~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

『炎上』・・・ ※ネタバレ有

2009-12-27 18:19:34 | 映画【日本】

  炎上(1958) - goo 映画

驟閣寺(しゅうかくじ)


特集上映【大雷蔵祭】で最初に何を観ようか迷ったけど、
雷蔵さんぽくない作品が観たいと思い、この『炎上』にしました。

実際に起こった金閣寺放火事件を題材にした
三島由紀夫の小説『金閣寺』の映画化です。

五分刈りで学生服、化粧気はなくて流し目もしない。
吃った話し方をする学生僧役。
スターオーラを消し、内向的な青年になりきって演じていました。

片足を引きずって歩いている同級生役の俳優さんの台詞は吹替だったのかしら?
(声と口が合っていなかったような?)

冒頭のタイトルロールで中村玉緒の名前もあったんだけど、
どこに出ていたのかわからなかったな。。。

寺を放火するというのは文化を消してしまう事になるので、
決して許される事ではないけど、
溝口〔市川雷蔵〕が寺を放火するに至った心像はわからなくはない気もした。
これと言って大きな動機はなかったのだろうけど、
吃った話し方をからかわれたり、母親が訪ねてきたり、
老師に嫌気がさしたり、同級生は女といざこざを起こしたり、
日常のモヤモヤした出来事や時代の流れに鬱蒼とした気持ちが募り、
そういう行為に至ってしまった気もした。

驟閣寺の炎上後、残ったのは黒ススにまみれた寺の骨組み・・・。
巻き立つ炎の刹那から絶望の光景・・・。
溝口の心の中にだけ永遠に建ち続ける驟閣寺・・・
という意味で捉えるならば溝口は満たされていたのだろうか?

重い結末で後味は良くはないが、退廃的な余韻を残す作品でした。


P.S.
【大雷蔵祭】のパンフレットは1200円!
高いので買うのは控えようかと思ったんだけど、
見本を眺めると雷蔵さんの麗しい写真にウットリ♪
各作品の解説も丁寧だったので買っちゃいましたよ。^^


【大雷蔵祭】

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