり、
認定後は訪問療育
(家にカウンセラー、作業療法士、スピーチセラピストなどの専門家が
 週に2・3日訪問して親の相談にのったり子供の世話をする。)、
その後は自閉症の子供達が通うフリースクールへ。
それらは全て無償。
アメリカは福祉が整っていますね。 

 ①多動(目をはなすと1人で遠くへ行ってしまう)
 ②パニック
 ③偏ったこだわり
 ④高所へ登る
 ⑤相手の目を見ない
 ⑥体に触れられるのを嫌がる
 ⑦相手の腕に噛みつく
 ⑧1人でトイレに行けるようになるのは健常の子供に比べて遅い年齢
自閉症といっても人によって様々な度合いがあるし特徴は千差万別なので
それらの全てが該当するわけでもないけど
この作品では自閉症の数々の特徴はキチンと描かれているように感じました。
その中でも特にデリケートな⑦⑧を描いていたのは
この作品が初めてのような気がしました。
特には私の妹も言葉が全く出ず、情緒が安定していなかった頃は
相手の腕に噛みついたり、腕をひっかいたりしていましたから。

あと、この作品のお母さんの陽子〔加藤忍〕が子供達に言葉を覚えさせる為に
白いボール紙に写真と文字を書いて家中の家具や電気製品に貼っていましたね。
    
私の家では写真までは貼らなかったものの
白いボール紙を細長く切って太いマジックで文字を書いて家中に貼って
それを指さして妹に言葉を教えていました。

どうしてそういう手法で言葉を教えるのかと言うと
自閉症の子は耳からの情報よりも見て教えるほうが覚えやすいからなのです。

“視聴過敏”というのは観ていて勉強になりました。
妹と町を歩いていていきなりパニックを起こす事が度々あったので。
こういう障害の人は遠近感がつかみ辛い場所があるのですね。

自閉症の原因は今でもハッキリ判明していないようです。
この作品の兄妹は二人共自閉症だけど、
私は健常で私の妹は自閉を伴う知的障害なので
一概に遺伝だけが原因とは言えない・・・。
この作品の中で陽子の夫の母が
「外孫3人共みんな正常よ。お宅のほうにヘンな人がいるんじゃないの!」
と言い放つ場面があったけど、
私の両親も親族が集まる場へ行くと
いまだにそういう事を言われてしまう時があるそうです・・・。
そういう心ない事言う人って自分が障害者に関わった事がないから
平気で言えるんですかね・・・。
世の中はまだまだ思いやりに欠ける人が多いと言うか・・・。

出演者は舞台で活躍されている人が多いので滑舌は良かったけれど、
なんかアナウンサー口調だったのが気にはなったな。。。
陽子が自閉症児の親達の集まりの会の場面でいきなり韓流ドラマ話をするから
何故だろう?と思っていたら
陽子役の加藤忍は韓国ドラマ『
春のワルツ』のヒロインの声優をされていたのですね。

この作品は物事を悲観的に捉えていないのが良かったです。
陽子が子供達の将来を不安視して愚痴をこぼしても
それを陽子の母・弓子〔馬渕晴子〕が楽観的な考え方を示して前向きに励ましている。
決して、そういう障害の子をもったから不幸なのではなく、
こういう子をもった事で得た事という解釈で描いている。

“無条件に可愛がる、愛すること”
言葉通りに実践するのは容易ではないけど、
こういう障害の子供達を特別視するのではなく、
周辺の人達にも自閉症を正しく知ってもらい理解を示してもらえるように努力して
特徴を含めて“子供の全てを受け入れていく心がけ”が必要なのでしょうね。
そういった心がけは障害者だけに限定した事ではなく
健常者の子供を育てていく上でも大切な事なのだと私は思いましたよ。

2 コメント

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分け隔てしない (rose_chocolat)
2011-01-03 10:36:13
これが昨年1位の作品だったんですね。

実は、甥が自閉症です。
でもそのことを知ったのはつい最近。 3年前です。 だから正確な症状もわからない。
ずーっと知らせてくれなかったのがちょっと哀しかったですね。
大きくなったし男の子なので力も強く、暴れてしまうと大変なので、目が離せないということでした。

日本の福祉はそういう点では大きく遅れていますね。
政策が、まだまだ社会で面倒を見ましょうという目線じゃないんですよね。
その家でどうにかしなさいという姿勢はやっぱりよくないと思うし、障害者がいない人たちとの距離をますます広げていってしまいます。
だから、御親戚のような発言が登場してしまうんだと思います。 理解がない以前に、理解する機会すらない。 正しい知識が伝わらないんですね。

こういう映画で、そのことを改善される動きがあるといいですが、現実はまだまだ。 
だから少しづつでも動かしていくしかないんだと思いました。
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家庭。 (BC)
2011-01-04 16:47:52
rose_chocolatさん、こんにちは。

甥の方がそうだったのですね。
多分、知らせなかったのではなくて、知らせる事が出来なかったのだと思いますよ。
身内にこういう障害者がいるとその事は話しにくいものなんですよ。
特に、自閉症や知的障害はハッキリとした原因が解明されていないだけに、
遺伝が影響しているように受け取る人も多いですから。

私の場合、以前付き合っていた交際相手に
妹の事はなかなか打ち明ける事が出来なかったです・・・。
実際、長年交際してようやく打ち明けてもその後は上手くいかなくなりましたし・・・。
最近付き合い始めた彼は元同僚で気心が知れていたので
本格的な交際を始めてすぐに妹の事を打ち明けてすんなり受け入れてくれましたが、
今後、結婚となると彼の家族が受け入れてくれるかどうかはわからないし・・・。
でもそういう不安を抱えてしまうのは相手側の反応が怖いからではなく
身内が障害者の家族がいることに引け目を感じているからなのかもしれないです・・・。

最近は施設に入所してもどんどんグループホームに出していく動きですし、
健常に近い障害者ならばそれにある程度適応出来るだろうけど、
重度の障害者は到底無理だろうし、
だからと言って一度グループホームへ出たら施設に戻れないらしいから、
親がいる重度障害者は年老いた親が引きとるしかないだろうし、
親がいない重度障害者のその後を考えると今の日本の福祉は酷い気もします・・・。

この映画は自閉症をキチンと調べた上で
正しく伝えようという気持ちが伝わってきたのが良かったです。
障害者の居る家庭は大変ではあるけど、
だからといっていつも悲観に暮れているのではなく
励ましあいながら明るく笑って暮らしている。
そういう風に前向きに描いてくれたのも嬉しかったです。
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