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英国の女性作家ライオネル・シュライバーのベストセラーを女性監督リン・ラムジーが映画化。
母親に異常なまでの悪意と執着心を持つ息子:ケビン〔エズラ・ミラー〕と
ケビンに戸惑う母:エヴァ〔ティルダ・スウィントン〕の親子関係を描く。
邦題そのまますぎて思いっきりネタバレやん。。。
最近の洋画って邦題で説明しすぎるのが多すぎるような?
(まっ、日本人にはわかりやすくしないと受けないと
配給側は思っているのかもしれないけどね・・・。
バラしてしまうのも善し悪しな気もする。)
血?ペンキ?がトマトケチャップみたいな感じやったのが印象的。
淡い赤でふにゃっとした質感がね。
学校の場面がほとんど登場しないのに学校でいきなりケビンが逮捕され、
弓で殺された遺体が次々運ばれていくのは唐突な感じでした・・・。
また、その光景と対比させるように
ケビンが無人の体育館?で1人で弓を射る場面は厳かなセレモニーのようだったのが
アイロニーのようにも感じてしまいました・・・。
エヴァ役のティルダ・スウィントンの内向的な佇まいは
スリラーなのか?家族モノなのか?ジャンルの境界を越えた
独特の雰囲気を醸し出す事に功を奏していたと思う。
ケビン役のエズラ・ミラーは鋭く射抜くような野性味のある眼差しで
演技派のベテランとも堂々と渡り合っていて存在感抜群。
父:フランクリン役のジョン・C・ライリーが演じる
子供を普通に可愛がるノーマルな夫のキャラも束の間ホッと出来ただけに
後半の悲劇性が加味された気もする。
ある意味、残酷なのは能面のような表情のエヴァのような気もしたな。
だって、エヴァのように笑顔一つ見せない人と暮らしていたら
誰だって正気ではいられないでしょ。
無条件に親の愛を求める子供なら尚更・・・。
しかも、男の子にとって最初に視界に入る異性は母なのだから。
親の愛を感じとれない子供は甘え方を知らないし、
それでも親に振り向いてもらおうとするから
ああいう方向へ走ってしまったのかもしれないし・・・。
(その方向は決して許されるものではないけどね・・・。)
エヴァは仕事で成功していたみたいだし、
本来は結婚しなくて子供なしでも生きていけた女性のような気がするんですよね。
だから、ケビンが胎内にいる時から不安の何もかもを不穏に捉えてしまう・・・。
フランクリンが楽天家だからこそ、なんとかもっていたようなものだけど、
フランクリンは娘:セリアに起こった出来事の真相を察知していたとしても
親としては甘くても一縷の望みでケビンを信じようとする
親心(親としての本能)を見失っているエヴァに失望したから離婚を切り出したのだと感じた。
あのラストでエヴァとケビンの距離は少し縮まったような気もする。
そういう意味では親子の成長物語ではあるんだけど、
父フランクリンと妹セリア、学生達を大量に殺害したのに、
ケビンは数年で出所出来るのはなんだかなぁ・・・。
後味はなんか複雑だったけど、
無駄な台詞は削ぎ落として緊張感をもたせる作りは秀逸な作品でしたよ。